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  • 昭和56年度|
  • 第2章 所管別又は団体別の検査結果|
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国有財産の管理等が適切でなかったもの


(5)(6) 国有財産の管理等が適切でなかったもの

会計名 国立学校特別会計
部局等の名称 琉球大学
国有財産の概要 那覇市首里石嶺地区所在の土地(行政財産) 2,409m2
国有財産台帳価格(昭和56年3月末現在) 43,017,494円
給与支払額等 (1)給与支払額(児童手当を含む。) 2,955,123円
(昭和55年8月から57年4月まで)
(2)国家公務員共済組合負担金 468,948円
(昭和55年9月から57年5月まで)
合計 3,424,071円

 上記部局では、同大学職員によって、昭和48年7月以降3回にわたり、大学用地計2,409m2 (国有財産台帳価格43,017,494円)について、国以外の者に対して不正に所有権の移転登記が行われ、占有使用されていたのに、これを放置しており、国有財産の管理が著しく適切を欠いていると認められる。また、上記事実の一部が判明した後、同職員が無断で長期欠勤していたのに、これに対し漫然と給与2,955,123円を支払うとともに、国家公務員共済組合負担金468,948円を負担していた。

(説明)

(5) 1 国有財産の管理について

 琉球大学において、同大学職員大城某が、大学用地の一部を学長印を盗用して作成した売買契約書、登記申請委任状等により不正に売り払ったうえ所有権の移転登記を行い、買受人等が長期にわたり占有使用していたのに、これを放置していて、国有財産の管理についての事務等が適切を欠いていると認められる事例が次のとおりあった。

(1) 昭和48年7月、那覇市首里石嶺町2丁目所在の土地333m2 (国有財産台帳価格4,640,765円)が、平安某に4,545,000円で売り払われ、同年10月、買受人に対する所有権移転登記が行われているものがあった。そして、当該土地は、買受人により、同年12月、地積訂正(347m2 に訂正)及び分筆の登記が行われた後、うち343.62m2 が49年3月までの間に更に第三者(3人)に転売され、所有権移転登記も行われ、第三者に占有使用されていたのに、同大学では、本院が57年4月の会計実地検査の際下記(2)、(3)の事態を指摘したことを契機に同年5月に本件事態が判明するまでの間、長期にわたりその事実に気付かなかった。

(2) 49年8月、那覇市首里石嶺町4丁目所在の土地882m2 (国有財産台帳価格16,304,564円)が、金城某に8,046,720円で売り払われたうえ、51年12月、買受人に対する所有権移転登記が行われているものがあり、同大学では52年7月に当該土地に係る所有権移転登記の事実に気付いたが、それに関する大城某の虚偽の説明を信じて事実確認を怠ったため、同人による国有財産不正売払いの事実を看過する結果となった。

(3) 53年12月、那覇市首里石嶺町4丁目所在の土地1,194m2 (国有財産台帳価格22,072,165円)が、名嘉真某に29,335,500円で売り払われたうえ、54年1月、買受人に対する所有権移転登記が行われているものがあった。しかも、この所有権移転登記の事実について、同大学は55年3月に発見し、それを契機に調査した結果、同年5月に大城某による本件及び前記(2)の国有財産不正売払いの事実を確認したが、その際、同大学は同人の買戻しによる国有財産の原状回復を図るよう同人に申し渡しただけで、財産保全のための適切な法的措置を講ずることなく、57年4月の会計実地検査時まで放置していた。

 なお、(2)の事態については、57年6月、所有権移転登記の抹消登記が完了し原状に復しているが、(1)、(3)については、依然として買受人等による占有使用の事態が続いている。

(6) 2 給与の支払等について

 同大学では、前記1(3)のとおり、55年5月に大城某による国有財産不正売払いの事実が判明した後、同人は55年8月以降無断で欠勤し、沖縄県から東京都に転居して住民登録を移し、都内某民間会社に就職し、公務に従事する意思を全く放棄していたことを知っていたにもかかわらず、これに対して適切な処置を執ることなく、有給休暇又は欠勤として取り扱っていたのは、その処置当を得ないと認められ、このため、長期間にわたり同人に対して漫然と給与(児童手当を含む。)2,955,123円(55年8月から57年4月まで)を支払い、また、国家公務員共済組合負担金468,948円(55年9月から57年5月まで)を負担していた。