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  • 昭和53年度|
  • 第2章 所管別又は団体別の検査結果|
  • 第2節 団体別の検査結果|
  • 第2 日本国有鉄道|
  • 不当事項|
  • 予算経理

架空の名目によって旅費を支出し、これを別途に経理していたもの


(130) 架空の名目によって旅費を支出し、これを別途に経理していたもの

科目 (損益勘定) (項)営業費 (項)保守費 (項)管理共通費
(工事勘定) (項)基幹施設増強費 (項)一般施設取替改良費 (項)車両費 (項)総係費
部局等の名称 盛岡鉄道管理局(総務、経理、営業、運転、施設、電気各部)
新潟鉄道管理局(運転部)
門司鉄道管理局(営業、運転、施設、電気各部)
関西地方資材部
博多総合車両部
旅費の概要 業務連絡、現場調査のための出張
上記部局で職員に支給した連絡旅費及び現場調査旅費の総額 昭和53年度 44,714件 384,979,930円

 上記の各部局においては、架空の旅行命令に基づいて旅費を支出し、これを別途に経理して会食等の経費に使用していた。これら不正に経理した旅費の総額は、17,484,070円となっており、経理が著しくびん乱している。

(説明)
 日本国有鉄道では、業務に必要な職員の出張については旅費事務基準規程(昭和40年9月30日経職達第1号)に従って旅費を支給することとしており、旅費は用務の性質に応じて、本社及び地方機関所属の職員が業務連絡のため出張した場合に必要な連絡旅費、地方機関所属の職員の現場調査及び現業機関所属の職員が業務連絡のため出張した場合に必要な現場調査旅費等に区分整理されており、それぞれ出張する職員に対して支給することになっている。
 しかして、昭和54年2月から5月までの間に本院が会計実地検査を行った盛岡、新潟、門司各鉄道管理局、関西地方資材部及び博多総合車両部において、53年度に上記のうち連絡旅費、現場調査旅費をもって職員に支払った旅費の額は次表のとおりとなっている。

架空の名目によって旅費を支出し、これを別途に経理していたものの図1

 上記44,714件384,979,930円の支払額について出張の事実の有無を調査したところ、旅行命令書、旅費請求及び領収書等の関係書類を作為するとともに、これに合わせて出勤簿等の関係書類を整理するなどの方法により、出張の事実がないのに出張したこととして不正に旅費を支出していたものが、次表のとおり、1,716件17,484,070円あった。

架空の名目によって旅費を支出し、これを別途に経理していたものの図2

 前記の不正に経理した旅費は、52年度からの繰越額851,081円と合わせて別途に経理されており、その使途について裏帳簿、領収証書その他の関係資料に基づいてその内容を調査したところ、次表のとおり、部内での又は部外との会食の経費に使用したものが13,601,087円、贈答用物品代等の交際費的な経費に使用したものが1,494,335円、出版物購入費、交通費等の雑費に使用したものが2,383,647円、使途の不明なものが85,360円となっており、なお54年5月末現在770,722円を保有していた。

架空の名目によって旅費を支出し、これを別途に経理していたものの図3

 本件経理は、いずれも日本国有鉄道会計規程(昭和27年10月4日公示第337号)及び前記旅費事務基準規程を無視して不正に資金をねん出し使用したものであって、その経理が著しくびん乱していると認められる。