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  • 昭和56年度|
  • 第2章 所管別又は団体別の検査結果|
  • 第2節 団体別の検査結果|
  • 第1 日本国有鉄道|
  • 本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項

業務委託駅の営業体制について


(5) 業務委託駅の営業体制について

 日本国有鉄道では、営業体制近代化施策の一環として、小規模駅を対象に無人化又は業務委託化を行ってきており、釧路鉄道管理局ほか27鉄道管理局等(注) で、昭和56年度において花咲駅ほか561駅の出札、改札及び荷物の取扱等業務(以下「駅業務」という。)を部外に委託しその業務委託経費として54億8368万余円を支払っている。これらの駅業務を委託した駅(以下「業務委託駅」という。)のうちには、出札、改札業務の対象となる乗車人員が1日平均1,200人未満の駅が509駅、荷物を取り扱っていてその収入が1日平均1万円未満の駅が365駅もあるなど取扱業務量が少ない駅が大半を占めている。

 そして、業務委託に当たっては、勤務時間、勤務形態、人員等の営業体制を各鉄道管理局長等があらかじめ決定し、契約条件として指示しているものである。

 しかして、本院において上記業務委託駅の営業体制の実態について調査したところ、主たる業務である乗客の取扱いなどの業務量が同程度と認められる駅であっても、要員配置や勤務形態が極めて区々となっていて、なかには取扱業務量に見合わない営業体制となっているものが、次のとおり見受けられた。

(1) 出札、改札、荷物の取扱いなど各業務ごとの業務量が少ないのに、それぞれの要員を配置しているもの
(2) 早朝、深夜の時間帯に発着する列車を利用する乗客が少ないのに、勤務形態を一昼夜交代勤務(1勤務の拘束時間が24時間のもの)あるいは特殊日勤勤務(同じく18時間以内のもの)として、初列車から終列車まで対応することとしているもの
(3) 早朝に新聞を取り扱うために一昼夜交代勤務の要員を配置しているもの

 しかしながら、これら業務委託駅は、地域の特殊事情等から業務委託化が適当であるとしたもので、その取扱業務量が少なく、無人駅と同程度であるものが大半であることを考慮すると、

(1) 出札、改札、荷物の取扱いなど各業務ごとの業務量が少ない駅については、これらの業務を兼務化し
(2) 早朝、深夜の時間帯に発着する列車を利用する乗客が少ない駅については、乗客に 対する乗車券等の取扱いを車内又は着駅で行い
(3) 早朝の新聞取扱いについては、新聞受入箱を設けてこれにより受渡しを行うなどして極力要員の圧縮等を図り経費の節減に努めるべきであると認められた。

 ついては、前記のように業務委託経費は多額に上っており、また、56年5月に策定した経営改善計画においても、合理化の基本的な施策の一つとして小規模駅の業務委託化を進めていくこととなっていて、今後も業務委託駅を増加させる必要があるのであるから、早急に各駅の実態を調査のうえ、取扱業務量に見合った勤務形態等の営業体制に関する基準を設定するなどの処置を講ずる要があると認められた。

 いま、仮に各駅ごとに上記のような改善策を採り入れることによって、その取扱業務量に見合う営業体制を定め、これにより契約したとすれば、前記562駅から57年度以降当局で無人化を予定している44駅を除くと、当面委託を継続することとしている518駅の業務委託経費52億1545万余円は、各鉄道管理局等の計算によっても333駅において約12億3800万円程度が節減できたこととなる。

 上記についての本院の指摘に基づき、日本国有鉄道では、57年10月に「駅業務委託契約締結に関する指針」の通達を発し、同月以降、新規に業務委託駅に移行する駅の契約に適用するとともに、上記333駅の営業体制について見直しの計画をたて、これに基づいて57年度に92駅(上記節減可能額のうち3億6300万円相当)、58年度に138駅(同5億3800万円相当)、59年度に103駅(同3億3700万円相当)それぞれ見直しを実施し業務委託経費を節減することとする処置を講じた。

(注)  釧路鉄道管理局ほか27鉄道管理局等 釧路、旭川、札幌、青函船舶、盛岡、秋田、仙台、新潟、高崎、水戸、千葉、東京北、東京西、長野、静岡、名古屋、金沢、大阪、天王寺、福知山、米子、岡山、広島、門司、大分、熊本、鹿児島各鉄道管理局及び四国総局