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  • 昭和56年度|
  • 第2章 所管別又は団体別の検査結果|
  • 第1節 所管別の検査結果|
  • 第3厚生省|
  • 不当事項|
  • 補助金

児童保護措置費補助金の経理が不当と認められるもの


(35)−(64) 児童保護措置費補助金の経理が不当と認められるもの

会計名及び科目 一般会計 (組織)厚生本省 (項)児童保護費
部局等の名称 北海道ほか19都府県
補助の根拠 児童福祉法(昭和22年法律第164号)
事業主体 (1)保育所措置費補助金に係る事業
   市22、特別区1、町4、計27事業主体
(2)収容施設措置費補助金に係る事業
   県2、市1、計3事業主体
補助事業 (1)保育所措置費補助金に係る事業
   市町村長(特別区の区長を含む。)が保育に欠けると認めた児童を保育所に入所させ保育する事業
(2)収容施設措置費補助金に係る事業
   都道府県知事(指定都市の市長を含む。)が保護者のない児童又は保護者に監護させることが不適当であるとされた児童を児童収容施設に入所させ保護する事業
上記に対する国庫補助金交付額の合計 (1)保育所措置費補助金
   55年度 23,134,355,128円
   56年度 207,716,144円
(2)収容施設措置費補助金
   55年度 6,910,486,766円

 上記の30補助事業において、事業費の精算が過大となっていて、国庫補助金100,524,370円(保育所措置費補助金96,213,184円、収容施設措置費補助金4,311,186円)が不当と認められる。これを都道府県別に掲げると別表 のとおりである。

(説明)

(1) 保育所措置費補助金について

 この補助事業は、児童福祉法の規定に基づいて市町村長(特別区の区長を含む。)が保育を要する児童を保育所に入所させた場合に、その市町村に対して入所後の保育に要する費用を補助するものである。そして、この交付額は、当該市町村が実際に児童の保育に要した経費から寄附金を控除した額と、保育所の所在する地域別、収容定員別、児童の年齢別及び保育所長の設置又は未設置の区分別に定められている保育単価(民間保育所にあっては、更に民間施設給与等改善費を加算した額)に全保育所の年間の措置児童数を乗じて算出した額(以下「支弁総額」という。)とを比較して、いずれか少ない方の額から、児童又はその扶養義務者の前年分の所得税の額等を基準として算定した徴収金の合計額を控除した額を補助対象事業費とし、この額に10分の8を乗じた額となっている。この場合、公立保育所について所長設置としての保育単価を適用できるのは、当該所長が児童福祉事業に2年以上従事した者であって、児童福祉施設を適切に運営する能力を有する者で、かつ、常時実際にその保育所の運営管理の業務に専従している者に限られている。また、民間保育所について保育単価を算定する際に加算される民間施設給与等改善費(以下「改善費」という。)は、保育所職員1人当たりの平均勤続年数を基として別に定められた額によることとなっている。

 しかして、前記27事業主体においては、補助対象事業費の精算に当たり、前年分の所得税の額の把握を誤るなどして徴収金を算定し、また、職員1人当たりの平均勤続年数を誤って改善費の加算額を適用していたり、保育所長が児童福祉事業に2年以上従事していないなどしているのに所長設置の保育単価を適用していたりして支弁総額を算定し、過大に精算していた。

(2) 収容施設措置費補助金について

 この補助事業は、児童福祉法の規定に基づいて、都道府県知事(指定都市の市長を含む。)が、保護者のない児童又は保護者に監護させることが不適当であるとされた児童を児童収容施設に入所させた場合に、その都道府県に対して入所後の保護に要する費用を補助するものである。そして、この交付額は、当該都道府県が実際に児童の措置のために要した経費から寄附金を控除した額と支弁総額(施設の所在する地域別、収容定員別等に定められている事務費保護単価(民間施設にあっては、更に民間施設給与等改善費を加算した額)にその施設の定員を乗じて算出した額と、施設別、生活諸費等の費目別に定められている事業費保護単価に各月初日の措置児童数を乗じて算出した額とを合算した額の年間額の全施設の合計額)とを比較して、いずれか少ない方の額から、児童等又はその扶養義務者の前年分の所得税の額等を基準として算定した徴収金の合計額を控除した額を補助対象事業費とし、この額に10分の8を乗じた額となっている。この場合、民間施設について事務費保護単価を算定する際に加算される民間施設給与等改善費(以下「改善費」という。)は、個々の施設の職員1人当たりの平均勤続年数を基として別に定められた加算率によることとなっている。

