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  • 昭和53年度|
  • 第2章 所管別又は団体別の検査結果|
  • 第2節 団体別の検査結果|
  • 第23 帝都高速度交通営団|
  • 本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項

下水道料金の支払について


下水道料金の支払について

 帝都高速度交通営団では、地下鉄7路線(営業キロ127.6km)の営業に伴い、地下駅で使用した水道水による汚水及び営業線のトンネル内で発生した湧(ゆう)水を大量に公共下水道に排出処理しており、これら排水に係る下水道料金を下水道管理者である東京都に対して支払っている。

 しかして、昭和53年度中に、東京都に対して、銀座線浅草駅ほか84駅で使用した水道水による汚水の排出に係る下水道料金として支払った1,906,785m3 、177,149,224円及び銀座線浅草ポンプ室ほか128室で排出したトンネル内湧水に係る下水道料金として支払った5,457,408m3 、558,395,379円の内容について検査したところ、次のとおり排出量のは握が的確に行われていないため、下水道料金の支払が適切を欠いている事態が見受けられた。

 すなわち、上記下水道料金のうち、水道水による汚水の排出に係る下水道料金については、東京都下水道条例(昭和34年東京都条例第89号)の規定により、その排出量は使用した水道水と同量とみなして、下水道料金を水道料金とともに都水道局が徴収(水道水による汚水の排出に係る下水道料金徴収業務については都水道局が都下水道局から委託されている。)しているが、一方、トンネル内湧水の排出に係る下水道料金については、同条例により、都下水道局が認定した排出量、すなわちトンネル内に設置された排水ポンプ室計363台の排水ポンプそれぞれについて同局が測定の結果により査定した1時間当たりの排出量に排水ポンプごとの運転時間を乗じて排出量を算出する方法により、その下水道料金を同局が徴収している。

 しかしながら、地下駅において使用した水道水による汚水の排出の実態についてみると、このうち、洗面所で使用した水道水による汚水は、洗面所の汚水槽(そう)から専用の排水ポンプにより直接公共下水道に排出されているので下水道料金算定上問題はないが、冷房機等で使用した水道水による汚水は、いったん軌道敷内に設置された排水溝(こう)に流出させたうえトンネル内湧水と合わせて汚水桝(ます)に集め、排水ポンプ室のポンプによって公共下水道に排出している。したがって、冷房機等で使用した水道水による汚水の下水道料金は、既に水道料金とともに都水道局が徴収しているのに、更に都下水道局もトンネル内湧水とともに下水道料金として徴収しているため、下水道料金が重複して支払われる結果になっていると認められた。

 このように、公共下水道への汚水排水量が一部重複して計量されるような排水方式となっている事態について、本院は53年9月、同営団が速やかに東京都に対し料金算定の基礎となる排出量の認定について是正措置を求め下水道料金の減額を図るべきであると指摘したところ、同営団では、同年10月、東京都と協議を行い、暫定的に同月から排水ポンプ室のポンプによる汚水排出量を見込みにより5%又は0.9%減量してこれにより下水道料金を支払う了解を得、この結果、同月以降53年度分の支払については、従来の方式のまま推移する場合に支払うこととなる下水道料金より約700万円の軽減が図られることとなった。

 しかし、上記暫定措置による減量率の算出はトンネル内に流出した生活用水による汚水に係る排出量を的確に測定した方法によっているものではないことから、実態に適合した測定方法に基づき下水道料金を支払ったとすれば、53年度分の支払において更に約6200万円程度低減できたと認められたので、54年4月、重ねて指摘したところ、同営団では、同年5月、排水ポンプ室のポンプにより排出される汚水に係る下水道料金については、トンネル内湧水の排出量だけを測定する方法に改め、これにより料金を支払うことについて東京都と合意に達し、53年10月にさかのぼって適用を受ける処置を講じた。