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  • 昭和53年度|
  • 第2章 所管別又は団体別の検査結果|
  • 第2節 団体別の検査結果|
  • 第6 日本道路公団|
  • 本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項

舗装工事におけるアスファルトプラント運転経費の積算について


舗装工事におけるアスファルトプラント運転経費の積算について

 日本道路公団においては、建設大臣の認可を受けて高速自動車国道の建設工事を毎年多数施行しているが、札幌建設局ほか5建設局(注1) が昭和53年度に契約し、施行している道央自動車道札幌南舗装工事ほか18工事(工事費合計412億4300万円)について検査したところ、次のとおり、アスファルトプラント(注2) 運転経費の積算が適切でないと認められる点が見受けられた。

  上記19工事はアスファルトコンクリート舗装を主体とした工事であるが、いずれも大規模舗装であることから各工事ともアスファルト合材(注3) (以下「合材」という。)の混合については、施工箇所付近にアスファルトプラント(以下「プラント」という。)を設置しており、工事量に応じて120t/hプラント1基、180t/hプラント1基若しくは120t/hプラント2基を設置し、又は120t/hプラント1基と180t/hプラント1基とを併設して合材を混合することとし、これらのプラントの運転経費の積算については、公団が制定した「土木工事積算要領」(以下「積算要領」という。)により、アスファルト合材2,484,551t分総額32億1429万余円と算定していた。

(1) この運転経費の積算のうち、プラントの運転操作に当たる運転員及び各装置の点検、合材の計量等に当たる作業員の所要人員については、120t/hプラント1基につき13.5人を、180t/hプラント1基につき19人を見込み、これにより労務費を算定している。この人員は、120t/hプラントについては44年6月に、180t/hプラントについては49年6月に、従来から制定されていた50t/hから100t/hのプラントの場合の基準人員を基に、プラントの能力増に応じて所要人数を修正して制定したものである。
 しかしながら、本件各工事について施工の実態を調査したところ、プラントの能力が増大しても、これに応じて運転員等の所要人員は増加しないことのほか、プラントの運転機構の自動化が従来に比べて整備され、運転操作が著しく省力化されたことも あって、プラントの所要人員は上記積算の人数を相当下回っている状況であるのに、上記のような積算をしているのは施工の実態に適合していないと認められた。

(2) また、プラントにおける骨材の運搬等に使用するトラクタショベル及び同補助ブルドーザの規格及び所要台数については、積算要領により120t/hプラント1基の場合は1.3m3 級トラクタショベル2台及び15t級ブルドーザ1台、120t/hプラント2基の場合はその2倍の台数を、180t/h プラント1基の場合は2.0m3 級トラクタショベル2台及び21t級ブルドーザ1台を要するものとし、120t/hプラント1基と180t/hプラント1基とを併設する場合は両プラントのそれぞれの所要台数を見込んで、これにより機械経費を算定している。
 しかしながら、各プラントにおける骨材の使用量と両機械の能力からその規格と所要台数とを勘案すると、120t/hプラント1基の場合にはトラクタショベルの規格を 大きいものとすれば1台で足り、また、同一ヤード内にプラントを2基設置した場合であっても骨材置場は1箇所とするのが通常であるから、前記積算のように1基当たりの所要台数をそれぞれ見込む要はなく、本件各工事の機械の作業能力を考慮して規格及び所要台数を決定すべきであるのに、上記のような積算をしているのは施工の実態に適合していないと認められた。
 したがって、上記各項について、施工の実態に即して積算したとすれば、主として骨材の乾燥に使用するプラントにおける重油の消費量が積算数量に比べて平均1割程度増加していることを考慮しても、前記積算額を約1億0300万円程度低減できたと認められた。

 上記についての本院の指摘に基づき、日本道路公団では、54年9月に積算要領のプラントの運転経費を施工の実態に適合したものに改め、同年10月以降契約する工事から適用する処置を講じた。

 (注1)  札幌建設局ほか5建設局 札幌、仙台、東京第二、大阪、広島、福岡各建設局

 (注2)  アスファルトプラント アスファルト合材の生産設備で、砕石、砂の骨材をドライヤで乾燥し、この骨材と石粉及びアスファルトとをミキサで混合して、アスファルト合材を生産する装置

 (注3)  アスファルト合材 アスファルト、砕石、砂及び石粉を加熱して混合したもので、主に道路のアスファルト舗装の材料として用いられる。