 しかして、前記3事業主体においては、補助対象事業費の精算に当たり、職員1人当たりの平均勤続年数を誤って改善費の加算率を適用して支弁総額を算定するなどし、過大に精算していた。

(別表)

都道府県名 事業主体 年度 補助対象事業費 左に対する国庫補助金 不当と認めた補助対象事業費 不当と認めた国庫補助金 摘要
(保育所措置費補助金)

(35)

北海道

石狩町

55
千円
77,311
千円
61,849
千円
1,289
千円
1,031

所長設置の保育単価の適用を誤っていたもの
(36) 青森県 青森市 55 1,534,709 1,227,767 3,568 2,855 徴収金の算定を誤っていたもの
(37) 秋田県 秋田市 55 617,416 493,933 1,687 1,349
(38) 千葉県 野田市 { 55 161,790 129,432 2,507 2,005
56 141,493 113,194 1,567 1,253
(39)  同 佐倉市 55 137,189 109,751 1,771 1,417
(40)  同 流山市 { 55 129,966 103,972 1,559 1,247
56 118,151 94,521 1,044 835
(41) 東京都 練馬区 55 805,209 644,167 2,909 2,327
(42)  同 八王子市 55 796,004 636,803 2,011 1,609 改善費の加算額の適用を誤っていたものなど
(43) 神奈川県 横浜市 55 2,462,641 1,970,113 18,117 14,494 徴収金の算定を誤っていたものなど
(44)  同 川崎市 55 1,314,887 1,051,910 3,834 3,067 徴収金の算定を誤っていたもの
(45) 富山県 魚津市 55 224,947 179,958 1,553 1,242 徴収金の算定を誤っていたものなど
(46) 石川県 金沢市 55 1,918,984 1,535,187 36,849 29,479 徴収金の算定を誤っていたもの
(47)  同 小松市 55 629,752 503,802 9,081 7,265
(48)  同 松任市 55 189,684 151,747 1,417 1,133
(49) 山梨県 甲府市 55 904,927 723,941 2,524 2,019 徴収金の算定を誤っていたもの
(50) 京都府 京都市 55 4,803,856 3,843,084 2,145 1,716
(51) 大阪府 大阪市 55 6,324,384 5,059,507 1,848 1,478 徴収金の算定を誤っていたものなど
(52) 鳥取県 鳥取市 55 482,385 385,908 2,506 2,005 改善費の加算額の適用を誤っていたもの
(53) 岡山県 笠岡市 55 231,447 185,157 2,511 2,008 徴収金の算定を誤っていたもの
(54) 徳島県 牟岐町 55 34,419 27,535 2,276 1,820
(55)  同 山城町 55 27,854 22,283 1,623 1,298
(56) 長崎県 長崎市 55 1,341,692 1,073,354 1,735 1,388 改善費の加算額の適用を誤っていたもの
(57)  同 諌早市 55 486,312 389,050 3,714 2,971 徴収金の算定を誤っていたもの
(58)  同 長与町 55 134,718 107,774 1,471 1,177
(59) 大分県 杵築市 55 120,539 96,431 3,357 2,685
(60) 宮崎県 宮崎市 55 1,830,712 1,464,569 2,229 1,783
(61) 鹿児島県 鹿児島市 55 1,194,198 955,358 1,552 1,242
29,177,589 23,342,071 120,266 96,213
(収容施設措置費補助金)
(62) 愛知県 名古屋市 55 2,555,213 2,044,170 2,073 1,658 改善費の加算率の適用を誤っていたもの
(63) 徳島県 徳島県 55 2,110,130 1,688,104 1,426 1,141 改善費の加算率の適用を誤っていたものなど
(64) 福岡県 福岡県 55 3,972,764 3,178,211 1,888 1,510 改善費の加算率の適用を誤っていたもの
8,638,108 6,910,486 5,388 4,311
合計 37,815,697 30,252,558 125,655 100,524