この事業団は、労働者の技能の習得及び向上、地域間及び産業間の移動の円滑化その他就職の援助に関し必要な業務を行うことにより、労働者の能力に適応する雇用を促進し、もって労働者の福祉の増進と経済の発展に寄与することを目的として設置されているもので、53事業年度末現在の資本金は4749億9651万余円(うち国の出資4740億7853万余円)となっており、同事業団の会計は、一般会計並びに港湾労働者福祉事業、炭鉱離職者援護事業及び身体障害者雇用納付金事業の3特別会計に区分して経理され、更に、一般会計は、雇用保険、福祉施設、全国勤労青少年会館、雇用促進融資、駐留軍関係離職者等援護事業及び勤労者財産形成促進事業の6勘定に区分されている。
(一般会計)
(雇用保険勘定)
53事業年度収入支出決算についてみると、収入では収入決定済額1247億3044万余円、支出では、支出決定済額1172億4640万余円、翌事業年度繰越額326億7043万余円、不用額47億0115万余円となっている。
翌事業年度繰越額の主なものは施設建設費(支出予算現額987億6706万余円)の303億1452万余円であり、また、不用額の主なものは就職資金貸付金(支出予算現額17億5736万余円)の5億2093万余円である。
前記の収入支出に係る業務実績の主なものは、移転就職者用宿舎10万余戸の貸与、総合高等職業訓練校87校の運営、及び移転就職者用宿舎1万余戸と福祉施設205箇所の建設である。
なお、53事業年度における損益についてみると、政府交付金収入等の収益459億5760万余円、業務取扱費等の費用515億7625万余円で、56億1865万余円の純損失を生じており、前事業年度からの繰越欠損金と合わせ320億6855万余円が翌事業年度へ繰り越されている。
(福祉施設勘定)
53事業年度収入支出決算についてみると、収入では収入決定済額19億1512万余円、支出では、支出決定済額19億1476万余円、不用額2億8783万余円となっている。
上記の収入支出に係る業務実績の主なものは、福祉施設9箇所の運営委託である。
なお、53事業年度における損益についてみると、福祉施設収入等の収益19億1506万余円、福祉施設事業費等の費用19億1208万余円で、297万余円の純利益を生じており、前事業年度からの繰越欠損金からこれを差し引いた欠損金8249万余円が翌事業年度へ繰り越されている。
(全国勤労青少年会館勘定)
53事業年度収入支出決算についてみると、収入では収入決定済額46億6157万余円、支出では、支出決定済額41億8254万余円、不用額1億0979万余円となっている。
なお、53事業年度における損益についてみると、全国勤労青少年会館事業収入等の収益43億1050万余円、全国勤労青少年会館事業費等の費用41億1096万余円で、1億9954万余円の純利益を生じており、前事業年度からの繰越欠損金を差し引いた利益1億9336万余円は積立金として積み立てられている。
(雇用促進融資勘定)
53事業年度収入支出決算についてみると、収入では収入決定済額298億2812万余円、支出では、支出決定済額262億5596万余円、翌事業年度繰越額32億3655万円、不用額30億3052万余円となっている。
翌事業年度繰越額はすべて福祉施設等設置資金貸付金(支出予算現額170億2700万円)の分であり、また、不用額の主なものは福祉施設等設置資金貸付金の23億6999万円である。
前記の収入支出に係る業務実績の主なものは、労働者住宅等建設資金の貸付け377件114億2046万円、貸付金回収140億3448万余円で、53事業年度末における貸付金残高は8909件1214億8673万余円である。また、この貸付金残高のうち弁済期限を6箇月以上経過した元金延滞額は14億2965万余円(うち1年以上延滞のものは13億8602万余円)となっている。
なお、53事業年度における損益についてみると、福祉施設等設置資金貸付金利息等の収益87億0543万余円、支払利息等の費用86億0015万余円で、1億0528万余円の純利益を生じており、この純利益は積立金として積み立てられている。また、53事業年度末における借入金の残高は1229億0914万円(全額資金運用部資金からの借入金)となっており、また、積立金の残高は7億9798万余円となっている。
