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  • 昭和56年度|
  • 第4章 歳入歳出決算その他検査対象の概要|
  • 第7 政府関係機関及びその他の団体|
  • 4 公団、事業団その他6団体の決算

労働福祉事業団


 (事業団)

(1)労働福祉事業団

 この事業団は、労働者災害補償保険の労働福祉事業を適切かつ能率的に行うとともに、労働災害の防止に資するため必要な資金の融通を行うことにより、労働者の福祉の増進に寄与することを目的として設置されているもので、56事業年度末現在の資本金は1560億4613万余円(全額国の出資)となっており、同事業団の会計は一般会計と特別会計とに区分して経理され、更に、一般会計は、本部、施設、援護、融資及び賃金援護の5勘定に区分されている。

 (一般会計)

 (本部勘定)

 56事業年度の収入支出決算についてみると、収入では収入決定済額52億8624万余円、支出では、支出決定済額52億8624万余円、不用額5027万余円となっている。

 なお、56事業年度における損益についてみると、施設勘定からの受入等の収益52億8624万余円、退職手当引当金へ繰入等の費用52億7438万余円で、1186万余円の剰余金を生じており、同事業年度末における法定積立金と合わせ7114万余円が翌事業年度に法定積立金として積み立てられている。

 (施設勘定)

この勘定は、労災病院等の設置及び運営に関する経理を行うものである。

 56事業年度の収入支出決算についてみると、収入では収入決定済額1410億1615万余円、支出では、支出決定済額1273億7321万余円、翌事業年度繰越額5億3333万余円、不用額189億6792万余円となっている。

 翌事業年度繰越額はすべて施設建設費(支出予算現額154億5736万余円)の分であり、不用額の主なものは医療諸費(同338億9334万余円)の32億8584万余円及び賃金援護勘定へ繰入(同34億7169万余円)の11億7870万余円である。

 前記の収入支出に係る業務実績の主なものは37労災病院の運営である。

 なお、56事業年度における損益についてみると、医業収益等の収益1056億8198万余円、材料費等の費用1120億8792万余円で、64億0594万余円の欠損金を生じており、前事業年度からの繰越欠損金と合わせ206億8861万余円が翌事業年度へ繰越し整理されている。

 (援護勘定)

 この勘定は労災年金受給者で小口資金を必要とする者に労災年金受給権を担保とする資金の貸付け及び業務災害又は通勤災害による重度せき髄損傷者等が治ゆした後、社会復帰する場合に必要な社会復帰資金等の貸付けの事業に関する経理を行うものである。

 56事業年度の収入支出決算についてみると、収入では収入決定済額22億8158万余円、支出では、支出決定済額22億8158万余円、不用額838万余円となっている。

 上記の支出に係る業務実績の主なものは年金担保融資資金の貸付け1,856件21億4402万円である。

 なお、56事業年度における損益についてみると、施設勘定からの受入等の収益19億7783万余円、雑損等の費用9130万余円で、18億8653万余円の剰余金を生じており、同事業年度末における法定積立金と合わせ22億7594万余円が翌事業年度に法定積立金として積み立てられている。

 (融資勘定)

この勘定は、安全衛生改善計画を実施する中小事業者等に対する職場環境改善資金等の貸付けの事業に関する経理を行うものである。

 56事業年度の収入支出決算についてみると、収入では収入決定済額239億5511万余円、支出では、支出決定済額239億2556万余円、不用額5億0074万余円となっている。不用額の主なものは職場環境改善等貸付金(支出予算現額161億円)の2億9500万円である。

 上記の収入支出に係る業務実績の主なものは、職場環境改善資金等の貸付け247件158億0500万円、貸付金回収56億6112万余円で、56事業年度末における貸付金の残高は1,597件660億1648万余円となっている。

 なお、56事業年度における損益についてみると、貸付金利息等の収益42億5484万余円、借入金利息等の費用42億4197万余円で、1287万余円の剰余金を生じており、同事業年度末における法定積立金と合わせ2億1782万余円が翌事業年度に法定積立金として積み立てられている。また、56事業年度末における借入金の残高は658億2820万余円(全額資金運用部資金からの借入金)となっている。

 (賃金援護勘定)

この勘定は、企業の破産等により事業主から賃金の支払を受けることができない労働者に対し未払賃金を当該事業主に代って支払い、事業団が事業主に対し求償する事業に関する経理を行うものである。

 56事業年度の収入支出決算についてみると、収入では収入決定済額25億9071万余円、支出では、支出決定済額25億9071万余円、不用額8億8351万余円となっている。不用額はすべて未払賃金立替払金(支出予算現額34億7423万円)の分である。

 上記の収入支出に係る業務実績の主なものは、未払賃金立替払金837件25億9071万余円及び立替払金回収金2億9773万余円である。

 なお、56事業年度における損益についてみると、施設勘定からの受入等の収益25億9071万余円、未払賃金代位弁済求償権償却引当金へ繰入等の費用25億9102万余円で、30万余円の欠損金を生じており、同事業年度末における法定積立金60万余円を減額して翌事業年度において整理している。

 (特別会計)

この会計は、休養所(傷病の治ゆした労災患者の社会復帰前の温泉保養等をする休養の施設)の運営業務に関する経理を行うものである。

 56事業年度の収入支出決算についてみると、収入では収入決定済額6億1075万余円、支出では、支出決定済額6億5574万余円、不用額7795万余円となっている。

 上記の収入支出に係る業務実績は11休養施設の運営である。

 なお、56事業年度における損益についてみると、休養施設収入等の収益6億0992万余円、材料費等の費用6億5444万余円で、4451万余円の欠損金を生じており、同事業年度末における法定積立金7447万余円を減額して翌事業年度において整理している。