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  • 昭和51年度|
  • 第3章 政府関係機関その他の団体の会計|
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農地等取得資金の貸付けが不当と認められるもの


(67) 農地等取得資金の貸付けが不当と認められるもの

部局等の名称 北海道支店ほか7支店1事務所
貸付金の種類 農地等取得資金
業務の内容 農業者に低利で貸し付ける農地等取得資金の貸付け
貸付先 農業者27名
貸付額の合計 42,150,000円

 上記の27名に対する農地等取得資金の貸付けは、貸付けの目的に添わない結果になっていて貸付金42,150,000円が不当と認められる。これを、支店別に集計して掲げると別表 のとおりである。
 これは、608名に貸し付けた同資金1,546,210,000円について調査した結果である。

(説明)

 この貸付金は、農業経営の規模の拡大及び農業経営の改善を積極的に図ろうとする農業者に対し、農地等を取得するのに必要な資金を低利で貸し付けるものである。そして、貸付けに当たっては、借入申込者が作成する農業経営改善計画(以下「改善計画」という。)及び貸付適格認定申請書について、農業委員会が審査した後、その提出を受けた都道府県知事において、改善計画が適正であり、かつ、認定申請前数年以内に経営農地を縮小していないなど農業経営に意欲があり改善計画達成の見込みが確実であると認定したものに対して、公庫が貸し付けることになっている。また、貸付後においても、経営農地の縮小等により改善計画の達成ができないと認められるときは、公庫において繰上償還の措置を執ることになっている。

 しかして、前記27名に対する貸付金についてみると、貸付前において、貸付対象農地とほぼ同面積又はこれを上回る経営農地を縮小しているのに貸付適格認定申請書にこれを記載せず、農業経営の意欲に乏しくて経営改善が図られる見込みがないと認められる者に対して貸し付けているものが13事項22,620,000円あり、また、貸付後において、貸付対象農地とほぼ同面積以上の経営農地を他に譲渡していて改善計画が達成されない結果となっていると認められるものが14事項19,530,000円見受けられた。

 これらについては、いずれも繰上償還の措置を執らなければならないのにその手続が執られていなかったが、本院の注意により、すべて繰上償還の措置が執られた。

 本件農地等取得資金の貸付けについては、昭和47年中に実施した検査の結果、本件と同様の事例が多数見受けられたので、47年11月に公庫総裁に対し是正改善の処置を要求したところであるが、前記のように同様の事態が見受けられるのは、貸付時における審査、調査、指導及び貸付後の管理について公庫が執った改善措置の実行がなお十分でなかったことによると認められる。

(別表)

支店名 本院が調査した貸付金 不当貸付金
貸付前に経営農地を縮小しているもの 貸付後に経営農地を縮小しているもの
事項数 金額 事項数 金額 事項数 金額 事項数 金額

北海道支店
秋田支店
関東支店
東京支店
北陸支店
近畿支店
四国支店
福岡支店
愛媛事務所

59
54
67
154
19
52
35
73
95
千円
263,650
117,750
161,660
339,960
36,110
100,850
104,800
222,640
198,790

 
1
1
4
1
2
 
 
4
千円
 
560
800
13,420
1,240
2,600
 
 
4,000

1
1
2
3
1
 
2
3
1
千円
1,500
2,000
2,660
2,870
2,000
 
2,300
4,200
2,000

1
2
3
7
2
2
2
3
5
千円
1,500
2,560
3,460
16,290
3,240
2,600
2,300
4,200
6,000

608 1,546,210 13 22,620 14 19,530 27 42,150