会計名及び科目 | 一般会計 (組織)通商産業本省 (項)通商産業本省 |
部局等の名称 | 仙台通商産業局 |
事業主体 | 山形県 |
補助事業 | 昭和56年度県営唐戸屋地区覆土工事 |
工事費 | 12,957,000円 |
上記に対する国庫補助金交付額 | 9,717,750円 |
この補助事業において、工事の設計が適切でなかったため、国庫補助金3,539,136円が不当と認められる。
(説明)
この工事は,昭和56年度補助事業として,米沢市大字山梨沢地内で捨石鉱さいの崩壊流出を防止するため,唐戸屋鉱山(廃止鉱山)の捨石たい積場(以下「たい積場」という。)の表面保護工として覆土286m3 ,鋼製法(のり)枠787.7m2 及びたい積場排水施設として山腹水路延長54.7m等を工事費12,957,000円で施行したものである。
しかして,この種鉱害防止工事の施行に際しては,通商産業省で定めた「捨石,鉱さいたい積場建設基準」等により,現況調査,地質調査等の基本調査を行うこととなっているが,本件工事については基本調査を十分行わないまま,たい積場の表面保護工として,たい積場の法部分1,011m2 (下段部延長114m,法長4.24mから7.42m,上段部延長59.8m,法長1.06mから3.18m)を法勾配1割2分とし,厚さ17cm及び30cmの覆土をした後,法面の下段部787.7m2 に鋼製法枠を施工し,また,たい積場の排水施設として場外からの流入水を排除するための山腹水路の一部を施工していた。
しかし、本件工事のうち、表面保護工は、たい積後数十年を経過した捨石鉱さいを切盛土のうえ施工するもので、現況を変更することによりたい積土の安定性に影響を与えることが予想されるのであるから、地質調査等を十分行いその安定性が確保できる適切な法勾配で施工すべきであったと認められ、また、たい積場は、唐戸屋川沿いの山腹傾斜地の下側にあって沢水等が流入するなどの箇所であるから、地形、沢水の流入状況等について十分調査を行い、排水施設を適切に設置してたい積土の安定性を確保すべきであったと認められる。
しかるに,これらに対する配慮を欠いたため,工事施行後数箇月を経ずして通常の気象等の条件下であったにもかかわらず,前記表面保護工は全面的に崩壊し,各所に湧水がみられる状況であった。この結果,表面保護工の工事費4,718,847円(国庫補助金相当額3,539,136円)が不当となっていると認められる。