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  • 昭和51年度|
  • 第3章 政府関係機関その他の団体の会計|
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  • 第2 日本国有鉄道|
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  • 工事

部品保管庫新設工事の施行に当たり、銅製格納棚の工場加工費の積算が適切でなかったため、契約額が割高になったもの


(63) 部品保管庫新設工事の施行に当たり、鋼製格納棚の工場加工費の積算が適切でなかったため、契約額が割高になったもの

科目 (工事勘定) (項)一般施設取替改良費
部局等の名称 新幹線総局浜松工場
工事名 部品保管庫新設工事
工事の概要 新幹線電車廃車解体作業により発生した車両部品を保管するための立体倉庫とこの中に設置する鋼製格納棚及び自動立体格納装置を新設する工事
工事費 127,353,000円(当初契約額129,000,000円)
請負人 日綿実業株式会社
契約 昭和51年3月 公開競争契約
しゅん功検査 昭和51年10月
支払 昭和51年11月

 この工事は、鋼製格納棚の工場加工費の積算が適切でなかったため、契約額が約1740万円割高になったと認められる。

(説明)

 この工事のうち、鋼製格納棚(縦8段、横17連及び34連)4列に使用する鋼材61.9t(ボルト等2.0t を含む。)の工場加工費については、その構造がテルハ(注) の鉄構部分に類似しているとして、本社制定の「工作関係機械(一般工事検修工事等)予定価格積算要領(案)」に示されているテルハの鉄構部分の工場加工歩掛かり等を適用して26,588,567円(1t当たり換算443,808円)と積算している。

 しかして、この歩掛かり等は荷役機械を対象として定められたものであるが、本件鋼製格納棚は柱、はりに使用する角形鋼管(100mm×100mm、厚さ2.3mm及び3.2mm)及び軽量形鋼(100mm×50mm×20mm、厚さ2.3mm)、パレット受けに使用する軽量形鋼(80mm×40mm、厚さ2.3mm)等の鋼材を同一寸法に多量に切断し、溶接及びボルト締め並びに径16mmの棒鋼による筋かいによって、同一形状の棚を4列に組み立てる簡単な鉄骨工事(溶接延長11.5m/t)でテルハの鉄構部分と異なり加工度合いの少ない立体格納棚である。

 更に、この工事の加工作業の内容についてみると、部材の寸法、形状は同一のものが多いため原寸、罫(け)書きの作業回数は少なくて足り、素材の切断も同一の寸法のものは数本同時にできるなど単純な加工となっており、また、工場における仮組立ても必要としない施工であるから、作業は一層容易になると思料される。

 これらのことからみて、本件工場加工費の積算に当たっては、鋼製格納棚と構造及び加工作業の内容が類似している一般の鉄骨工事における軽量鉄骨造りのものに適用される歩掛かり等を準用するのが適当であったと認められる。現に、この工事に先立ち同種立体格納棚を設置した釧路鉄道管理局等では、本社制定の「鉄骨工場加工積算要領(案)」に定めている鉄骨工事の歩掛かり等を基礎として、1t当たり換算117,793円及び141,240円と積算している状況である。

 いま、仮に上記鉄道管理局等が施行した同種の工事例にならって修正計算すると、工場加工費は7,734,441円(1t当たり換算129,101円)、工事費は総額109,888,585円となり、契約額はこれに比べて約1740万円割高であったと認められる。

(注)  テルハ  手小荷物運搬車をクレーンでつり上げ線路上を横断させる設備

(参考図)

(参考図)