(昭和52年11月22日付け52検第434号 日本国有鉄道総裁あて)
日本国有鉄道四国総局及び釧路ほか27鉄道管理局(注) (以下「総局等」という。)では、駅並びに保線区、保線支区及び軌道検査班(以下「保線区所」という。)に雨量警報器を配備しており、昭和51年度中に436個(総額2億7849万余円)を購入していて、同年度末現在、その配備数は1,116個となっている。
この雨量警報器は、48年2月、日本国有鉄道規格として制定されたもので、雨水受入れマス、記憶装置、記録装置及び警報装置等で構成されていて、その形式には磁気式のものと電子式のものとがあり、いずれも雨量を自動的に観測し、連続雨量及び時雨量が設定値に達したときに警報を発する機能のほか、雨量を自動的に記録する機能を備えたもので(両形式とも単価648,000円)、このうち磁気式のものについてだけ記録装置を付けてないもの(単価567,000円)が規格化されている。
しかして、本院において雨量警報器の配備状況等を検査したところ、次のとおり、使用目的からみて必要のない装置を含めて配備しているなど、適切でないと認められる点が見受けられた。
すなわち、これらの雨量警報器は、総局等が降雨実績を考慮し配備することとしているもので、51年度末現在で、雨量観測や列車の運転規制の発動を行う駅に記録装置付きのもの654個、記録装置を付けてないもの183個計837個(うち51年度購入分323個)を、また、雨量観測や線路警備の発令を行う保線区所に記録装置付きのもの279個(うち51年度購入分105個)をそれぞれ配備していた。
しかし、駅に配備された雨量警報器のうち、雨量の観測、記録業務を行っている保線区所に近接する駅に配備されたものは、駅で重ねて雨量を記録する必要がないことから、運転規制の発動のみに使用すれば足りるので、記録装置付きのものを配備する要はなかったと認められる。
そして、この場合には電子式のもので記録装置を付けてないもの(単価533,000円)が販売されており、これは磁気式の記録装置を付けてないものに比べて低廉であるから、これも使用することができるように前記日本国有鉄道規格を改める要があると認められる。
また、線路警備の発令は保線支区長が行うことになっていて、保線区所に配備された雨量警報器のうち保線区及び軌道検査班に配備されたものは雨量の観測のみに使用されるものであるから、警報装置付きのものを配備する要はなく、低廉な雨量計(単価116,000円程度)を配備すれば足りるものと認められる。
いま、仮に駅と保線区所が1km以内に所在する場合に限ってみても、駅に配備された雨量警報器のうち記録装置付きの362個は記録装置を付けてないもので足り、また、保線区及び軌道検査班に配備されたもののうち114個は雨量計で足りることとなり、このように配備したとすれば、購入費を約9000万円相当額(うち51年度購入分207個について約3600万円相当額)節減できた計算となる。
このような事態を生じたのは、総局等において駅及び保線区所が担当する業務に適合した機器を適正に配備することについての配意が十分でなかったことにもよるが、本社において使用目的に即した配備区分や機器の規格を明示しなかったこと及びこれらについて総局等に対する指導が十分でなかったことによると認められる。
ついては、総局等においては、この種機器を今後も引き続き配備することが見込まれるのであるから、雨量警報器、雨量計それぞれの使用目的に応じた配備区分、規格を整備するとともに、既に配備されたもののうち、設置する要のなかったものはこれを適宜配備替えするなどして総局等に対する指導を適切に行い、もって経費の節減を図る要があると認められる。
釧路ほか27鉄道管理局 釧路、旭川、札幌、青函船舶、盛岡、秋田、仙台、新潟、高崎、水戸、千葉、東京北、東京南、東京西、長野、静岡、名古屋、金沢、大阪、天王寺、福知山、米子、岡山、広島、門司、大分、熊本、鹿児島各鉄道管理局