(昭和54年12月5日付け54検第382号 日本鉄道建設公団総裁あて)
日本鉄道建設公団で、昭和53事業年度に役職員給与として17,169,211,019円を支払っているが、このうちには、特別手当として4,338,592,455円及び超過勤務手当として236,162,663円を特別手当の支給日に職員に支給した分が含まれている。
上記の特別手当及び超過勤務手当は、各支給期ごとに日本鉄道建設公団労働組合と交渉を行い、手当等に関する協定を締結のうえ、基本給(俸給・扶養手当・調整手当の合計額)の5.7か月分のほかに69,500円の定額を加算した特別手当及び52時間分の超過勤務手当を支給し、管理職についても、同様特別手当として5.7か月分と定額69,500円を支給したものである。
しかしながら、同公団における特別手当の支給に関しては、日本鉄道建設公団職員給与規程(昭和40年総裁達第10号、以下「給与規程」という。)によれば、特別手当の支給時期には、期末手当及び勤勉手当を支給することが定められていて、期末手当として職員に支給する額は職員が受けるべき俸給及び扶養手当の月額並びにこれに対する調整手当等の月額の合計額を基礎に、国家公務員に準じ同公団において定める割合を乗じて得た額とすることとされ、また、勤勉手当についても同様、国家公務員に準じて定める割合を乗じて得た額とすることとされている。そして、これを受けて、予算上も国家公務員と同率の期末手当及び勤勉手当を支給することとして予算を積算していて、この予算の執行については、予算総則第7条で、公団は、この予算の範囲内であっても、役職員の定員及び給与を予算において予定したところの定員及び給与の基準をこえてみだりに増加し、又は支給してはならないとしているものである。
しかるに、前記の支給された特別手当は一般職の職員の給与に関する法律(昭和25年法律第95号)に定められている国家公務員の期末手当3.8か月分及び勤勉手当の限度額1.1か月分、計4.9か月分を著しく超えている。
しかして、この超える分の総額814,143千円の財源についてみると、法定福利費の予算額1,909,218千円のうちから536,938千円、嘱託手当の予算額284,442千円のうちから140,853千円、宿日直手当の予算額の全額74,747千円等を流用して、これに充当している。
このように、特別手当の支給に当たって、予算及び給与規程の定めている基準を著しく超えて支給したのはこれらの基準を設けた趣旨に反したものであり、しかも、この財源に充てるために、殊更に法定福利費等名目の異なる費目の所要額を過大に予算計上しておき、これを使用しているのは予算の制度をみだすものであって、著しく適切を欠いているものと認められる。
また、超過勤務手当の支給に関しては、給与規程によれば、職員が所定の勤務時間を超えて勤務することを命ぜられた場合に支給することとし当月分の超過勤務手当を翌月の俸給支給日に支給するとしているものである。
しかるに、給与規程の定めるところによることなく、あらかじめ一定時間分を支給することとして特別手当に合わせて支給したことは適切とは認められない。
ついては、同公団におけるこれらの支給が労働組合との協定を経て決められるものであるとはいえ、同公団は公共の目的をもって設立されたものであり、財政的にも大きく国に依存するところから、その予算執行について国に準拠した各種の規制を設けていることからみて、今後は、予算計上を適正にして、予算及び給与規程の定めている基準の趣旨に沿った支給を行い、また、超過勤務手当についても給与規程の定めているところに従って支給を行うよう是正を図る要があると認められる。