地域振興整備公団では、地方都市開発整備等事業、工業再配置事業、産炭地域振興事業に必要な宅地、工場用地及び鉱工業等の用に供する土地の造成工事を毎年多数施行しているが、常磐支部ほか3箇所(注) において、昭和53年度中に施行しているいわき101工区整地(その1)工事ほか10工事(工事費合計35億2725万円)について検査したところ、次のとおり掘削運土費の積算が適切でないと認められる点が見受けられた。
すなわち、上記の11工事は、いずれも造成地内の切り取り、盛土についてスクレーパ工を主体とした機械土工により掘削運土を行うなどの工事であるが、このうち、普通土の掘削運土費の積算についてみると、同公団で52年12月制定した「土木工事積算要領」(以下「積算要領」という。)により運土距離が中程度(50mから400m程度)のものは21t級トラクタでけん引したボウル容量9.2m3 のスクレーパで作業を行うこととし、対象土工数量2,083,950m3 について1m3 当たり104円から235円、工事費3億1743万余円と算定していた。
しかし、本件各工事のように普通土の掘削運土量が5万m3 程度から40m3 万程度と多量で、かつ、造成面積が大規模にわたる場合には、上記スクレーパより効率的で大型なスクレーパを使用して経済的に積算し、掘削運土費を低減する要があると認められた。現に、本件各工事の作業の実態をみると、大部分が32t級トラクタでけん引したボウル容量17m3 程度の大型スクレーパ等で効率的な作業を行っている状況であった。
したがって、本件各工事について、作業の実態等に即した大型スクレーパにより施工することとして積算したとすれば、積算額を約3400万円程度低減できたと認められた。
上記についての本院の指摘に基づき、地域振興整備公団では、54年10月に積算要領のスクレーパ工の積算を作業の実態に適合したものに改め、同年12月以降契約する工事からこれを適用することとする処置を講じた。
(注) 常磐支部ほか3箇所 常磐支部、九州支部、諫早開発所及び宇部支所