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  • 昭和53年度|
  • 第2章 所管別又は団体別の検査結果|
  • 第2節 団体別の検査結果|
  • 第18 年金福祉事業団|
  • 不当事項|
  • 貸付金

福祉施設設置整備資金の貸付けが不当と認められるもの


(150)−(158) 福祉施設設置整備資金の貸付けが不当と認められるもの

科目 (款)貸付事業費 (項)貸付金
部局等の名称 年金福祉事業団
貸付けの根拠 年金福祉事業団法(昭和36年法律第180号)
貸付けの内容 厚生年金保険の適用事業所の事業主等に対する福祉施設設置整備資金の貸付け
受託金融機関 株式会社第一勧業銀行ほか6受託金融機関
貸付件数 9件
貸付金の合計額 775,500,000円

 上記の福祉施設設置整備資金の貸付けは、貸付けの条件に沿わない結果になっていて貸付金135,500,000円が不当と認められる。これらについては、本院の注意により、すべて繰上償還の措置が執られた。
 これを貸付先別に掲げると、別表 のとおりである。

(説明)
 年金福祉事業団では、年金福祉事業団法(昭和36年法律第180号)第17条の規定に基づき、保養のための総合施設の設置及び運営を行うほか、福祉施設設置整備資金、被保険者住宅資金及び年金担保小口資金の貸付けを行っている。
 このうち、福祉施設設置整備資金の貸付けは、厚生年金保険の適用事業所の事業主等に対し、被保険者等の福祉を増進するために必要な休養施設、住宅等の設置又は整備に要する資金を長期(償還期間最高35年以内)かつ低利(利率年5.05%から8.0%、昭和51年2月から54年3月末日までの間)で貸し付けるもので、その貸付けは同事業団が直接又は金融機関に委託して行うこととしている。そして、金融機関に委託して貸付けを行う場合は、借入申込者が作成する借入申込書とその添付書類等について受託金融機関が審査した後、同事業団において所定の条件に合致していると認定したものについて貸付決定し、所定の金額の範囲内で受託金融機関を経由して貸付金を交付することになっているが、受託金融機関においては事業完成の確認、貸付対象事業費の支払状況の確認等を行い、貸付金が適正な使途に充てられているかどうかを調査することとしている。
 しかして、上記の貸付金9件についてみると、別途契約や値引きなどにより、貸付対象事業費よりも低額で事業が実施されていたのに、同事業団の指導監督が適切でなく、受託金融機関における調査確認が十分でなかったため、過大な貸付けになっていると認められるものが135,500,000円見受けられた。

(別表)

受託金融機関
(取扱店)
貸付先 貸付対象 貸付年月 貸付金額

貸付金額のうち不当と認めた額


(150)

株式会社
第一勧業銀行
(仙台支店)

