会計名及び科目 | 一般会計(組織)建設本省 | (項)急傾斜地崩壊対策事業費 (項)海岸事業費 (項)住宅建設等事業費 (項)都市計画事業費 (項)河川等災害復旧事業費 |
道路整備特別会計 | (項)道路事業費 | |
治水特別会計(治水勘定) | (項)河川事業費 |
部局等の名称 | 岩手県ほか15府県 |
補助の根拠 | 公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法(昭和26年法律第97号)、道路法(昭和27年法律第180号)、下水道法(昭和33年法律第79号)等 |
事業主体 | 府1、県9、市2、町4、計16事業主体 |
補助事業 | 岩手県下閉伊郡普代村海岸高潮対策(54年度)等19事業 |
上記に対する国庫補助金交付額の合計 | 822,635,842円 |
上記の19補助事業において、工事の設計又は工事費の積算が適切でなかったり、工事の施工が設計と相違していたり、補助金を不正に受給したりなどしていて国庫補助金205,247,043円が不当と認められる。このうち191,119,543円は一般会計の分(12事業)、11,541,500円は道路整備特別会計の分(6事業)、2,586,000円は治水特別会計の分(1事業)である。これを府県別に掲げると別表 のとおりである。
(説明)
建設省所管の補助事業は、地方公共団体等が事業主体となって実施するもので、同省ではこれらの事業主体に対して事業に要する費用について補助金を交付している。
しかして、これらの補助事業の実施及び経理について検査したところ、前記の16事業主体が実施した小集落地区改良事業、下水道事業及び道路事業等の19事業において、工事の設計又は工事費の積算が適切でなかったり、工事の施工が設計と相違していたり、補助金を不正に受給するなどしていた。
いま、これらについて不当の態様別に示すと次のとおりである。
工事の設計又は工事費の積算が適切でないもの | ||
6事業 | 不当と認めた国庫補助金 | 51,237,017円 |
工事の施工が設計と相違しているもの | ||
11事業 | 不当と認めた国庫補助金 | 29,124,348円 |
補助金を不正に受給したものなど | ||
2事業 | 不当と認めた国庫補助金 | 124,885,678円 |
府県名 | 事業 | 事業主体 | 事業費
|
左に対する国庫補助金 | 不当と認めた事業費 | 不当と認めた国庫補助金 | 摘要 | |
(150) |
岩手県 |
下閉伊郡普代村海岸高潮対策(54年度) |
岩手県 |
千円 78,530 |
千円 52,353 |
千円 9,221 |
千円 6,147 |
工事の施工不良 |
(151) | 同 | 同(55年度) | 同 | 35,202 | 23,468 | 4,898 | 3,265 | 同 |
小計 | 113,732 | 75,821 | 14,119 | 9,412 | ||||
これらの工事は、津波、高潮等から海岸地域を保全するため、普代川河口宇留部地内に、防潮水門及びその両側に海岸堤防等を新設する工事(事業計画昭和47年度から58年度まで)の一環として、昭和54年度に海岸堤防左岸側延長69mの堤体盛土10,260m3
、表法覆い(おもてのりおおい)として張りコンクリート工976.6m2
、裏法覆いとしてコンクリート枠張工1,401.3m2
、天端(ば)覆いとしてコンクリート舗装工1,094.5m2
等を、また55年度にこの堤防に避雑用の階段等を施工したものである。 しかして、うち海岸堤防左岸側の取付部から31.7mの区間については設計書、図面及び仕様書によると、盛土施工に当たっては、土砂を一層ごとに仕上り厚さが30cm程度となるようまき出し、特に既設の通路用ボックスカルバート(内幅5m、内高4.8m)の周辺は入念に締め固めることとし、また1日1回盛土の現場密度試験を行って締め固め状態を確認しながら最低5mから最高9.8mまで逐次盛り上げて堤体を築造し、その仕上げ法面、天端等に切込砕石を厚さ15cmから30cm敷きならしたうえ張りコンクリート、コンクリート舗装等を施工して築堤全体を被覆し、その表面に幅2.4mの階段を設置することとしていた。 しかるに、盛土の施工に当たり、締め固め状態を確認する現場密度試験を全く行わないなど施工管理が十分でなく、転圧等の施工が粗雑となっていたことから締め固めが不十分な状態となっていて、この築堤盛土にコンクリートを打設したなどのため、堤体盛土が沈下し天端のコンクリート舗装(134m2 )と敷きならした切込砕石との間に空げき(最大11cm)を生じていたり、張りコンクリート(238m2 )、コンクリート枠張(211m2 )及び階段等に多数のき裂(最大幅6mm、長さ7m)が生じていたりなどしている状況で、海岸堤防としての強度が設計に比べて著しく低下している。 |
