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  • 昭和57年度|
  • 第2章 所管別又は団体別の検査結果|
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  • 保険

健康保険の傷病手当金等の支給が適正でなかったもの


(25) 健康保険の傷病手当金等の支給が適正でなかったもの

会計名及び科目 厚生保険特別会計 (健康勘定) (項)保険給付費
部局等の名称 社会保険庁・北海道ほか8都府県(20社会保険事務所)
受給者 259人
傷病手当金等の支給額の合計 49,773,665円

 上記の259人に傷病手当金等49,773,665円を支給しているが、支給に当たって調査が十分でなかったため、17,494,333円(傷病手当金12,592,943円、医療給付4,901,390円)が不適正に支給されていた。これらについては、本院の注意により、すべて返還の処置が執られた。これを都道府県ごとに集計して掲げると別表 のとおりである。
 これは、北海道ほか18都府県の36社会保険事務所において傷病手当金等の支給を受けた5,760人について本院が調査した結果である。

(説明)

 健康保険は、主として常時5人以上の従業員を雇用する事業所の従業員を被保険者として、業務外の疾病、負傷等に関し医療給付、療養費及び傷病手当金等の支給を行う保険である。このうち医療給付については、都道府県は事業主から新たに雇用した従業員に係る被保険者資格取得届の提出を受け、その内容を確認して健康保険被保険者証を交付し、被保険者が疾病又は負傷した場合において保険医療機関にその被保険者証を提出させて必要な医療給付を行うこととしている。また、傷病手当金については、都道府県は被保険者から事業主が証明した労務不能の期間及びその期間の報酬の額等を記載した傷病手当金請求書の提出を受け、その記載内容を確認して支給することとしている。この傷病手当金は、療養のため労務に服することができなくなった日より起算して4日目から1日につき標準報酬日額の100分の60(被扶養者のいない被保険者が入院した場合は100分の40)に相当する額を1年6箇月を限度として支給することになっており、事業主から労務不能期間中に報酬が支給される者に対しては、その報酬の額が傷病手当金の額を超えるときは支給しないことになっており、報酬の額が傷病手当金の額より少ないときはその差額を支給することになっている。

 しかして、傷病手当金等の支給の適否について検査したところ、前記の北海道ほか8都府県では、調査確認が十分でなかったため、傷病手当金の支給に当たって被保険者が労務不能期間中に事業主から報酬を受けていたり、事業所へ出勤していたりなどしているのにこれと相違した傷病手当金請求書の提出を受けて傷病手当金を支給していたり、また、医療給付に当たって雇用していないのに雇用しているとした資格取得届の提出を受け、健康保険被保険者証を交付して医療給付を行っていたりしていたものが、本院で調査した受給者3,420人分の支給のうち259人分49,773,665円について17,494,333円(傷病手当金12,592,943円、医療給付4,901,390円)認められた。

(別表)

都道府県名

社会保険事務所 本院が調査した受給者数 不適正受給者数 左の受給者に支給した傷病手当金等 左のうち不適正傷病手当金等


北海道


札幌東ほか1

186

29
千円
4,336
千円
705

宮城県

仙台南ほか1 250 29 8,323 3,698

福島県

東北福島 196 29 4,293 777

東京都

京橋ほか5 1,059 13 2,321 993

新潟県

新潟東ほか1 266 18 2,449 530

京都府

上京ほか1 231 26 3,570 626

兵庫県

尼崎 273 45 7,350 1,080

(1) (4,901) (4,901)

福岡県

東福岡ほか1 726 40 12,590 8,309

熊本県

熊本東ほか1 233 30 4,539 772

(1) (4,901) (4,901)

 計

  20箇所 3,420 259 49,773 17,494

(注) ( )書きは医療給付の分で内数である。