(昭和54年12月4日付け54検第379号 大蔵省印刷局長あて)
大蔵省印刷局滝野川工場では、練肉機(注1) (31台)の冷却用として使用する冷却用水のほか作業用水、洗浄水等として使用するため、東京都から基本水量(注2) 600m3 のエ業用水の給水を受け、昭和53年度及び54年度(9月まで)に216,738m3 を使用し、その料金として工業用水道料金12,957,646円及び下水道料金22,876,600円を支払っているが、その使用状況について検査したところ、次のとおり、練肉機の冷却用として使用した冷却用水の使用方法が適切でないため、不経済となっている事態が見受けられた。
すなわち、上記工場では、練肉機の冷却用として使用した冷却用水を循環使用することなく1回使用しただけで排水しており、上記期間中のその排水量は38,430m3 に上っている状況であった。
しかしながら、一般の企業では、回収利用の容易な冷却用水については循環して使用することによって工業用水の使用の合理化を図っており、本件冷却用水も受水槽(そう) 、冷却塔及び配管等を設けることにより容易に循環して使用することが可能であって、この場合に必要な水量は繰り返して使用することによる水質の悪化を防ぐために行う換水及び冷却塔使用により飛散する水滴等に対する補給水として年間で300m3 程度を見込めば足りるので、上記の冷却用水使用量からこの補給水量を控除した水量37,900m3 程度は不用となると認められる。そして、上記の基本水量は、年間を通して最高使用期間(本件の場合7月分)の1日当たり使用量を基として決められているが、上記のように冷却用水を循環使用することとした場合、これにより計算した53年7月の1日当たり使用量を基として基本水量を改定すると520m3 となり、現行のものに比べ80m3 減量できることになると認められた。
いま、仮に冷却用水を循環して使用することとして基本水量を520m3 に変更したとすれば53年度及び54年度(9月まで)の工業用水道料金は171万円、下水道料金は433万円計604万円不用となる一方、冷却用水を循環させて使用するために必要な前記設備の投資額として当局が計算した約210万円に対応する前記期間の減価償却費43万円のほか維持経費8万円計51万円が必要となるので、これを控除しても約550万円節減できたと認められる。
ついては、同局滝野川工場においては、今後も引き続き練肉機を使用するのであるから、省資源の見地からも、早急に冷却用水を循環使用するための設備を設けるなどし、もって経費の節減を図る要があると認められる。
(注1) 練肉機 インキの材料を練り、印刷インキとして仕上げるための機械
(注2) 基本水量 利用者の申出に基づき、工業用水道事業者である東京都が工場における使用時間、使用の態様を勘案して定める1日当たりの水量で、基本料金等の算定の基礎となるもの