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(152) | 山形県 | 寒河江市間沢寒河江山形線大規模自転車道整備 | 山形県 | 48,960 | 24,480 | 2,939 | 1,469 | 工事費の積算過大 |
この工事は、県道間沢寒河江山形線の大規模自転車道整備事業の一環として、昭和55年度に寒河江市白岩地内に橋長134.3m、幅員3mの橋りょうの飯桁(ばんげた)等を製作、架設したもので、工事費の積算についてみると、飯桁は、各種鋼材を工場で加工することとし、その工場労務費については、山形県が制定している「積算基準及び標準歩掛表」により鋼種ごとの1t当たり標準工数にそれぞれの鋼材重量を乗じ、これに所定の補正を行って延べ769工数と算出し、この工数に1工数当たりの労務単価9,300円を乗じて直接労務費を7,151,700円、二次労務費を10,369,965円(直接労務費の145%)と算定していた。 しかし、上記工数の算出に当たり599工数とすべきところ計算を誤って769工数としたため170工数が過大となっており、適正な工数によると直接労務費は5,570,700円、二次労務費は8,077,515円となる。 いま、仮に上記により工事費を修正計算すると、積算不足となっていた仮設費等1,149,220円を考慮しても総額46,020,776円となり、本件工事費はこれに比べて約2,939,000円割高となっていると認められる。 |
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(153) | 茨城県 | 水海道市八間堀川中小河川改修(第7−4工区) | 茨城県 | 29,400 | 19,600 | 3,880 | 2,586 | 工事の施工不良 |
この工事は、八間堀川改修事業の一環として、昭和55年度に水海道市沖新田町地内の八間堀川の右岸側において、築堤工延長960m、法覆工11,630m2
及び護岸工1,300m2
等を施工したもので、うち法覆工は、堤防の法面等を流水、降水による浸食から防護するため、表法面に張芝7,260m2
を、裏法面に筋芝4,370m2
等を施工することとしているが、仕様書等によると、張芝及び筋芝の施工に当たっては、盛土に混入している葦の根等の有害物を取り除き、芝の生育を妨げないようにするとともに、冬期施工となるので凍害を受けないよう保温の措置を講じることとしていた。 しかるに、芝の植付けに当たって、盛土に混入していた葦の根等の有害物を十分に除去しなかったり、厳寒期であるのに養生が十分でなかったりしたことなどにより、上記のうち張芝1,862m2 及び筋芝1,105m2 が枯死していて法面保護の目的を達していない。 |
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(154) | 神奈川県 | 横須賀市一般国道134号特定交通安全施設等整備 | 神奈川県 | 75,297 | 37,648 | 2,899 | 1,449 | 工事費の積算過大 |
この工事は、一般国道134号の横須賀市大津地内に交通安全施設として、昭和55年度に路側にコンクリートブロック練り積み擁壁266.6m2
等を施工し国道に橋長27.5m、幅員2.5mの横断歩道橋を架設したもので、工事費の積算についてみると、擁壁工費については直高2m未満の121.9m2
に1m当たり単価21,310円、直高2m以上の144.7m2
に1m2
