雇用保険の失業給付金の支給が適正でなかったもの

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（１４４）　雇用保険の失業給付金の支給が適正でなかったもの

　上記の１，０５４人に失業給付金418,531,009円を支給しているが、支給に当たって調査が十分でなかったため、１３４，７０９，６２４円が不適正に支給されていた。これらについては、本院の注意により、すべて返還の処置が執られた。これを都道府県ごとに集計して掲げると別表 のとおりである。

　これは、北海道ほか２３都府県（昭和５６年７月５日までは札幌公共職業安定所ほか２２３公共職業安定所）において失業給付金の支給を受けた者のうち、再就職した者１８，８７７人について本院が調査した結果である。

（説明）

　雇用保険は、原則としてすべての雇用労働者を被保険者とし、被保険者が失業したときにその生活の安定を図るなどのため失業給付金の給付を行うほか、雇用安定事業、雇用改善事業等により中高年齢者雇用開発給付金等の給付を行う保険である。このうち、失業給付金の給付は、受給資格者（注） について公共職業安定所が受給資格者から同人が就職、就労等の事実があればこれを記載することが義務付けられている失業認定申告書を提出させることにより定期的に失業の認定を行い、その認定の都度、これに基づいて都道府県（５６年７月５日までは公共職業安定所）が失業給付金を支給することにより行うこととしている。

　しかして、失業給付金の支給の適否について検査したところ、前記の札幌公共職業安定所ほか２２３公共職業安定所のうち207公共職業安定所において、受給者が再就職していながらこれを上記の申告書に記載していないなど申告書の内容が事実と相違しているものがあったのに、申告書に対する調査が十分でないまま失業の認定を行ったため、これに基づいて失業給付金を支給した北海道ほか２３都府県（５６年７月５日までは札幌公共職業安定所ほか２０６公共職業安定所）では本院が調査した受給者１７，５５５人分の給付のうち１，０５４人分４１８，５３１，００９円について１３４，７０９，６２４円が不適正に支給されていた。

（注） 　受給資格者　事業所を管轄する公共職業安定所が事業主から提出された離職証明書に基づいて離職票を作成して離職した被保険者に交付し、その被保険者はこれを居住地の公共職業安定所に提出し、原則として離職日以前１年間に被保険者期間が通算して６箇月以上あり、かつ、労働の意思及び能力があるにもかかわらず職業に就くことができない状態にあることなどの認定を受けることになっており、この認定を受けた者が受給資格者である。

（別表）

都道府県名	公共職業安定所	本院が調査した受給者数	不適正受給者数	左の受給者に支給した失業給付金	左のうち不適正失業給付金
		人	人	千円	千円
北海道	札幌ほか16	1,485	82	25,822	11,014
青森県	青森ほか5	568	50	16,407	4,429
秋田県	秋田ほか5	555	34	13,417	3,102
山形県	山形ほか5	514	47	17,312	4,297
栃木県	宇都宮ほか7	761	33	14,563	4,318
埼玉県	川口ほか9	906	46	22,906	9,178
千葉県	千葉ほか9	767	55	20,065	7,671
東京都	飯田橋ほか13	1,280	49	21,845	8,493
神奈川県	横浜ほか12	992	40	20,612	6,021
新潟県	長岡ほか10	811	55	18,157	6,883
富山県	富山ほか7	610	46	21,095	7,212
石川県	金沢ほか6	548	53	18,273	6,720
静岡県	静岡ほか8	756	48	17,117	3,502
愛知県	名古屋東ほか9	759	49	20,132	5,366
京都府	京都西陣ほか6	700	61	28,071	8,594
大阪府	大阪東ほか7	734	30	15,522	5,822
和歌山県	和歌山ほか7	636	44	16,114	5,511
岡山県	岡山ほか4	374	22	9,217	2,151
広島県	広島ほか8	655	46	21,813	5,906
山口県	山口ほか8	917	48	21,769	5,955
香川県	高松ほか4	412	18	6,101	2,211
福岡県	福岡ほか7	738	41	14,635	4,569
大分県	大分ほか6	589	31	9,340	3,794
宮崎県	宮崎ほか5	488	26	8,216	1,977
計	207箇所	17,555	1,054	418,531	134,709