(昭和52年11月25日付け52検第437号 建設大臣あて)
東北ほか6地方建設局(注) 及び北海道開発局(以下「地方建設局等」という。)が、昭和51年度中に施行した馬淵川筋樋管嵩上げ工事ほか144工事(工事費総額46億8142万余円)について検査したところ、次のとおり、管理橋の製作費の積算が適切でないと認められる点が見受けられた。
すなわち、上記の145工事は、河川工作物の応急対策工事又は改修工事の一環として樋(ひ)門、樋(ひ)管等の河川管理施設の改良、修繕工事を行うもので、樋(ひ)門等の操作、修理を容易にするための幅約1m、長さ約2mから14m、重量0.3tから3t程度の管理橋200橋の製作すえ付け等の工事を含んでいるが、工事費の予定価格のうち管理橋の製作費の積算についてみると、地方建設局等が定めた積算基準に記載されている横断歩道橋又はばんげた橋りょう等の製作歩掛かりを準用して計算した製作工数に労務単価を乗じて得た額を基に、使用鋼材1t当たり製作費を188,000円から291,000円、鋼材重量計177t分で計4038万余円と算定している。
しかし、横断歩道橋及び橋りょうは、本件管理橋に比べて規模が大きく、その製作には複雑な加工を伴うほか、たわみ量、製作誤差等も厳しく規定されているのに対し、本件管理橋はH形鋼又は溝(みぞ)形鋼の主げたにしま鋼板の床版材及び丸又は角鋼管の高欄を溶接して建て込む程度の簡単な構造であるから、前記のように横断歩道橋の歩掛かり等を準用して、製作費を積算するのは適切とは認められない。
しかして、本院の調査によれば、本件程度の管理橋の場合、鋼材1t当たりの製作費は前記製作費の2分の1程度となっているので、これにより製作費を積算したとすれば、積算額を約2370万円程度低減できたと認められる。
このような事態を生じたのは、同省において本件管理橋の積算に関する基準が定められておらず、また、管理橋と横断歩道橋等の製作加工の実態が異なっているのに、地方建設局等において、その内容を調査することなく安易に横断歩道橋等の製作歩掛かりを準用して積算したことによると認められる。
ついては、地方建設局等においては、この種管理橋の製作を今後も引き続き多数行うことが見込まれるのであるから、速やかにその製作加工の実態を調査検討して積算の適切な基準を定め、もって予定価格積算の適正を期する要があると認められる。
(注) 東北ほか6地方建設局 東北、関東、中部、近畿、中国、四国、九州各地方建設局