当たり単価45,601円をそれぞれ乗ずるなどして計9,528,826円と算定し、また、歩道橋架設費のうち主桁の架設費については、主桁架設の対象重量を64.5t、架設作業回数を6回として架設所要日数等を算出しこれに架設労務費等を乗じ計1,278,338円と算定していた。 しかし、擁壁1m2 当たりの単価の算定の過程においてコンクリート単価を計算する際、誤って材料単価に打設費等を含む他の構造物の複合単価を用いたり、直高2m以上の施工箇所で必要なトラッククレーンの運転経費を誤って10m2 当たりの運転時間を用いて算定したりしていたので、適正な1m2 当たり単価を計算すると直高が2m未満の場合は17,294円、2m以上の場合は19,206円となり、擁壁工費は5,219,919円となる。また、横断歩道橋の主桁の架設費の算定において架設対象重量及び架設作業回数を誤って主桁以外のものを含めて算定していたので、適正な重量等を計算すると架設対象重量は24.2t、架設作業回数は1回となり、主桁の架設費は443,124円となる。 いま、仮に上記により工事費を修正計算すると、積算不足となっていた横断歩道橋の架設用トラッククレーン組立解体費等2,923,590円を考慮しても総額72,397,005円となり、本件工事費はこれに比べて約2,899,000円割高となっていると認められる。 |
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(155) | 山梨県 | 西八代郡下部町一般国道300号54年災害復旧 | 山梨県 | 18,039 | 12,032 | 2,424 | 1,616 | 工事の施工不良 |
この工事は、昭和54年10月の台風で被害を受けた下部町中の倉地内の一般国道300号の延長25m区間を復旧するため、54、55両年度に道路の山側斜面にモルタル吹付け890.8m2
及びコンクリートブロック擁壁等を施工したもので、うちモルタル吹付けは、設計書及び仕様書等によると、地山法面の浮石等をかき落して清掃した後、全面にわたり径2mmの金網(網目5.2cm×5.2cm)を張り、この金網をアンカーボルトでモルタル吹付け厚さのほぼ中間に位置するように固定したうえ、吹付けの際にはモルタルのはね返り等吹付けモルタルの付着を害するものを十分取り除いて、モルタルを地山から厚さ7cmに吹き付けることとしていた。 しかるに、モルタル吹付けのうち479.1m2 については、地山法面の土砂等のかき落し清掃が十分行われていなかったり、金網の一部を直接地山に張り付けたり、モルタルを斜面の上部から吹き付けていく際生じたモルタルのは ね返り等が下部の金網に付着したりしているのにこれを十分取り除かないまま施工したりしていて、施工が著しく粗雑となっており、吹付けモルタルの一部にき裂を生じていたり、モルタルが地山に密着せず地山との間に空げきを生じており、モルタル吹付け厚さも平均6.2cm程度で施工されている状況であった。 |
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(156) | 山梨県 | 南巨摩郡身延町県道市川大門下部身延線55年災害復旧 | 山梨県 | 49,587 | 33,074 | 2,335 | 1,557 | 工事の施工不良 |
この工事は、昭和55年4月の降雨による地すべりで被害を受けた身延町下八木沢地内の県道市川大門下部身延線の延長54m区間を復旧するため、55年度に道路の山側斜面にモルタル吹付け2,813.8m2
及びコンクリート法枠等を施工したもので、うちモルタル吹付けは、設計書及び仕様書等によると、地山法面の浮石等をかき落して清掃した後、全面にわたり径2mmの金網(網目5.2cm×5.2cm)を張り、この金網をアンカーボルトでモルタル吹付け厚さのほぼ中間に位置するように固定したうえ、吹付けの際にはモルタルのはね返り等吹付けモルタルの付着を害するものを十分取り除いて、モルタルを地山から厚さ7cmに吹き付けることとしていた。 しかるに、モルタル吹付けのうち492.4m2 については、地山法面の土砂等のかき落し清掃が十分行われていなかったり、金網の一部を直接地山に張り付けたり、モルタルを斜面の上部から吹き付けていく際生じたモルタルのはね返り等が下部の金網に付着したりしているのにこれを十分取り除かないまま施工したりしていて、施工が著しく粗雑となっており、吹付けモルタルの一部にき裂を生じていたり、モルタルが地山に密着せず地山との間に空げきを生じており、モルタル吹付け厚さも平均4.8cm程度で施工されている状況であった。 |
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(157) | 三重県 | 安芸郡芸濃町小集落地区改良(不良住宅買収・除却) | 芸濃町 | 509,677 | 339,784 | 183,588 | 122,391 | 補助金の不正受給 |
