建設省の補助を受けて、札幌市ほか140事業主体が昭和50、51両年度中に下水道終末処理場等の新設等工事において施行した機械、電気の設備工事は997工事(工事費総額1183億0784万余円、国庫補助金相当額780億4966万余円)に上っている。
これら各工事は、いずれも地方公共団体が事業主体となって施行しているが、その施行は事業主体が直轄で実施するか又は日本下水道事業団(以下「事業団」という。)に設計、積算、施工を委託し若しくは事業団に施工だけを委託する方法によっている。
しかして、上記工事のうち、事業主体が独自に設計、積算し事業団に施工だけを委託した指定都市における40工事(工事費総額71億1585万円)の予定価格の積算について検査したところ、機械、電気設備用機器(以下「機器」という。)費の積算に当たっては、その都度、機器製造業者から徴した見積額を参考にして積算している。一方、事業団では積算を受託する場合に適用するものとして既往の実績等を基にして主要な機器について標準価格を設けており、上記各工事で設置した機器のうちにもこれら主要な機器と仕様、規格が同一のものがあり、例えば、川崎市ほか4市が施行した川崎市加瀬下水処理場送風機設備工事ほか6工事(工事費総額14億5361万円)についてみると、ポンプ、電動機等主要な機器(積算額計3億4048万余円)は仕様、規格が同一でありながらその積算額がいずれも事業団の標準価格を上回っており、標準価格によって積算した場合に比べて約7300万円(国庫補助金相当額4700万円)の開差を生じている。また、下水道終末処理場等の工事を直轄で施行している他の地方公共団体においても上記と同様の事態となっているものが見受けられたので、建設省において統一的な標準価格を設定する要があると認められた。
上記について当局に注意したところ、建設省では、52年9月に事業団の標準価格を基にして機器のうち仕様、規格等がほぼ標準化されている主要な機器の参考価格を定め、各地方公共団体が施行する工事について直ちにこれを適用することとする処置を講じた。