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  • 昭和57年度|
  • 第2章 所管別又は団体別の検査結果|
  • 第1節 所管別の検査結果|
  • 第2 総理府|
  • (北海道開発庁)|
  • 不当事項|
  • 工事

トンネル工事の施行に当たり、アーチ部の覆工コンクリート等を設計と相違して施工したもの


(2) トンネル工事の施行に当たり、アーチ部の覆工コンクリート等を設計と相違して施工したもの

会計名及び科目 道路整備特別会計 (項)北海道道路事業費
部局等の名称 函館開発建設部
工事名 一般国道278号尻岸内町豊浦トンネル工事
工事の概要 一般国道278号豊浦道路改良工事の一環として、トンネル延長1,355mのうち延長1,100m等を昭和57,58両年度で施工する工事
工事費 1,554,473,000円(当初契約額1,511,000,000円)
(うち昭和57年度請負代金額支払限度額680,000,000円)
請負人 地崎・松本・中山共同企業体
契約 昭和57年6月 指名競争契約
検査
(既済部分の確認)
昭和58年3月
既済部分に対する代価の支払 昭和57年6月〜58年4月 3回

 この工事は、監督及び検査が適切でなかったため、昭和57年度施行に係るアーチ部の覆工コンクリート等延長336mのうち42m(工事費相当額26,470,192円)の施工が設計と相違し、その強度が設計に比べて著しく低くなっていると認められる。

(説明)
 この工事は、一般国道278号豊浦道路改良工事の一環として、トンネル延長1,355mを新設するため、このうち延長1,100mを底設導坑先進上部半断面工法(注) により施工しているもので、57年度は、上部半断面掘削410m、アーチ部の鋼製H型支保工(以下「支保工」という。)410基及びアーチ部の覆工コンクリート336mなど延長850mを施工し、既済部分検査を了したものである。
 しかして、上記のうちアーチ部の覆工コンクリートは、設計書及び図面等によると、全延長にわたり地質が悪いため、掘削した地山に200mm規格の支保工を1m間隔に外側が設計巻き厚線に合致するように建て込み、設計巻き厚を60cmから105cm(アーチ基部に向かうに従って厚くする。)とし、32の打設区間に分割して施工することとしていた。
 しかるに、アーチ部の覆工コンクリートについては、その表面に骨材の露出した箇所が見受けられたので、ハンマーで打撃したところ空洞があり、設計巻き厚が確保されていないことが判明したため、設計巻き厚が60cmから69cmとなっている範囲でせん孔又はコアを採取するなどして出来形を調査したところ、4打設区間の延長42mについては、支保工は、最大25cmトンネル内側にずれ込んでいて、ほとんど所定の位置に建て込まれていないままコンクリートを打設したなどのため、施工巻き厚は調査した87箇所のうち6cmから68cmとなっている箇所が42箇所あり、なかには地質の良い箇所の場合の設計巻き厚45cmをも下回っている箇所が15箇所もあった。
 このため、上記トンネル延長42mのアーチ部の覆工コンクリート等(工事費相当額26,470,192円)は、施工が不良となっていて、その強度が設計に比べて著しく低くなっていると認められる。

(注)  底設導坑先進上部半断面工法 トンネル掘削断面の中央下部に設けた導坑を先進して掘削し、上部に切り広げてトンネルを完成する工法

(参考図)

(参考図)