この事業は、安芸郡芸濃町が小集落地区の環境の整備改善を図る事業の一環として、昭和49年度から56年度までの間に施行したもので、不良住宅の買収(以下「買収」」という。)161戸分を401,555,000円、買収した住宅の除却(以下「除却」という。)158戸分を108,122,000円、計509,677,000円の事業費で実施したこととして国庫補助金339,784,000円の交付を受けていた。 しかし、実際は、補助金交付申請書記載の事業費を下回った額で実施しているのに申請どおりの額で実施したこととしていて剰余を生じていたものが買収104戸分、除却54戸分で95,216,789円、買収又は除却が完了していないのにこれを完了したこととしていたものが買収16戸分、除却26戸分で78,875,677円、既に補助金の交付を受けて買収、除却が完了しているものを再び補助対象として申請し二重に補助金の交付を受けているなど補助対象外のものが買収、除却各3戸分で9,496,048円、計183,588,514円あり、これに対する国庫補助金122,391,678円を不正に受給していた。なお、同町ではこのようにしてねん出した資金を別途に経理し、本事業対象地内の補助対象となっていない住宅の買収費及び除却費、改良住宅附帯工事費、整地工事費等の支払いに充て、残余の84,719,272円は会計実地検査当時(57年4月)銀行預金等として保有していた。 |
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(158) | 滋賀県 | 神崎郡永源寺町県道近江八幡員弁線災害防除 | 滋賀県 | 28,808 | 14,404 | 8,798 | 4,399 | 工事の施工不良 |
この工事は、県道近江八幡員弁(いなべ)線の神崎郡永源寺町紅葉尾(ゆずりお)地内での落石による災害を防止するため、昭和56年度に覆式ロックネット6,580m2
を道路の山側斜面6箇所に施工したもので、設計書及び図面等によると、斜面上部の岩盤に使用するルーフボルトアンカー(長さ1m、径22mm及び径25mm)28本及び土中に使用する羽根付きアンカー(長さ1.5m、径25mm)164本を4m程度の間隔で設置し、これらのアンカーに取り付けた径12mm及び径16mmのワイヤロープを斜面の下側まで降ろした後、斜面に金網を張り渡し、更に金網の左右両側にルーフボルトアンカー23本及び羽根付きアンカー30本を設置して、これに径12mm及び径16mmのワイヤロープを取り付けて金網を押さえることなどとしている。そして、ルーフボルトアンカーは、表土や風化した軟岩を取り除き堅固な岩盤に深さ90cm削孔してこの中に挿入し、打ち込んでその先端部に取り付けられているくさびを開かせ岩盤に定 着させることとしていた。 しかるに、ルーフボルトアンカー51本についてみると、アンカーの打ち込みが十分でなかったためくさびは十分開かず岩盤に定着しておらず、うち46本は土砂や風化した軟岩を十分取り除かないまま削孔して挿入したため、岩盤への根入れが10cmから90cm程度不足していて施工が著しく粗雑となっており、これらのルーフボルトアンカーは容易に引き抜くことができる状況で、特に斜面の上部に設置された28本に支えられている覆式ロックネット2,114m2 は極めて不安定な状態となっていた。 |
(参考図)
(159) | 大阪府 | 大阪府流域下水道今池下水処理場築造 | 大阪府 | 158,787 | 114,167 | 2,298 | 1,532 | 工事の出来高不足 |
この工事は、大和川下流西部流域下水道事業の一環として、昭和56年度に今池下水処理場の汚泥焼却炉基礎及び盛土等を施工したもので、うち盛土工は、設計書及び図面によると、同処理場の敷地の一部11,522m2
に同処理場内で施工した他の工事の掘削残土(粘土質の多いもの)14,893m3
を流用盛土し、更に購入まさ土を1.0mの厚さに7,594m3
盛土することとしていた。 しかるに、まさ土の盛土は、平均厚さ86.8cm、6,592m3 を施工したにすぎず、設計に比べて出来形が1,002m2 不足している。 |
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(160) | 兵庫県 | 揖保郡新宮町町道下野東河原線災害防除 | 新宮町 | 12,684 | 6,342 | 3,737 | 1,868 | 工事の施工不良 |
