この特別会計は、国が経営する漁船再保険事業、漁船乗組員給与再保険事業及び漁業共済保険事業に関する経理を一般会計と区分して行うため設置されているもので、漁船普通保険、漁船特殊保険、漁船乗組員給与保険、漁業共済保険及び業務の5勘定に区分して経理されている。
(漁船普通保険勘定)
56年度の歳入歳出決算についてみると、歳入では、徴収決定済額、収納済歳入額ともに339億7414万余円、歳出では、支出済歳出額211億2948万余円、不用額155億3469万余円となっている。不用額の主なものは漁船再保険費(歳出予算現額240億5236万余円)の37億5018万余円である。
上記の経理の基礎となった56年度における保険関係の実績は、引受け件数38万余件、保険金額2兆9853億6325万余円であり、また、前記の支出に係る業務実績の主なものは、損害再保険に係る再保険金186億7749万余円及び満期再保険に係る再保険金12億0000万余円の支払である。
なお、56年度における損益についてみると、再保険料等の利益401億2511万余円、再保険金等の損失370億6146万余円で、30億6364万余円の利益を生じており、前年度からの繰越利益と合わせ129億4534万余円が翌年度へ繰り越されている。また、56年度末における積立金の現在額は160億3267万余円となっている。
(漁船特殊保険勘定)
この勘定は、1,000t未満の漁船及び漁具が戦乱等による事故により損害を受けた場合に、漁船保険組合が負う保険責任を再保険する事業に関する経理を行うものである。
56年度の歳入歳出決算についてみると、歳入では、徴収決定済額、収納済歳入額ともに2億8275万余円、歳出では、支出済歳出額2億3530万余円、不用額2億5870万余円となっている。
上記の経理の基礎となった56年度における保険関係の実績は、引受け件数8百余件、保険金額578億2593万円であり、また、前記の支出に係る業務実績の主なものは特殊再保険に係る再保険金1億6220万余円の支払である。
なお、56年度における損益についてみると、再保険料等の利益2億8275万余円、再保険金等の損失2億4141万余円で、4133万余円の利益を生じており、前年度からの繰越利益と合わせ29億1214万余円が翌年度へ繰り越されている。また、56年度末における積立金の現在額は28億7080万余円となっている。
(漁船乗組員給与保険勘定)
この勘定は、漁船の乗組員が抑留された場合における給与の支払について、漁船保険組合が負う保険責任を再保険する事業に関する経理を行うものである。
56年度の歳入歳出決算についてみると、歳入では、徴収決定済額、収納済歳入額ともに4439万余円、歳出では、支出済歳出額1255万余円、不用額1億3622万余円となっている。
上記の経理の基礎となった56年度における保険関係の実績は、引受け件数8百余件、契約金額14億8722万余円であり、また、前記の支出に係る業務実績の主なものは給与再保険に係る再保険金1255万余円の支払である。
なお、56年度における損益についてみると、再保険料等の利益4439万余円、再保険金等の損失1498万余円で、2941万余円の利益を生じており、前年度からの繰越利益と合わせ5億3102万余円が翌年度へ繰り越されている。また、56年度末における積立金の現在額は5億0161万余円となっている。
(漁業共済保険勘定)
この勘定は、中小漁業者がその営む漁業につき異常の事象又は不慮の事故によって受けることのある損失について漁業共済組合連合会が漁業共済組合に対して負う再共済責任のうち、同連合会の負担分を超える額を保険する事業に関する経理を行うものである。
56年度の歳入歳出決算についてみると、歳入では、徴収決定済額、収納済歳入額ともに85億8065万余円、歳出では、支出済歳出額72億5732万余円、翌年度繰越額18億6128万余円、不用額34億8014万余円となっている。
翌年度繰越額はすべて漁業共済保険費(歳出予算現額67億3140万余円)の分であり、不用額の主なものは漁業共済組合連合会交付金(同41億6295万余円)の8億9683万余円である。
前記の経理の基礎となった56年度における共済関係の実績は、引受け件数3万余件、共済金額3035億1419万余円であり、また、前記の支出に係る業務実績は、漁獲共済に係る保険金15億1912万余円、養殖共済に係る保険金14億6186万余円及び特定養殖共済に係る保険金10億1021万余円の支払、共済掛金の一部を補助するための漁業共済組合連合会に対する交付金32億6612万余円の交付である。
なお、56年度における損益についてみると、保険料等の利益106億3174万余円、保険金等の損失104億0397万余円で、2億2777万余円の利益を生じており、前年度からの繰越損失からこれを差し引いた損失117億0989万余円が翌年度へ繰り越されている。
(業務勘定)
56年度の歳入歳出決算についてみると、歳入では徴収決定済額、収納済歳入額ともに7億5786万余円、歳出では、支出済歳出額7億5768万余円、不用額4973万余円となっている。