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  • 昭和53年度|
  • 第2章 所管別又は団体別の検査結果|
  • 第1節 所管別の検査結果|
  • 第12 建設省|
  • 不当事項|
  • 工事

道路の災害防止工事の施行に当たり、ポケット式ロックネットを設計と相違して施工したもの


(114) 道路の災害防止工事の施行に当たり、ポケット式ロックネットを設計と相違して施工したもの

会計名及び科目 道路整備特別会計 (項)道路事業費
部局等の名称 四国地方建設局香川工事事務所(契約庁) 四国地方建設局(支出庁)
工事名 昭和53年度財田防災工事
工事の概要 落石による道路災害を防止するため、ポケット式ロックネット810m2 、落石防護柵(さく)479m及び擁壁490m等を施工する工事
工事費 40,280,000円(当初契約額36,300,000円)
請負人 株式会社 安藤建設
契約 昭和53年5月 指名競争後の随意契約
しゅん功検査 昭和53年10月
支払 昭和53年6月、53年11月 2回

 この工事は、監督及び検査が適切でなかったため、ポケット式ロックネット810m2 (工事費相当額4,473,000円)の施工が設計と相違し、その強度が設計に比べて著しく低くなっていると認められる。

(説明)

 この工事は、一般国道32号の香川県三豊郡財田町地内での落石による災害を防止するなどのため、ポケット式ロックネット810m2 、落石防護柵479m及び擁壁490m等を施工するものであるが、これら工事のうちポケット式ロックネットを施工する箇所は既に法(のり)面が崩壊していて落石の危険性が特に高いので、既設の土留め擁壁に設置されていた高さ1.5mの落石防護柵だけでは落石防護を十分全うすることができないとして、土留め擁壁をかさ上げして落石防護柵を高さ2mのものに建て替えるとともに、その上部山側斜面にポケット式ロックネットを新設することとしたものである。

 しかして、この工事のうちポケット式ロックネット工は、設計書及び図面によると、山側の土砂崩壊法面の上部に縦方向のワイヤロープを取り付けるためのコンクリートアンカーブロック(以下「アンカーブロック」という。)11個及び羽根付きアンカーボルト2本を左右に4m間隔で設置し、アンカーブロックの下部6mから18mの位置にロックネットをポケット状にするためのポケット支柱11本をコンクリート基礎で建て込み、横方向のワイヤロープを取り付けるため法面の中央上部付近にアンカーブロック2個を設置するほか、左右両側に羽根付きアンカーボルト等10本を上下5m間隔(一部2.5m間隔)で設置し、また、法面の中央上部から斜め下方にワイヤロープを取り付けるためのアンカーブロック4個を設置し、これらアンカーブロック、羽根付きアンカーボルト等及びポケット支柱のそれぞれの頭部に径16mm又は12mmのワイヤロープを取り付け、ポケット支柱から下部のワイヤロープに亜鉛メッキした径4mmの金網を張り渡すこととしている。そして、このうちアンカーブロックは、法面を床掘りして1箇所当たり縦、横、高さ各1m(1m3 )のコンクリートを土中に打設し、また、ポケット支柱の基礎コンクリートは、同様の方法により1箇所当たり縦、横各0.5m、高さ1m(0.25m3 )のコンクリートを土中に打設することとしている。

 しかるに、アンカーブロック及びポケット支柱の基礎コンクリートの施工についてみると、アンカーブロック17個のうち15個及びポケット支柱の基礎コンクリート11個のうち9個については、いずれも所定の床掘りをしないでコンクリートを打設したため、上部8cmから75cm程度が地上に露出していたり、埋設部分は縦、横、高さとも不足し断面が著しく不整形となっていたりしていて、コンクリート打設量は、アンカーブロックは0.45m3 から0.85m3 程度、ポケット支柱の基礎コンクリートは0.07m3 から0.22m3 程度にすぎないばかりでなく、ポケット支柱は、下部20cmから50cmが基礎コンクリートの底部から抜け出てれき混じり土に差し込まれているなどしていて、施工が著しく粗雑となっているため、ポケット式ロックネットはその強度が設計に比べて著しく低下している。

(参考図)

_(参考図)