会計名及び科目 | 農林水産省 食糧管理特別会計 (輸入食糧管理勘定) (輸入飼料勘定) | |
部局等の名称 | 食糧庁 | |
輸入小麦の国内港間の海上運送の概要 | 輸入港である大阪港に到着した輸入小麦を貨物船から機帆船に積み替えて需要地の荷揚港の港頭サイロに搬入するための海上運送 | |
輸入小麦買入数量及び海上運送経費支払額 | (昭和57年度) | 84,793t 9761万余円 |
上記の部局では、輸入小麦の買入れに当たり、輸入港から需要地の荷揚港までの海上運送賃、待機料及び海上保険料(以下「海上運送経費」という。)を輸入小麦の売渡先である製粉業者等(以下「買受者」という。)の負担としないで政府の負担としていて適切を欠いていたため、約9700万円が不経済になっていた。
すなわち、大阪港に到着した輸入小麦の買入れに当たって、大阪港の港頭サイロでは収容力が不足するとして隣接する阪南港へ回送するための海上運送経費を政府の負担としていたが、近年では、貨物船が接岸可能な大阪港や神戸港の港頭サイロの収容力が増加しているのであるから、買受者の負担で海上運送している他の輸入港と荷揚港との間の海上運送経費と同様に買受者の負担に改める要があると認められた。
上記に関し当局に指摘したところ、改善の処置が執られた。
(説明)
食糧庁では、昭和57年度中に大阪港に到着した輸入麦420,283t(小麦396,100t、大麦24,183t)を随意契約により日商岩井株式会社ほか17会社から総額216億6812万余円で買い入れていて、このうち小麦84,793tについては大阪港から機帆船に積み替えて阪南港(大阪港から約11km)に回送し、この運送区間の海上運送経費を政府の負担としていた。これについて検査したところ、次のとおり、買受者の負担とするのが適当と認められるのに、これを政府の負担としているため不経済になっていると認められる事態が見受けられた。
すなわち、同庁では、輸入小麦について大阪港から阪南港までの海上運送経費を政府の負担としていることについて、大阪港の港頭サイロだけでは後背地の需要に応ずる収容力が不足することから、サイロに収容できないものについては袋詰めを要することになり、この袋詰経費は、サイロに収容できない輸入小麦を大阪港から隣接の阪南港の港頭サイロに搬入する経費よりも割高となることなどを考慮したものであるとしている。
そして、政府所有麦の売却に当たっては、同庁は、35年以前はその大部分を買受者の倉庫まで政府の負担により運送して売却する方式を採用していたが、35年7月、この方式を改め、輸入港の港頭サイロ等で売却する方式を採用し、逐次この方式に移行させていて、46年7月以降は輸入麦のほとんどを輸入港の港頭サイロ等で売却してきており、また、輸入港と需要地の荷揚港との間の政府の負担による海上運送についても逐次その取扱いを取りやめている状況である。しかも、50年11月には港頭サイロ等の収容力だけではその地域における需要量及び備蓄量に応ずることができない輸入港については、その不足量を最寄りの輸入港に在庫保有させる、いわゆる輸入麦の広域需給操作を行うこととしている。
しかして、本件、大阪、神戸両港の港頭サイロの平均保管可能収容力は、50年中において約168千tであったものが近年は大幅に増加し、これを57年度中についてみると、両港が受け持つ地域の需要量及び備蓄量に応ずる必要保管数量約223千tに対して、両港の平均保管可能収容力は約306千tで、差引き約83千tの余裕収容力があり、大阪港と神戸港とを一体とした広域需給操作を行うことも可能になったと認められる状況である。
したがって、大阪港の特殊事情等から実施してきた本件海上運送経費の政府負担を継続して行う理由はなくなっていると認められ、これを買受者の負担とすれば、海上運送経費約9700万円が節減できたと認められた。
このような事態を生じたのは、阪神地区の総体的な港頭サイロの収容力が逐次増加してきており、広域需給操作が可能な状況となっていると認められるのに、従来の方式をそのまま踏襲してきたことによると認められる。
上記についての本院の指摘に基づき、食糧庁では、58年11月に海上運送経費の負担の取扱いの基本を統一的に規定している外国産食糧(麦)売買契約書を改め、59年1月以降の契約分から適用することとする処置を講じた。