(駐留軍関係離職者等援護事業勘定)
53事業年度収入支出決算についてみると、収入では収入決定済額1億5345万余円、支出では、支出決定済額1億3875万余円、不用額3億3015万余円となっている。不用額の主なものは駐留軍関係離職者等援護費(支出予算現額4億4684万余円)の3億1311万余円である。
上記の支出に係る業務実績の主なものは、延べ4,635月人に対する訓練手当9070万余円の支給である。
なお、53事業年度における損益についてみると、政府交付金収入等の収益1億4168万余円、駐留軍関係離職者等援護事業費等の費用1億3886万余円で、281万余円の純利益を生じており、この純利益は積立金として積み立てられている。また、53事業年度末における積立金の残高は2726万余円となっている。
(勤労者財産形成促進事業勘定)
53事業年度収入支出決算についてみると、収入では収入決定済額97億5201万余円、支出では、支出決定済額92億2139万余円、不用額355億5632万余円となっている。不用額の主なものは財形融資貸付金(支出予算現額415億8391万余円)の346億7074万余円である。
上記の収入支出に係る業務実績の主なものは、財形融資貸付金の貸付け303件69億1317万余円、貸付金回収15億3574万余円で、53事業年度末における貸付金の残高は899件242億0273万余円となっている。
なお、53事業年度における損益についてみると、財形融資貸付金利息等の収益32億0503万余円、支払利息等の費用22億3016万余円で、9億7486万余円の純利益を生じており、前事業年度からの繰越欠損金からこれを差し引いた欠損金2991万余円が翌事業年度へ繰り越されている。また、53事業年度末における雇用促進債券の発行残高は249億2940万円となっている。
(港湾労働者福祉事業特別会計)
53事業年度収入支出決算についてみると、収入では収入決定済額15億9978万余円、支出では、支出決定済額14億2076万余円、不用額4億0014万余円となっている。
上記の支出に係る業務実績の主なものは、登録日雇港湾労働者延べ28万余人に対する雇用調整手当11億2439万余円の支給である。
なお、53事業年度における損益についてみると、政府補助金収入等の収益13億0277万余円、雇用調整手当等の費用18億7099万余円で、5億6821万余円の純損失を生じており、前事業年度からの積立金を差し引いた欠損金4億6019万余円が翌事業年度へ繰り越されている。
(炭鉱離職者援護事業特別会計)
53事業年度収入支出決算についてみると、収入では収入決定済額8億5536万余円、支出では、支出決定済額6億8616万余円、翌事業年度繰越額5942万余円、不用額6億0508万余円となっている。不用額の主なものは、援護事業費(支出予算現額3億2039万余円)の2億5115万余円及び施設建設費(同4億9968万余円)の2億3128万余円である。
上記の支出に係る業務実績の主なものは、延べ483人分の雇用奨励金3490万余円の支給及び福祉施設3箇所の建設である。
なお、53事業年度における損益についてみると、補助金及び交付金等の収益4億8095万余円、管理費等の費用5億4661万余円で、6566万余円の純損失を生じており、この純損失は積立金を減額して整理されている。また、53事業年度末における積立金の残高は23億3583万余円となっている。
(身体障害者雇用納付金事業特別会計)
53事業年度収入支出決算についてみると、収入では収入決定済額195億1712万余円、支出では、支出決定済額50億6752万余円、翌事業年度繰越額17億7336万余円、不用額99億3893万余円となっている。
翌事業年度繰越額はすべて支給金(支出予算現額109億1788万余円)の分であり、不用額の主なものは支給金の51億6974万余円である。
前記の支出に係る業務実績の主なものは、延べ116,714人分の雇用調整金16億3394万余円の支給である。
なお、53事業年度における損益についてみると、納付金収入等の収益195億1712万余円、身体障害者雇用促進事業費等の費用50億6766万余円で、144億4945万余円の純利益を生じており、この純利益は積立金として積み立てられている。また、53事業年度末における積立金の残高は224億0738万余円となっている。