この工事は、町道下野乗河原線の新宮町新宮地内での落石等による災害を防止するため、昭和55年度に道路の山側斜面にモルタル吹付け1,567.8m2 及びコンクリートブロック練り積み擁壁94.5m2 等を施工したもので、うちモルタル吹付けは、設計書、図面及び仕様書によると、地山法面の浮石等をかき落して清掃した後、全面にわたり径2mmの金網(網目5.2cm×5.2cm)を張り、この金網をアンカーボルトでモルタル吹付け厚さのほぼ中間に位置するように固定したうえ、吹付けの際にはモルタルのはね返り等吹付けモルタルの付着を害するものを十分取り除いて、モルタルを地山から厚さ7cmに吹き付けることとしていた。 しかるに、モルタル吹付けのうち738m2 については、地山法面の土砂等のかき落し清掃が十分行われていなかったり、金網を直接地山に張り付けたり、モルタルを斜面の上部から吹き付けていく際生じたモルタルのはね返り等が下部の金網に付着したりしているのにこれを十分取り除かないまま施工したりしていて、施工が著しく粗雑となっており、吹付けモルタルの一部にき裂を生じていたり、モルタルが地山に密着せず地山との間に空げきを生じており、モルタル吹付け6.3cm程度で施工されている状況であった。 |
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(161) | 奈良県 | 高市郡明日香村県道多武峰見瀬線道路改良(第10号) | 奈良県 | 28,273 | 18,848 | 1,827 | 1,218 | 工事の施工不良 |
この工事は、県道多武峰見瀬線の改良の一環として、昭和55年度に明日香村細川地内の道路延長188.5mを新設するため、山留工及びモルタル吹付け法枠工等を施工したもので、うち切土法面の崩落を防止するため施工したモルタル吹付け法枠工152m2
は、設計書、図面及び仕様書によると、梁(はり)(断面20cm×20cm)を地山に縦、横1m間隔で格子状に設置するものであるがその施工に当たっては、法面に合わせて設置した型枠内に鉄筋を配筋し、法面のすべりを防止するため梁の交差部に主アンカーとして鋼管(外径48.6mm、長さ80mm)144本を、各交差部の中間に補助アンカーとして鉄筋(径10mm、長さ40cm)242本をそれぞれ打ち込んで固定したうえ、型枠内にモルタルを吹き付けて法枠を構築し、法枠内には張芝をした上に覆土を施工することとしていた。 しかるに、交差部に打ち込むこととした鋼管144本のうち、53本は全く施工していなかったり、40本は鋼管に代えて径16mmの鉄筋を打ち込んでいたり、また、各交差部の中間に打ち込むこととした鉄筋242本は全く施工していなかったり、張芝の覆土が十分でなかったため一部張芝が活着していなかったりしていて、施工が著しく粗雑となっている。 |
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(162) | 広島県 | 広島市公共下水道南観音処理分区管きょ築造(第5号) | 広島市 | 76,017 | 35,439 | 39,431 | 23,658 | 工事の設計不適切 |
(163) | 同 | 同(第6号) | 同 | 43,820 | 21,892 | 36,486 | 21,892 | 同 |
これらの工事は、広島市公共下水道事業の一環として、昭和55年度に広島市南観音地内の公道路面下に管きょ延長641.7m(第5号工事369.3m、第6号工事272.4m管径500mm、450mm又は400mm)を開削工法又は推進工法により新設したもので、うち埋設深さ3.8mから5.5mで開削工法により施工した延長550.4m(第5号工事278m、第6号工事272.4m)については、遠心力鉄筋コンクリート管を使用することとし、外圧管一種(以下「一種管」という。)の土圧等の荷重に対応するひび割れ強さの数値が管径500mmのものは3,400kg/m、管径450mmのものは3,200kg/m、管径400mmのものは3,000kg/mであるとして土圧等に対する管体の構造計算を行った結果ひび割れ強さについての安全率が目標値とした1.00を超え1.15から1.62と算定されたので、この一種管を使用する設計で施工していた。 しかし、上記のひび割れ強さの数値はいずれも遠心力鉄筋コンクリート管の外圧管二種の数値を取り違えたもので、一種管の正しいひび割れ強さは管径500mmのものは1,800kg/m、管径450mmのものは1,700kg/m、管径400mmのものは1,600kg/mであって、これにより構造計算を修正すると、ひび割れ強さについての安全率は0.63から0.88となり、本件管きょは、適 切な設計によって施工された場合に比べていずれも土圧等の荷重に対する強度が不足していて不安定なものとなっている。 |
