昭和５７年度決算検査報告
| 会計名及び科目 | 一般会計 (組織)運輸本省 | (項)地方鉄道軌道整備助成費 (項)海岸事業費 |
| 港湾整備特別会計(港湾整備勘定) (項)離島港湾事業費 | ||
| 部局等の名称 | 運輸本省、第四港湾建設局 | |
| 補助の根拠 | 離島振興法(昭和28年法律第72号)等 | |
| 事業主体 | 県1、市1、町1、計3事業主体 | |
| 補助事業 | 地下高速鉄道建設事業等3事業 | |
| 上記に対する国庫補助金交付額の合計 | 211,576,072円 | |
| 道県名 | 事業 | 事業主体 |
事業費 |
左に対する国庫補助金 | 不当と認めた事業費 | 不当と認めた国庫補助金 | 摘要 | |
(87) |
北海道 |
地下高速鉄道建設事業(用地取得) |
札幌市 |
千円 139,798 |
千円 41,520 |
千円 59,864 |
千円 17,779 |
補助の対象外 |
| この事業は、札幌市における地下高速鉄道（以下「地下鉄」という。）南北線の麻生駅等の用地に供することとして、昭和49年3月及び51年3月に同市北区北39条西4丁目所在の土地5,175．41m2 を事業費139,798,900円で取得したもので、これに対する国庫補助金として49年度から56年度までの8年間にわたって総額41,520,272円の交付を受けていた。しかし、上記土地のうち、専ら地下鉄用地として使用されているのは駅出入口部の49．44m2 （取得費相当額3,738,900円）のみで、残余の5,125．97m2 （取得費相当額136,060,000円）は同市のバスターミナルとして使用されており、うち1,569．71m2 については地下に線路等があるため地上権設定対価を支払う要があったことなど76,195,834円を考慮しても、上記事業費のうち59,864,166円（国庫補助金相当額17,779,657円）は、補助の対象とは認められないものである。 | ||||||||
| (88) | 長崎県 | 郷ノ浦港改修事業(埠頭内道路の新設) | 長崎県 | 164,740 | 123,555 | 7,793 | 5,844 | 工事の施工不良 |
| この工事は、郷ノ浦港改修事業の一環として、昭和56年度に郷ノ浦町郷ノ浦地内に、道路トンネル延長92ｍ（上部半断面先進工法部分（注） 52ｍ、開削工法部分40ｍ）を施工したもので、設計書及び図面によると、トンネルの上部半断面先進工法部分は、アーチ部の覆工コンクリートの設計巻き厚を50cmとし、覆工コンクリート背面の空げきにはモルタルをてん充することとしていた。しかし、アーチ部の覆工コンクリートの表面にき裂が見受けられたので、上記52ｍの区間について、アーチ部で95箇所、側壁部で7箇所計102箇所のコアを採取するなどして出来形を調査したところ、うち延長27ｍの区間のアーチ部については、調査した54箇所のうち35箇所で施工巻き厚が設計巻き厚より不足しており、なかには巻き厚が25cmにも達しない箇所が6箇所あるほか、23箇所で覆工コンクリートと背後の地山との間に10cmから51cmの空げきを生じていて、覆工コンクリートの施工が設計と相違し、強度が設計に比べて著しく低くなっている。 | ||||||||
| （注） 上部半断面先進工法 トンネルの上部半断面の掘削及びコンクリートの巻き立てを施工し、その後に下部半断面の掘削及びコンクリートの巻き立てを施工する工法 | ||||||||
| (89) | 熊本県 | 二間戸港海岸事業(公有地造成護岸整備) | 姫戸町 | 116,252 | 46,500 | 60,388 | 24,154 | 工事の施工不良 |
| この工事は、二間戸港海岸事業（公有地造成護岸整備）の一環として、二間戸港諏訪地区の入江の一部を締め切るため昭和54年度から56年度までに護岸延長183．5ｍを築造したもので、設計書及び図面等によると、うち延長140．4ｍの矢板式護岸は鋼矢板（以下「矢板」という。）を最下層の根入地盤である砂層へ2．3ｍ又は2．5ｍ根入れさせ、かつ、矢板背後9ｍ又は18ｍの地点に控杭としてＨ形鋼を打ち込み、その頭部と矢板頭部をタイロープで緊結して安定させることとしていた。しかるに、矢板の打ち込みに当たり、砂層への根入れ状況を全く把握することなく施工したため、矢板式護岸のうち延長76ｍの区間は、矢板の上記砂層への根入れが0から1．1ｍ程度と著しい根入れ不足の状態となっていて、このため矢板下部が海側に最大15．7／100（許容値1／100）の傾斜でせり出しており、また、控杭も頭部が海側に大きく変位しタイロープがたわんだ状態になっていて、矢板頭部を固定する控杭としての効果を十分発揮していないなど上記区間は極めて不安定な状態となっている。 | ||||||||
| 計 | 420,790 | 211,576 | 128,045 | 47,778 | ||||