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  • 昭和57年度|
  • 第2章 所管別又は団体別の検査結果|
  • 第2節 団体別の検査結果|
  • 第7 医療金融公庫|
  • 不当事項|
  • 貸付金

新築資金等の貸付けが不当と認められるもの


(169)−(174) 新築資金等の貸付けが不当と認められるもの

科目 貸付金
部局等の名称 医療金融公庫
貸付けの根拠 医療金融公庫法(昭和35年法律第95号)
貸付金の種類 新築資金、増改築資金、機械購入資金
貸付けの内容 私立の病院、診療所の開設者に対する新築資金等の貸付け
受託金融機関 株式会社横浜銀行ほか5受託金融機関
貸付件数 6件
貸付金の合計額 372,000,000円

 上記の新築資金等の貸付けは、貸付けの目的に沿わない結果になっていて、貸付金119,199,000円が不当と認められる。これを貸付先別に掲げると別表 のとおりである。

(説明)
 医療金融公庫では、医療金融公庫法の規定により、私立の病院、診療所等を開設する個人又は医療法人等に対し、病院、診療所等の設置、整備又は運営に必要な資金であって、一般の金融機関から融通を受けることが困難な資金を直接又は金融機関に委託して貸し付けている。
 このうち、金融機関に委託して貸付けを行う場合は、借入申込者からの借入申込書とその添付書類等について受託金融機関が審査した後、同公庫において所定の条件に合致していると認定したものについて貸付決定し、事業の進ちょく状況に応じて受託金融機関を経由して貸付金を交付することになっている。そして、受託金融機関においては、事業の完成及び貸付対象事業費の支払状況の確認等を行い、貸付金が適正な使途に充てられているかどうかを調査することとしている。
 しかして、新築資金等の貸付けについては、既往の検査において適切を欠いている事例が一部に見受けられたので、同公庫に対して適切な処置を執るよう指摘してきたところであるが、上記の貸付け6件についてみると、同公庫の指導監督が十分でなく、受託金融機関における調査確認が適切でなかったため、貸付けの対象とならないものに貸し付けていたり、貸付金額を過大に算定していたりしていて、貸付けが不当と認められるものが119,199,000円見受けられた。

(別表)

受託金融機関
(取扱店)
貸付先 貸付対象 貸付
昭和年月
(貸付利率)
貸付金額 貸付金額のうち不当と認めた額 摘要
千円 千円
(新築資金)
(169) 株式会社横浜銀行
(藤沢支店)
産婦人科医師 診療所の新築

55.4
(年6.05%)

103,000 4,790 貸付過大
 この貸付けは、診療所の新築に必要な資金155,500,000円(うち貸付対象事業費153,210,000円)の一部として貸し付けたものであるが、借受人は主体工事費の標準建築単価の中で既に見込まれている費用を、全額貸付対象としている受変電設備等の特殊附帯設備費に重ねて計上していたのに、これにより貸付金額を算定していた。
 したがって、適正な貸付金額を計算すると、計画変更に伴う主体工事費の増額等を考慮しても98,210,000円となり、本件貸付金額との差額4,790,000円は過大な貸付けとなっている。
 なお、本件不当貸付金額については、本院の注意により、昭和58年9月、繰上償還の措置が執られた。
(170) 株式会社静岡銀行
(藤枝駅支店)
泌尿器科医師 診療所の新築

56.3
(年8%)

83,000 12,498 貸付過大
 この貸付けは、診療所の新築に必要な資金164,500,000円(うち貸付対象事業費161,600,000円)の一部として貸し付けたものであるが、借受人は、工事完成後、貸付金額算定の基礎としていた病室4室11床のうち、6床を設置することとしていた病室2室を改造して診療室に転用していた。
 したがって、適正な貸付金額算定の基礎となる病床数は5床となり、これに係る貸付金額は70,502,000円となるので、本件貸付金額との差額12,498,000円は過大な貸付けとなっている。
 なお、本件不当貸付金額については、本院の注意により、昭和58年5月、繰上償還の措置が執られた。
(増改築資金)
(171) 株式会社北陸銀行
(本店営業部)
精神科医師 病院の増改築

56.3
(年8.5%)

80,000 80,000 貸付対象外
 この貸付けは、病院の増改築に必要な資金164,540,000円(うち貸付対象事業費159,010,000円)の一部として貸し付けたものであるが、貸付対象建物は、工事完成直後の昭和56年5月、不動産の賃貸等を営む会社に譲渡され、同会社の資産に計上されており、借受人はこれを賃借していた。
 したがって、貸付金は貸付けの対象とならない者に貸し付けられた結果となっている。
 なお、昭和58年8月、貸付金残高74,460,000円は、本院の注意により、繰上償還の措置が執られた。
(172) 熊本県医師信用組合 整形外科医師 診療所の増改築

57.3
(年7.3%)

90,000 5,911 貸付過大
 この貸付けは、診療所の増改築に必要な資金131,000,000円(うち貸付対象事業費124,425,000円)の一部として貸し付けたもので、借受人が工事費のうち空気調和設備等の特殊附帯設備費、特殊基礎工事費等9,918,000円を水増ししていたのに、これにより貸付金額を算定していた。
 したがって、適正な貸付金額を計算すると84,089,000円となり、本件貸付金額との差額5,911,000円は過大な貸付けとなっている。
 なお、本件不当貸付金額については、本院の注意により、昭和58年7月、繰上償還の措置が執られた。
(機械購入資金)
(173) 株式会社北洋相互銀行
(北郷支店)
内科医師 診療所のX線テレビ装置一式の購入

55.10
(年8.2%)

8,000 8,000 貸付対象外
 この貸付けは、X線テレビ装置一式の購入に必要な資金15,000,000円(貸付対象事業費同額)の一部として貸し付けたもので、借受人は貸付対象事業費どおりの価格で機械を購入したとしているが、実際は、貸付対象機械はリース契約により賃借していた。
 しかして、本資金は機械の購入に要する資金を貸し付けるものであるから、本件機械は貸付対象にならないものである。
 なお、昭和58年7月、貸付金残高3,780,000円は、本院の注意により、繰上償還の措置が執られた。
(174) 株式会社宮崎銀行
(都城支店)
内科医師 診療所のX線テレビ装置一式の購入

57.5
(年8.2%)

8,000 8,000 付対象外
は、X線テレビ装置一式の購入に必要な資金11,125,000円(貸付対象事業費同額)の一部として貸し付けたもので、借受人は貸付対象事業費どおりの価格で機械を購入したとしているが、実際は、貸付対象機械はリース契約により賃借していた。
 しかして、本資金は機械の購入に要する資金を貸し付けるものであるから、本件機械は貸付対象にならないものである。
 なお、昭和58年9月、貸付金残高5,880,000円は、本院の注意により、繰上償還の措置が執られた。
372,000 119,19