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(164) | 香川県 | 大川郡津田町小集落地区改良(不良住宅除却) | 津田町 | 13,000 | 8,667 | 3,741 | 2,494 | 事業の一部不実施 |
この事業は、大川郡津田町が小集落地区の環境の整備改善を図る事業の一環として、昭和55年度に、同年度中買収した不良住宅21戸のうち20戸(延べ面積2,064m2
)の除却を事業費13,000,000円で実施するもので、同町では本件事業が年度内にすべて完了したとして補助金の交付を受けていた。 しかるに、実際は、年度内に不良住宅の除却を完了したのは16戸(延べ面積1,470m2 )であって、残りの4戸(延べ面積594m2 )については56年6月2戸(延べ面積246m2 )を除却し、他の2戸(延べ面積348m2 )は会計実地検査当時(57年1月)においてもなお除却していなかった。なお、同町は本件事業に係る請負工事費相当額13,000,000円を支出して別途に保有し、請負人には年度経過後の56年6月に内金として5,000,000円を支払っただけで、残額の8,000,000円は会計実地検査当時においてもなお銀行預金として保有していた。 |
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(165) | 佐賀県 | 武雄市市道溝ノ上湯元練55年災害復旧 | 武雄市 | 41,786 | 27,871 | 3,837 | 2,559 | 工事の施工不良 |
この工事は、昭和55年7月の豪雨により被害を受けた武雄市武雄町地内の市道溝ノ上湯元線の延長124m区間を復旧するため、55年度に土留め擁壁として片法枠34組等を施工したもので、うち片法枠は、設計書及び図面等によると、鉄筋コンクリート製の枠材を組み合わせながら径5cmから15cmの割ぐり石331.5m3
を、枠内から脱落しないよう枠の周囲には大きめの石を張り立て、内側には大小とり混ぜ空げきが少なくなるように密に築き立て、中詰めすることとしていた。 しかるに、中詰めに当たって、枠材をすべて組み合わせた後、割ぐり石を枠の周囲に全く張り立てることなく形状寸法が様々な石を上部から乱雑に投入したり、枠の外から石をさし込んでいたりなどしていて、その施工が著しく粗雑となっていたため、中詰石は容易に脱落する状況で、片法枠の詰石の目的を達していない。 |
(参考図)
(166) | 長崎県 | 北松浦郡佐々町町道木場線55年町道木場線55年災害復旧 | 佐々町 | 16,150
|
10,772
|
2,444
|
1,630
|
工事費の積算過大 |
この工事は、昭和55年8月の豪雨により被害を受けた佐々町迎木場免地内の町道木場線の延長50m区間を復旧するため、55、56両年度に鉄筋コンクリートブロック枠(以下「ブロック枠」という。)延長48m(198m2 )及び片法枠4組等を施工したもので、工事費の積算についてみると、鉄筋コンクリートブロック枠工費(以下「ブロック枠工費」という。)については、ブロック枠1m2 当たり控材、A形土留材及びB形土留材をそれぞれ2.5本を要するとして198m2 分でそれぞれ495本を使用することとし、1m2 当たり部材費を20,090円、これにぐり石の詰め手間に係る労務費及びバックホー運転費を含んだ経費として1m2 当たり8,010円を加えブロック枠工費を1m2 当たり28,100円と算出し、198m2 分で5,563,800円と算定し、また、ブロック枠にぐり石を中詰めするための詰石工費についてはぐり石を198m2 分で122m3 使用することとして、その材料費に詰め手間を含めて1m3 当たり8,830円と算出し、122m3 分で1,077,260円と算定していた。 