(昭和54年11月20日付け54検第366号 建設大臣あて)
東北地方建設局ほか5地方建設局(注) が、請負契約によって昭和53年度中に施行した達曾部、夏屋間照明新設工事ほか22工事(工事費総額7億9298万余円)について検査したところ、次のとおり、トンネル用照明器具の仕様の検討が十分でなかったため価格が適切でないと認められる点が見受けられた。
すなわち、上記23工事は、トンネル内の道路交通の安全を図るため、トンネル照明設備の新設工事等を施工するもので、この工事のうち、照明器具設置に要する直接工事費の積算額3億6829万余円に係る照明器具(器具筐(きょう)体、前面枠(わく)、照明カバー及び反射板等から構成されている。)の仕様のうち、器具筐体及び前面枠の仕様についてみると、材質及び材の厚さ等については、建設省電気工事共通仕様書で規定しているが、製品としての縦、横等の寸法についての規定がないことから、各地方建設局(以下「局」という。)では、製造業者の既成型のものをそのまま採用していたり、既成型のものを参考として独自の寸法を定めていたりしていて、局ごとに区々(例えば、35ワットのナトリウムランプに使用する器具の場合、縦×横×高さ、360mm×510mm×145mm、390mm×500mm×150mm、420mm×500mm×150mm、420mm×520mm×158mm)となっており、また、その積算価格も、同一ワット数のランプに使用する照明器具でありながら、局ごとに大きな開差(例えば、35ワットのナトリウムランプに使用する器具の場合、1個当たり37,235円から42,000円)があって、この種照明器具を大量に調達しているところから寸法についても全国一律の仕様を定めている他団体の場合(例えば、35ワットのナトリウムランプに使用する器具の場合、縦×横×高さ、420mm×500mm×150mm)の積算価格に比べても、約1.1倍から1.4倍程度高価となっている状況である。
しかしながら、器具筐体の中に取り付けられるランプの仕様は、他団体における仕様と同様に、日本工業規格によりワット数に応じて寸法が一定しているナトリウムランプを使用することとしているのであるから、これを保護する器具筐体等の寸法について、これを他団体におけるもと同一のものとしても支障があるとは認められず、また、その統一化を図ることによって、大口需要として割安な価格で調達することが期待できるのであるから、器具筐体等の寸法を一律に決定するとともに、積算価格の一元的な調査検討を行い、適正な予定価格の算定に努める要があると認められる。
いま、仮に器具筐体等の寸法を他団体におけるものと同一のものとしその積算価格を基として照明器具設置に要する直接工事費を積算したとすれば、前記直接工事費の積算額を約3600万円程度低減できたと認められる。
このような事態を生じたのは、この種照明器具が道路の改築等に伴い毎年多数使用されているものでありながら、その寸法に関する配慮を欠いて、各局ごとに区々に決定させていることから仕様ごとの発注数量が少なく、製造の量産効果が阻害されていることや、積算価格についての比較検討が十分できなかったことなどによると認められる。
ついては、建設省においては、今後とも引き続きトンネル照明設備工事を多数施行することが見込まれるものであるから、速やかに照明器具の器具筐体等の仕様を検討の上、建設省電気工事共通仕様書を整備し、割安な価格での調達が可能となるよう努めることにより積算価格の適正化を図り、もって、経費の節減を図る要があると認められる。
(注) 東北地方建設局ほか5地方建設局 東北、北陸、中部、近畿、中国、四国各地方建設局
(参考図)