仙台電気工事局が昭和51年度中に施行している新幹線一ノ関トンネル照明設備新設その他工事ほか2工事(工事費合計2億9928万余円)について検査したところ、次のとおり、高圧配電線路の設計が適切でないと認められる点が見受けられた。
すなわち、上記各工事は、東北新幹線建設に伴う電気設備工事で、このうちトンネル内の照明設備及び軌道保守用電源設備に配電するための高圧配電線路の架設工事の設計についてみると、日本国有鉄道本社が46年2月に制定した「電気工作物(電力設備)設計施工標準」により、6,600V22mm2 単心の高圧ケーブル3条を使用し、トンネルの両側壁にケーブル支持金具(ケーブル受け具3個を装着したもの)をレールレベルから高さ3.0mの位置に1.5m間隔で取り付け、これにケーブルを架設することとし、架設工事費を1億2080万余円(ケーブルは別途支給)と積算している。
しかし、近年、単心の高圧ケーブル3条をより合わせたトリプレックス形ケーブルが実用化され、この種工事に使用されてきており、このケーブル1条の価格は単心の高圧ケーブル3条分の価格とほとんど差異がないので、これを使用したとすれば、架設手間が1条分で足りるため労務費が大幅に減少するほか、ケーブル受け具が1個で足りるなどのため材料費も減少することとなるので、単心の高圧ケーブル3条を使用する場合に比べ経済的に施工できると認められる。したがって、上記の工事においてもこれにより設計したとすれば、本件工事費を約2300万円程度節減できたと認められた。
上記について当局の見解をただしたところ、日本国有鉄道では、52年10月に「電気工作物(電力設備)設計施工標準」を改正し、同月以降施行するこの種工事についてトリプレックス形ケーブルを使用するよう処置を講じた。
(参考図)