しかし、ブロック枠工のうちB形土留材は、長さ1mのものをブロック枠の基礎コンクリート延長48mに沿って横に1列だけ布設するものであるから、その数量は48本で足りるのでこれによれば部材費は1m2 当たり12,384 円となり、ブロック枠工費は1m2 当たり20,394円198m2 分で4,038,012円となる。また、ブロック枠工費の1m2 当たり8,010円の経費には前記のとおり詰石手間が含まれているのであるから、詰石工費の算定においては材料費1m3 当たり3,454円を計上すれば足り、これによれば詰石工費は421,388円となる。なお、片法枠に使用するぐり石44.4m3 の詰石工費392,052円についてもブロック枠工の詰石工費と同様の積算が行われており、正しい詰石工費は153,357円となる。いま、仮に上記により工事費を修正計算すると、積算不足となっていた鉄筋コンクリートブロック枠工の基礎工費等250,348円を考慮しても総額13,705,008円となり、本件工事費はこれに比べて約2,444,000円割高となっていると認められる。 |
(参考図)
(167) | 宮崎県 | 西都市県道高鍋高岡線特定交通安全施設等整備 | 宮崎県 | 20,461 | 10,230 | 2,274 | 1,137 | 工事費の積算過大 |
この工事は、県道高鍋高岡線の西都市山田地内に交通安全施設として、昭和55年度に歩道を新設するため、素堀水路を三面張りコンクリート水路延長136.3m(幅1.2m、高さ1.8m)に改築のうえ、鉄筋コンクリート床版延長123.3m(水路上部に敷設し歩道の一部として利用されるもので幅1.4m、厚さ0.15m)等を施工したもので、工事費の積算についてみると、鉄筋コンクリート床版工費は、10m当たりの数量を、コンクリート19.7m3
、鉄筋41.0kg、型枠6m2
、目地材1.9m2
として、これらにそれぞれの単価を乗じて、10m当たり326,280円と算出し、計4,032,820円と算定していた。 しかし、鉄筋コンクリート床版工10m当たりの数量のうち、コンクリート及び目地材の数量は、2.1m3 及び0.2m2 とすべきところを誤って三面張りコンクリート水路工の19.7m3 及び1.9m2 を用いたり、鉄筋及び型枠の数量は、鉄筋コンクリート床版工の5m当たり数量を用いたりなどしていたので適正な鉄筋コンクリート床版工費を計算すると、10m当たり87,848円となり、計1,083,067円となる。 いま、仮に上記により工事費を修正計算すると、積算不足となっていた三面張りコンクリート水路工費等538,050円を考慮しても総額18,186,334円となり、本件工事費はこれに比べて約2,274,000円割高となっていると認められる。 |
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(168) | 沖縄県 | 那覇市急傾斜地崩壊防止 | 沖縄県 | 25,690 | 11,560 | 5,277 | 2,374 | 工事の施工不良 |
この工事は、那覇市識名地内の急傾斜地の崩壊による災害を防止するため、昭和54、55両年度にコンクリートブロック法枠工(以下「法枠工」という。)636m2
、コンクリート擁壁延長78.5m等を施工したもので、うち法枠工は、設計書及び図面によると、施工場所が人家の密集した台地の斜面にあるので、背後の浸透水の水抜きを容易にするため、法長8.8mから10.8mの長い法面に既製の法枠ブロック(長さ85cm、幅15cm、厚さ20cm)を縦、横に配置して正方形状のブロック枠に組みたてて据え付け、各法枠の中央部を30cm掘り下げて集水ます(縦、横各30cm)を設け、その中にぐり石及び目つぶし用切込砕石を詰め、水抜パイプ(径6cm、長さ40cm)を挿入したうえ、枠内全面にぐり石を厚さ15cm築き立て、目つぶし用切込砕石を敷きならして締め固め、その表面を厚さ5cmの張りコンクリートで被覆することとしていた。 しかるに、法枠内の集水ますは全く施工していない箇所があったり、施工していた箇所も深さが平均3分の1程度となっていたり、目つぶし用切込砕石を全く施工していなかったりしているなど施工が著しく粗雑となっており、法枠工としての目的を達していない。 |
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計 | 1,310,169 | 822,635 | 322,335 | 205,247 |