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  • 昭和53年度|
  • 第2章 所管別又は団体別の検査結果|
  • 第1節 所管別の検査結果|
  • 第9 運輸省|
  • 本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項

空港施設における電力ケーブル等の保護用管路の設計につしヽて


(2) 空港施設における電力ケーブル等の保護用管路の設計につしヽて

 運輸省においては、近年における航空輸送需要の増大に伴い空港施設の改良、拡張工事を行っており、その工事量は逐年増加する傾向にある。

 しかして、東京航空局ほか8部局(注1) が昭和53年度に東京国際空港ほか18空港で施行した東京国際空港エプロン照明灯改良工事ほか32工事(工事費合計42億6653万円)について検査したところ、次のとおり、電力ケーブル等の保護用管路(以下「ケーブル管路」という。)の設計が適切でないと認められる点が見受けられた。

 すなわち、上記各工事は空港の照明施設、無線施設及び気象観測施設に必要な電力ケーブル等を埋設するためのケーブル管路を布設するなどの工事であるが、このうちケーブル管路の設計についてみると、前記部局では、幹線管路の内径を「滑走路等の横断箇所に埋設するケーブル管路の設計についての指針」(47年6月本省航空局照明課通達)を適用して100mm級で設計したり、分岐管路の内径を「埋込灯の基台に関する仕様書」(37年8月本省航空局制定)を参考として50mm級で設計したり、あるいは上記100mm又は50mmの管径を適宜増減して管路内径を22mm級から200mm級と設計したりしており、この設計に基づく管路布設工事費の積算について、管路延長114,600m分の直接工事費を186,624,609円と算定していた。そして、これらの設計の基礎となっている上記指針等には、ケーブル管路の断面積に対するケーブルの断面積の比率(以下「占積率」という。)についての規定が欠けていたため、布設したケーブル管路の占積率は1.0%から84.4%と区々になっており、半数以上の管路は占積率が極めて低い空間部の多いものとなっていると認められた。

 しかし、ケーブル管路はケーブルの保護、ケーブルの取り替えを容易にすることを目的としているものであるから、管路はケーブルを引き込むなど施工上可能な範囲の内径のもので設計すれば足りるものと認められる。現に、他団体の設計基準等や「電気設備に関する技術基準を定める省令」(昭和40年6月15日通商産業省令第61号)を補足するため民間機関で定め一般に採用されている「内線規程」(注2) においても、管路施工上の経済性や布設後の効用性等を勘案した場合、これらを充足する最も妥当な値として、管路内径をケーブルの仕上がり外径(複数のケーブルを収容するときはその外接円の直径)の1.5倍程度を目安として定めており、これを占積率に換算すると44%程度となる。 したがって、本件ケーブル管路の設計に当たっても占積率44%程度で経済的な設計となるよう配慮することが適切であったと認められた。

 いま、仮に上記各工事の設計に当たって占積率44%程度で経済的な管路内径により設計したとすれば、積算額を約4900万円程度低減できたと認められた。

 上記についての本院の指摘に基づき、運輸省では、54年8月に「地中電線路設計要領」を新たに制定し、占積率が44%以下で、それに近い値となるように経済性を考慮してケーブル管路の設計を行うこととし、同年10月以降設計する工事からこれを適用する処置を講じた。

(注1)  東京航空局ほか8部局 東京、大阪両航空局、第一、第二、第三、第四、第五各港湾建設局、北海道開発局札幌開発建設部及び沖縄総合事務局開発建設部

(注2)  内線規程 この規程は、通商産業省職員及び学識経験者等で構成された電気技術基準調査委員会が電気工作物の保安の確保等を目的として、施工上守るべき技術的な事項を定めたもので一般用電気工作物及び自家用電気工作物の施工に当たって一般に採用されている。