昭和52年11月21日付け52検第433号 | 日本国有鉄道総裁 日本鉄道建設公団総裁 |
あて |
日本鉄道建設公団(以下「公団」という。)が日本国有鉄道(以下「国鉄」という。)に対して、日本鉄道建設公団法(昭和39年法律第3号)第19条第1項第2号の規定により貸し付けている営業線のうち国鉄が有償で借り受けている武蔵野、根岸両線の鉄道用地の管理状況についてみると、公団が線路残地又はトンネル建設用地等として購入した土地であって、国鉄において現在直接に事業の用に供しておらず、かつ、利用計画のない土地(以下「不用地」という。)を、このうちには払下げ希望者から申請が行われているものも相当数ある状況であるのに、未処理のまま長期間にわたり保有しているものが武蔵野線で57,361m2 、根岸線で3,069m2 計60,430m2 (取得価額15億2191万余円)ある。そして、国鉄においては、このような不用地を借り受けていることにより不必要な借料及び管理費等の負担を余儀なくされ、また、公団においては、このような不用地を所有していることにより借入金の金利負担の軽減が図られない結果になっている。
しかして、国鉄が公団から借り受けている財産の管理については、昭和40年6月に両者間で締結した財産管理に関する協定書によれば、(1)「国鉄は、借受財産について、一切の維持管理を行うものとする。」、(2)「国鉄は、業務運営又は対外関連工事施行の結果借受財産に不用分を生じた場合は、その不用財産の処分を行うものとする。」となっている。
しかし、この協定に基づく実行上の取扱いについて、公団では、鉄道施設としていったん貸し付けた以上、不用地の処分は、これらの規定に従い当然国鉄が行うべきであるとしているのに対して、国鉄では、前記の不用地は引継ぎ時点において既に不用となっていたものであって、国鉄の業務運営上不用になったものではないから前記の(2)にいう不用分には該当せず、この処分は当然公団が行うべきであるとしていて、両者の見解の調整が行われないまま推移したため、前記のような多額の不用地が未処理のまま長期間放置されてきたものと認められる。
ついては、国鉄と公団の間で早急に協議し、前記協定内容を整備するか又は実施主体を明確に定めるなどして現有不用地の処分の促進を図る要があり、更に今後両者の間で貸借する鉄道施設についても、国鉄が公団からこれを借り受ける際に国鉄における使用見込みを検討のうえ、公団における用地取得上又は建設工事実施上の事情から生じた不用地があるときは貸借の対象から除外できるようにし、公団においても除外された不用地はこれを適切に処理する要があると認められる。