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  • 昭和56年度|
  • 第2章 所管別又は団体別の検査結果|
  • 第1節 所管別の検査結果|
  • 第7 郵政省|
  • 意見を表示し又は処置を要求した事項

郵政事業特別会計の機械器具に係る経理について処置を要求したもの


郵政事業特別会計の機械器具に係る経理について処置を要求したもの

(昭和57年11月17日付け57検第398号 郵政大臣あて)


 郵政事業特別会計(以下「郵政特会」という。)は、郵政事業を企業的に経営し、その健全な発達に資するため設置され、郵政事業の資産及び資本の増減異動並びに利益又は欠損を明らかにするため、貸借対照表勘定及び損益勘定を設けて計理し、その財政状態と経営成績を明らかにすることとなっている。

 しかして、郵政特会における機械器具の経理についてみると、固定資産として経理する機械器具は、郵政大臣が郵政事業特別会計規程(昭和46年3月公達第10号)で鉄道郵便車、郵便番号自動読取区分機、郵便物自動選別取りそろえ押印機及び電子計算機の4品目だけを指定しており、このうち電子計算機については取得価格1,000万円以上の本体に限ることとしている。そして、これに基づいて昭和56年度末現在で588個739億28百万余円を固定資産に計上していて、これら4品目を除く機械器具の取得費は取得年度の損金として経理してきている。

 しかしながら、郵政省では、郵政事業の機械化に伴い、書留複写機、為替貯金窓口端末機等の高額な機械器具が毎年大量に取得されてきているのにこれらを固定資産として経理していないのは、資産状況を適切に表示し、損益を適正に経理しているとは認められない。

 なお、他の事業特別会計や日本国有鉄道等3公社では、いずれも固定資産とする機械器具の範囲を郵政特会のようにごくわずかの品目に限定してはいない。

 いま、仮に56年度末現在における郵政特会の機械器具のうち、物品管理法(昭和31年法律第113号)等の規定に基づき物品増減及び現在額報告書に計上している機械器具1819億36百万余円について、これを固定資産に計上したとすれば、現在固定資産として経理している機械器具739億28百万余円に比べ1080億08百万余円の資産が増加計上されることとなり、また、同省が採用している総合償却法により上記増加計上されることとなる機械器具の耐用年数を5年として、この機械器具のうち、51年度から56年度までの間に購入したもの952億42百万余円について減価償却費を計算し56年度の損益を修正したとすれば、同年度の利益金は5億62百万余円増加することとなる。

 このような事態を生じているのは、郵政事業における機械化の進展に対応して固定資産の範囲が適切に定められていないことによるものと認められる。

 ついては、今後も郵政事業の機械化が引き続いて進められ、大量に高額な機械器具を取得することが見込まれるから、固定資産として経理する機械器具の範囲を適切なものに改め、これに基づいて固定資産及び損益を経理し、もって郵政特会の財政状態と経営成績を適正に表示する要があると認められる。