(昭和52年11月28日付け52検第440号 日本電信電話公社総裁あて)
東京ほか3電気通信局(注1) 及び静岡ほか3電気通信部(注2) 等が昭和51年度中に施行している辰巳局舗装先行工事(土木)辰巳橋左岸ほか14工事(工事費総額24億3206万円)について検査したところ、次のとおり、鋼矢板等の打ち込みに先だち地下埋設物の有無等を確認するため行う導入溝(こう)の工事費の積算が適切でないと認められる点が見受けられた。
すなわち、上記の15工事はいずれもバイパス等の道路の造成工事に先行又は並行して地下管路、とう道等を築造するものであるが、この工事のうち、地下管路、とう道等の埋設位置が深いなどのため、工事中に土砂の崩壊するおそれのある箇所には鋼矢板等14,026本を使用して土留め工を施工することとし、この費用については、日本電信電話公社が制定した「電気通信設備請負工事予定価格の積算要領(土木)」(以下「積算要領」という。)及び「電気通信設備請負工事予定価格積算のための複合単金表(土木)」の複合単金を適用し総額2億5333万余円と積算している。そして、上記の積算要領によれば複合単金の中には幅0.8m、深さ1.5mのみぞを人力により施工する導入溝(こう)の費用が含まれており、上記の積算額には鋼矢板等打ち込み区間全延長にわたる導入溝(こう)費4833万余円が計上されている。
しかして、上記工事の施工に当たっては、鋼矢板等の打ち込み区間すべてにわたって一律に導入溝(こう)を施工することとして積算しているが、当該施工区間は、いずれも田畑、埋立地等であったところにバイパス等の道路を造成している箇所であって、この区間については、事前に道路管理者等に地下埋設物の有無、位置等を照会するなどすれば、埋設物が全く存在していないことや、存在していても一部の区間を横断などしているにすぎないことが明らかになるのであるから、すべての区間について導入溝(こう)を施工することとして積算しているのは適切でない。
いま、仮に本件各工事について必要と認められる区間についてのみ導入溝(こう)を施工することとして積算したとすれば導入溝(こう)費を約3800万円程度低減することができたと認められる。
このような事態を生じたのは、地下埋設物の有無等を必ずしも明確には握しがたい市街地における地下管路等工事の実績等を基にして作成した積算要領及び複合単金をそのまま適用したことによると認められる。
ついては、同公社においては、市街地における設備の充足に伴い地下管路、とう道等工事は市街地周辺で行われるものが増加することが見込まれるのであるから、導入溝(こう)費を施工箇所の状況に即して積算することができるよう積算要領及び複合単金を速やかに改定し、もって予定価格積算の適正を期する要があると認められる。