この特別会計は、国が行う外国為替等の売買及びこれに伴う取引を円滑にするため置かれた外国為替資金の運営に関する経理を一般会計と区分して行うため設置されているものである。
53年度の歳入歳出決算についてみると、歳入では、徴収決定済額、収納済歳入額ともに1兆0358億3727万余円、歳出では、支出済歳出額2905億7854万余円、不用額1810億6856万余円となっている。この収入のうち主なものは外国為替等売買差益6614億7226万余円であり、これは外国為替相場の急激な変動を避けるため外国為替市場への介入を行ったことなどに伴い生じたもので、外国為替資金特別会計法施行令第4条の規定により買い取った外国為替等を買取時における基準外国為替相場等(注)
によって換算した価額と、買取価額との差額を差益として計上したことなどによるものである。また、不用額の主なものは諸支出金(歳出予算現額278億1157万円)の32億0802万余円である。
上記の収入のうち運用収入の原因となった資産の53年度末現在額についてみると、外貨証券2兆7195億0633万余円、外貨預け金2兆2347億2421万余円等となっており、また、支出の主なものである国債整理基金特別会計への利払い資金等の交付の原因となった債務の同年度末現在額についてみると、外国為替資金証券8兆4995億2900万円、国際通貨基金通貨代用証券4026億0320万余円等となっている。
なお、53年度における損益についてみると、外国為替等売買差益等の利益1兆0358億3727万余円、借入金利子等の損失2905億7854万余円で、7452億5873万余円の利益を生じており、この利益は翌年度に積立金として積み立てられている。また、別途に基準外国為替相場等の変更などにより2兆1643億8862万余円の外国為替等評価損を計上しており、前年度から繰り越された外国為替等評価損と合わせ3兆5078億8902万余円が翌年度へ繰り越されている。他方、53年度末における資金の現在額は2158億3402万余円であり、前記53年度の利益7452億5873万余円と53年度末の積立金1兆1246億2237万余円とを合わせ積立金は1兆8698億8110万余円となっている。
(注) 基準外国為替相場 53年1月1日から6月30日まではアメリカ合衆国通貨1ドルにつき本邦通貨262円、53年7月1日から12月31日までは同234円、54年1月1日から6月30日までは同195円である。