放送会社等25会社

休養施設の建築

51年
同年

2月
10月
千円
199,500
千円
50,300
 この貸付けは、鉄筋コンクリート造り3階建て1棟の従業員用休養施設の建築に必要な資金292,825,000円の一部として貸し付けたものであるが、実際は、借受人が別途契約により210,515,000円で事業を完成していた。
 したがって、適正な貸付金額は149,200,000円となり、本件貸付金額との差額50,300,000円は過大な貸付けとなっている。
(151) 株式会社
第一勧業銀行
(志村支店)
機械器具製造業者 世帯向賃貸住宅の建築 53年
同年
1月
3月
67,200 11,200
 この貸付けは、鉄筋コンクリート造り3階建て1棟の従業員用賃貸住宅の建築に必要な資金120,981,000円の一部として貸し付けたものであるが、実際は、借受人が工事費の値引きを受けて101,000,000円で事業を完成していた。
 したがって、適正な貸付金額は56,000,000円となり、本件貸付金額との差額11,200,000円は過大な貸付けとなっている。
(152) 株式会社
北陸銀行
(高岡支店)
鉄管部品製造業者 給食・教養文化施設及び休養施設の建築等 53年
同年
1月
5月
63,800 1,600
 この貸付けは、鉄骨造り2階建て1棟及び同平屋建て1棟の従業員用給食・教養文化施設及び休養施設の建築等に必要な資金74,442,400円の一部として貸し付けたものであるが、実際は、借受人が工事費等の値引きを受けて70,902,890円で事業を完成していた。
 したがって、適正な貸付金額は62,200,000円となり、本件貸付金額との差額1,600,000円は過大な貸付けとなっている。
(153) 株式会社
太陽神戸銀行
(諏訪支店)
精密機械器具製造業者 体育施設及び教養文化施設の建築 52年
53年
11月
2月
103,300 29,000
 この貸付けは、鉄骨造り3階建て1棟の従業員用体育施設及び教養文化施設等の建築に必要な資金179,620,000円の一部として貸し付けたもので、借受人は工事を一括して1業者に請け負わせたこととしていたが、実際は、別途契約により数業者に低額で分割発注して計113,680,000円で事業を完成していた。
 したがって、適正な貸付金額は74,300,000円となり、本件貸付金額との差額29,000,000円は過大な貸付けとなっている。
(154) 株式会社
北陸銀行
(金山橋支店)
青果業者 世帯向・単身向賃貸住宅及び教養文化施設等の建築 53年
同年
3月
7月
43,300 5,300
 この貸付けは、鉄筋コンクリート造り4階建て1棟の従業員用賃貸住宅及び教養文化施設等の建築に必要な資金56,193,000円の一部として貸し付けたものであるが、実際は、借受人が工事費のうち特殊工事費を6,007,000円水増しして所要資金額を算定していた。
 したがって、適正な貸付金額は38,000,000円となり、本件貸付金額との差額5,300,000円は過大な貸付けとなっている。
(155) 長崎県労働金庫
(本店)
生活協同組合 世帯向分譲住宅の建築 52年10月から
53年5月まで
68,100 9,800
 この貸付けは、鉄筋コンクリート造り4階建て1棟の被保険者向分譲住宅の建築に必要な資金110,540,000円の一部として貸し付けたもので、借受人は建築工事を一括して1業者に請け負わせたこととしていたが、実際は、別途契約により数業者に低額で分割発注するなどして計81,544,000円で完成していた。
 したがって、適正な貸付金額は58,300,000円となり、本件貸付金額との差額9,800,000円は過大な貸付けとなっている。
(156) 株式会社
九州相亙銀行
(島原支店)
写真業者 教養文化施設及び世帯向賃貸住宅の建築 53年 12月 31,400 2,800
 この貸付けは、鉄筋コンクリート造り5階建て1棟の従業員用教養文化施設及び賃貸住宅等の建築に必要な資金79,500,000円の一部として貸し付けたものであるが、実際は、借受人が工事費のうち特殊工事費を8,302,500円水増しして所要資金額を算定していた。
 したがって、適正な貸付金額は28,600,000円となり、本件貸付金額との差額2,800,000円は過大な貸付けとなっている。
(157) 株式会社
熊本相亙銀行
(水俣支店)
電子機器製造業者 単身向賃貸住宅の建築 52年9月から
53年2月まで
160,900 13,200
 この貸付けは、鉄筋コンクリート造り3階建て1棟の従業員用賃貸住宅の建築に必要な資金195,548,000円の一部として貸し付けたものであるが、実際は、借受人が工事費の値引きを受けて175,519,000円で事業を完成していた。
 したがって、適正な貸付金額は147,700,000円となり、本件貸付金額との差額13,200,000円は過大な貸付けとなっている。
(158) 株式会社
西日本相亙銀行
(大分支店)
建設業者 世帯向及び単身向賃貸住宅の建築 52年9月から
53年3月まで
38,000 12,300
 この貸付けは、鉄筋コンクリート造り4階建て1棟の従業員用賃貸住宅等の建築に必要な資金61,110,000円の一部として貸し付けたものであるが、実際は、借受人が工事費の値引きを受けて41,200,000円で事業を完成していた。
 したがって、適正な貸付金額は25,700,000円となり、本件貸付金額との差額12,300,000円は過大な貸付けとなっている。