日本電信電話公社(以下「公社」という。)における昭和51年度の電報事業の営業損益についてみると、電報料金が51年11月に改定されたことにより、事業収入は前年度に比べて39億8279万余円増加(25.1%、前年度0.8%)して197億8892万余円となったが、事業支出が前年度に比べて101億4123万余円増加(8.1%、前年度10.2%)して1347億5892万余円となり、1149億7000万余円の損失を生じている。また、前記損益の事業収支率は前年度の788.4%に対して680.9%と好転してはいるものの、損失が前年度に比べて61億5844万余円増加(5.6%、前年度11.7%)し、この結果、電報事業の51年度末までの損失額の合計は1兆円を上回った。
しかして、電報事業の現状についてみると、近年の電話、加入電信等の普及発展に伴い、年間電報通数は、38年度の9460万余通を最高として逐年減少し、51年度には4189万余通となっており、また、危篤通知などのいわゆる緊急用電報の占める割合が38年度では4%程度(407万余通)であったものが51年度では1%程度(42万余通)に減少した反面、儀礼的な慶弔電報が38年度では14%程度(1330万余通)にすぎなかったものが51年度では65%程度(2749万余通)を占めるなど利用内容が大きく変化している。このように電報の通数や役割が大きく変わってきたにもかかわらず、現状においても電報が緊急通信手段として中心的な役割を担っていた当時と変らないサービスを要望されていることもあって、51年度末現在、業務を委託している郵便局を含め全国に19,446の取扱局(うち配達業務を行う取扱局5,760局)が設置されている。そして、公社及び郵政省における51年度の調査によると、これら取扱局における窓口での受付通数が1日当たり1通未満の取扱局が全体の71%程度を占めており、また、配達通数が1日当たり1通未満の取扱局が全体の28%程度となっているにもかかわらず、全国くまなく24時間のサービス提供が要請されていることや、慶祝電報(取扱総通数の40%程度)の取扱いが特定の季節や日などに集中する傾向にあるところから、繁忙期に対応した人員の配置をする必要があるなどのため、効率の低い運営を余儀なくされており、電話等の普及した今日では実態にそぐわない運営となっていると認められる。
このため、公社では電報中継作業の全国機械化、電話による受付等を行う取扱局の統廃合、夜間の窓口受付局の大幅廃止、配達業務の民間委託化等電報事業の近代化、効率化を図り、また、47年以降2回にわたり電報料金の改定を行ってはいるものの収支改善のための決め手となっておらず、このままで推移すると今後も電報事業の収支を更に悪化させ損失は累増の一途をたどることとなる。