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  • 昭和57年度|
  • 第2章 所管別又は団体別の検査結果|
  • 第1節 所管別の検査結果|
  • 第9 運輸省|
  • 本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項

航空照明用の受配電機器等の設置工事における一般管理費等の積算について改善させたもの


(3) 航空照明用の受配電機器等の設置工事における一般管理費等の積算について改善させたもの

会計名及び科目 空港整備特別会計 (項)空港整備事業費
 北海道空港整備事業費
 沖縄空港整備事業費
部局等の名称 運輸省航空局
補助の根拠 空港整備法(昭和31年法律第80号)
沖縄振興開発特別措置法(昭和46年法律第131号)
事業主体 北海道、岩手県、富山県、沖縄県及び旭川市
補助事業 紋別空港整備(照明施設)工事その2ほか5工事
上記に対する国庫補助金交付額 昭和56年度  国庫補助金 412,625,940円
(対象工事費 590,382,801円)
昭和57年度  国庫補助金 278,440,500円
(対象工事費 380,681,000円)
 国庫補助金 691,066,440円
(対象工事費 971,063,801円)

 上記の各補助事業において、受配電機器等の設置工事に係る一般管理費等の積算(積算額9437万余円)が適切でなかったため、積算額が約6700万円(国庫補助金相当額4600万円)過大となっていた。
 このように積算額が過大となっているのは、事業主体が適用することとしている運輸省航空局制定の積算基準において、受配電機器等の設置工事費を算定する際一般管理費等の算出対象となる機器の範囲が明確になっていなかったことによるもので、積算基準を適切なものに改める要があると認められた。

 上記に関し当局に指摘したところ、改善の処置が執られた。

(説明)

 運輸省では、空港を管理する地方公共団体に対し、当該空港の施設の新設又は改良工事に要する費用の一部を補助しているが、このうち上記事業主体が実施した空港照明施設6工事について検査したところ、次のとおり、一般管理費及び利益(以下「一般管理費等」という。)の積算が適切でないと認められる点が見受けられた。
 すなわち、上記各工事は、航空照明用の受配電機器及び制御用機器(以下「受配電機器等」という。)を製造する工事と、電源局舎にこれらの受配電機器等を設置するなどの工事(以下「設置工事」という。)を一括して行うもので、各事業主体においては、工事費の積算に当たり、いずれも運輸省航空局制定の「照明電気工事積算基準」(以下「積算基準」という。)及び「照明電気工事積算基準運用指針」を適用し、うち設置工事に係る一般管理費等の積算は、積算基準において受配電機器等が設置工事費算定の際の材料費として一般管理費等の対象とされていることから、受配電機器等の製造費(工場原価に一般管理費等を加えた製品価格)及び設置労務費等を対象として、これに積算基準に定める率を乗じて総額9437万余円と算定していた。

 しかしながら、本件各工事の受配電機器等は大容量でその製造費が高価なものであるのに比べ、設置工事は現場に搬入された受配電機器等を基礎面に据え付け配線を行う程度のもので工事費も少額であることから、受配電機器等の製造費が本件各工事の工事原価の80%から90%を占めている。したがって、設置工事費を算定する際、これら受配電機器等の製造費を、材料費として一般管理費等の対象に含めると、算出される一般管理費等は、設置工事の工事原価に対し120%程度と著しく多額となるものが生ずるなど適切を欠くと認められる。

 しかして、一般にこの種大容量の機器の製造及び設置工事を一括して発注する場合には、積算に関する基準において、製造費(製品価格)は、一般管理費等の対象に含めないこととするなどを明示して、上記のような事態を生じないよう配慮しているのが通例となっており、現に、運輸省航空局制定の「発電設備工事積算基準」及び「航空無線工事積算基準」においては、機器の工場製造費(製品価格)は設置工事費算定の際、一般管理費等の対象外とすることが明示されている。
 したがって、本件各工事の一般管理費等の積算に当たり、受配電機器等の製造費は、設置工事費における一般管理費等の対象としないこととして積算したとすれば、積算額を約6700万円(国庫補助金相当額4600万円)程度低減できたと認められる。

 このような事態を生じたのは、運輸省では、この種機器はすべて支給材料として設置させる方式をとっていることから、積算基準は、現場における設置工事費を算定する場合に適用するものとして制定されたもので、一般管理費等算出の対象となる機器としては、小容量で低価な請負人持ち材料を想定していたが、その旨が積算基準に記載されておらず、単に、受配電機器等の機器名を掲記しているため、本件各工事を施行した地方公共団体では、電源局舎に設置する大容量で高価な受配電機器等もこれに該当すると考え、これら受配電機器等の価格を対象額に含めて一般管理費等を算出したことによると認められる。

 上記についての本院の指摘に基づき、運輸省では、58年10月、積算基準を改定し、受配電機器等の製造設置工事に計上される機器製造費は、設置工事費における一般管理費等の対象とはならないことを明確にし、その旨の通達を関係地方公共団体に発し、11月以降契約を締結する工事から適用することとする処置を講じた。