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  • 昭和57年度|
  • 第2章 所管別又は団体別の検査結果|
  • 第1節 所管別の検査結果|
  • 第10 郵政省|
  • 意見を表示し又は処置を要求した事項

郵便物取集業務の委託契約について、経済的な車種への切替えを図るよう是正改善の処置を要求したもの


郵便物取集業務の委託契約について、経済的な車種への切替えを図るよう是正改善の処置を要求したもの

会計名及び科目 郵政事業特別会計(項)業務費
部局等の名称 東京、関東、東海、近畿、九州各地方郵政局
契約名 郵便物運送委託契約
契約の概要

郵便専用自動車を使用して郵便物の取集等の業務を行うもの

契約の相手方 日本郵便逓送株式会社ほか10会社
郵便物取集業務請負料 100郵便局 247取集区 3,729,162,276円(昭和57年度)

 上記の委託契約に当たって、郵便物取集業務の実態に適合した車種の導入を図らなかったため、請負料約1億5650万円が不経済になっていた。
 この業務は郵便物の荷量によって郵便専用自動車の車種を指定しており、上記の部局では小型車を指定して使用させているが、上記100郵便局247取集区の郵便物の荷量は、近年性能も向上して広く使用されている軽自動四輪車に十分積載できるので、小型車に比べ経済的な軽自動四輪車への切替えを図るべきであると認められた。
 したがって、郵政省では、全国の262郵便局で小型車による郵便物の取集業務を委託しているから、軽自動四輪車に切り替えても十分に対応できるものについて、従来の小型車に代えて軽自動四輪車により取集業務を行い集配運送費の節減を図るよう改善の要がある。

 上記に関し、昭和58年11月25日、郵政大臣に対して是正改善の処置を要求したが、その全文は以下のとおりである。

郵便物取集業務の委託契約について

 貴省では、郵便物運送委託法(昭和24年法律第284号)に基づき郵便専用自動車による郵便物の取集、運送等の業務を他に委託することが経済的であり、その業務に支障がないと認めるときには取集等に関し必要な能力を有する者に委託しており、その契約に当たっては、受託者に指定の車種の郵便専用自動車を配車させて行うこととし、その車種の選定は貴省が昭和33年6月公達第57号によって定めた郵便専用自動車車体規格基準(以下「車体規格基準」という。)による小型車、中型車、大型車及び特大型車の4車種のうちから郵便物の荷量によって決めており、取集業務においてはほとんど小型車(注1) を配車させている。

 しかして、小型車による郵便物の取集業務を行っている東京郵政局ほか4地方郵政局管内の荒川郵便局ほか109郵便局(注2) の293取集区について、57年度に随意契約により日本郵便逓送株式会社ほか10会社に請負料4,431,259,434円で委託している郵便物取集業務の実情を本院で調査したところ、次のような不経済な事態が見受けられた。

 すなわち、上記110郵便局のうち荒川郵便局ほか99郵便局(注3) の247取集区における請負料は3,729,162,276円であるが、これらの取集区においては、車種選定の基礎としている郵便物の荷量調査によると、55年度以降3箇年間の各便の最高荷量をとってみても1便当たり最高200kg程度にすぎないのに、委託による取集業務に小型車を配車させている状況であった。

 しかしながら、この荷量は、貴省で各郵便局に配備して取集業務等に使用している軽自動四輪車(注4) に十分積載できる荷量であり、軽自動四輪車は、近年総排気量が360ccから550ccに改正され、その性能も向上してきており、民間の運送業界においても広く小荷物の集配等に使用されていて、その荷台容積2.7m3 も従来から使用されてきた小型車と同容積となっているから、前記各郵便局において受託者に軽自動四輪車を配車させて取集を行ったとしても荷量が上記程度であれば重量、容積とも十分余裕があるので郵便物量の波動性を考慮しても対応することができるものであり、小型車に比べ経済的で、かつ、取集業務の実態により適合している軽自動四輪車の導入を図るべきであると認められる。

 いま、仮に小型車に代えて軽自動四輪車を使用したとすれば、車両に係る直接経費のみをとっても1台当たり年額、減価償却費等の固定的な経費で31万余円、燃料費等の変動的な経費で32万余円の経費が節減でき、前記247取集区の請負料は約1億5650万円を節減することができる計算となる。

 このような事態を生じたのは、性能が向上した軽自動四輪車に対する認識及び対応が十分でなく、取集する郵便物の荷量に応じた適切、かつ、経済的な車種の検討に欠けていたことなどによると認められる。

 ついては、貴省においては、全国の262郵便局で小型車による郵便物の取集業務を委託しているが、上記事態にかんがみ、受託者に軽自動四輪車を配車させるための諸規程を整備し、取集地域の特性、郵便物量の波動性等を考慮して軽自動四輪車に切り替えても十分に対応できるものについては、従来の小型車に代えて軽自動四輪車により郵便物の取集業務を行うように改め、もって集配運送費の節減を図る要があると認められる。
 よって、会計検査院法第34条の規定により上記の処置を要求する。

(注1)  小型車 最大積載量は1,000kg、荷台容積(内積)は4.0m3 以上(53年10月車体規格基準改正前は2.5m3 以上。この容積の車は58年9月まで使用が認められている。)の自動車

(注2)  東京郵政局ほか4地方郵政局管内の荒川郵便局ほか109郵便局

東京郵政局管内 荒川郵便局ほか 19郵便局
関東郵政局管内 横浜中央郵便局ほか 39郵便局
東海郵政局管内 千種郵便局ほか 11郵便局
近畿郵政局管内 東淀川郵便局ほか 32郵便局
九州郵政局管内 筑紫郵便局ほか 4郵便局

(注3)  荒川郵便局ほか99郵便局

東京郵政局管内 荒川郵便局ほか 17郵便局
関東郵政局管内 鶴見郵便局ほか 36郵便局
東海郵政局管内 千種郵便局ほか 11郵便局
近畿郵政局管内 東淀川郵便局ほか 27郵便局
九州郵政局管内 筑紫郵便局ほか 4郵便局

(注4)  軽自動四輪車 最大積載量は350kg、郵便物取集の場合の標準的積載量は230kg、荷台容積(内積)は2.7m3 の自動車