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上記の中小企業高度化資金の貸付けは、貸付けの目的に沿わない結果となっていて、中小企業事業団の貸付金相当額126,498,000円が不当と認められる。
(説明)
中小企業事業団では、中小企業者が企業規模の適正化、事業の共同化、工場・店舗等の集団化等を図るための事業の用に供する土地、建物その他の施設の取得等を行う場合に、これに必要な資金として中小企業高度化資金の貸付けを行う都道府県に対して、その財源の一部を貸し付けており、その貸付条件は、貸付利率を無利子から最高年4.1%、償還期限を最長16年以内とし、都道府県はこれに自己資金を合わせて中小企業者に貸し付けていて、その貸付条件は、貸付利率を無利子又は年2.7%、償還期限を上記と同様としていて、極めて低利かつ長期のものとなっている。そして、同事業団が都道府県に貸し付ける場合は、あらかじめ都道府県において借入申込者の事業計画応対する診断を実施し、同事業団で当該事業計画の内容を審査のうえ妥当と認めたものについて貸し付けることとしている。
しかして、上記の貸付けについて調査したところ、共同施設事業に対する貸付けに当たっての審査が十分に行われていなかったなどのため、貸付対象施設が貸付けの目的外に使用されるなどしていて、貸付けが不当と認められるものが、次のとおり、貸付金相当額179,443,000円(うち同事業団の貸付金相当額126,498,000円)見受けられた。
県名 | 県の貸付先 | 貸付対象 | 貸 付 昭和年月 (貸付利率) |
償還期限 昭和年月 |
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摘要 | |||||
(177) |
山形県 |
協同組合給食センター |
土地、工場ほか |
54.12 (年2.7%) |
66.11 |
千円 60,385 (39,018) |
千円 60,385 (39,018) |
目的外使用 |
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この貸付けは、組合員の雇用する従業員に対する給食用の共同施設を拡張するために土地、工場等を取得又は設置するのに必要な資金93,000,000円の一部として貸し付けたものであるが、当該施設設置の必要性を十分検討しないまま貸し付けたため、借受人はこの施設を設置直後から貸付対象とはならない一般家庭用夕食材料の包装事業に使用しており、また、昭和56年4月からは夕食材料の宅配事業を行う1組合員に施設の一部を賃貸していた。 したがって、本件は、貸付けの目的外に使用しているものを対象としてて不当な貸付けとなっている。なお、本件不当貸付金額については、本院の注意により、繰上償還の措置を執ることになった。 |
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(178) | 千葉県 | トラック事業協同組合 | 保管庫ほか | 54.3 (年2.7%) |
65.9 | 75,600 (59,400) |
75,600 (59,400) |
目的外使用 | ||||
この貸付けは、組合員の輸送機能の向上を図るための共同施設である保管庫等を設置するのに必要な資金108,000,000円の一部として貸し付けたものであるが、当該施設設置の必要性を十分検討しないまま貸し付けたため、借受人は設置直後の昭和54年3月、この施設の一部を組合員でない者に賃貸する仮契約を締結して同年4月から使用させ、同年6月からは施設の全部を賃貸していた。 したがって、本件は、貸付けの目的外に使用しているものを対象としていて不当な貸付けとなっている。 なお、57年9月末現在の貸付金残高は60,480,000円(事業団貸付金相当額47,520,000円)で、これについては、本院の注意により、繰上償還の措置を執ることになった。 |
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(179) | 山梨県 | 味噌醤油工業協同組合 | サイロほか | 52.1 (年2.7%) |
63.11 | 22,658 (14,640) |
22,658 (14,640) |
貸付目的の不達成 | ||||
この貸付けは、組合員20名が醤(しょう)油醸造用小麦のばら保管を共同で行うためのサイロ等を設置するのに必要な資金34,860,000円の一部として貸し付けたものであるが、各組合員の醤油製造の実情及び施設の利用計画を十分検討しないまま貸し付けたため、当該施設は当初から1組合員の利用が著しく高く、昭和55年度以降は1組合員だけの利用となっていた。 したがって、本件は、組合員が共同で利用するための施設として貸し付けた目的を達しておらず不当な貸付けとなっている。 なお、57年5月末現在の貸付金残高は14,734,000円(事業団貸付金相当額9,516,000円)で、これについては、本院の注意により、繰上償還の措置を執ることになった。 |
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(180) | 長崎県 | 百貨協同組合 | 電子計算機 | 55.4 (年2.7%) |
61.4 | 20,800 (13,440) |
20,8 (13,440) |
貸付目的の不達成 | ||||
この貸付けは、組合員の割賦販売あっ旋事業のための共同施設である電子計算機の更新に必要な資金32,000,000円の一部として貸し付けたものである。しかして、借受人は従前から電子計算機を使用して同事業を行っており、中小企業等協同組合法(昭和24年法律第181号)によれば、組合員の利用分量に対する組合員以外の者の利用分量の割合(以下「員外利用割合」という。)は、限度20%と定められているが、昭和53年度には46.4%に達していた。このため、同事業団では員外利用者の同組合への加入促進を確認したうえで資金交付することとしていたのに、その確認を行わないまま資金を交付したのは適切でなく、同施設設置後の経過をみても員外利用割合は55年度60.9%、56年度54.3%となっていた。その後、借受人は、員外利用割合の是正が困難であることなどを理由に、57年4月、新規に会社を設立して当該事業をこれに譲渡し、貸付対象の電子計算機を賃貸していた。 したがって、本件は、貸付けの目的を達しておらず不当な貸付けとなっている。 なお、本件不当貸付金額については、本院の注意により、繰上償還の措置を執ることになった。 |
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計 | 179,443 (126,498) |
179,443 (126,498) |