科目 | (款)高速道路建設費 (款)一般有料道路建設費 |
(項)建設工事費 (項)建設工事費 |
部局等の名称 | 札幌、仙台、東京第一、東京第二、新潟、名古屋、大阪、広島、福岡各建設局 |
工事名 | (1) (2) |
道央自動車道国道12号跨道橋他5橋(PC上部工)工事ほか48工事 道央自動車道一番通跨高速道路橋他3橋基本設計ほか66件 |
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工事の概要 | (1) |
高速道路等の建設に当たり、プレストレストコンクリート橋の設計及び施工をするもの | |
(2) | 高速道路等の建設に当たり、プレストレストコンクリート橋等の設計をするもの | ||
工事費 | (1) | 19,560,500,000円 | |
(2) | 1,114,834,377円 | ||
請負人 | (1) | 北海道ピー・エス・コンクリート株式会社ほか15会社 | |
(2) | 日本工営株式会社ほか33会社 | ||
契約 | (1) | 昭和55年7月〜昭和58年3月 指名競争契約 | |
(2) | 昭和53年6月〜昭和57年2月 指名競争契約 |
上記の各工事において、プレストレストコンクリート単純けた(以下「PC単純けた」という。)の設計方法が適切でなかったため、設計費が約1億0500万円過大となっていた。
このように、設計費が過大となっているのは、PC単純けたの施工方法が定型化してきているなどのため、設計を基本設計と詳細設計とに区分して行う利点が少なくなっているのに、これを設計要領に反映していなかったことによるもので、適切な設計方法に改める要があると認められた。
上記に関し当局に指摘したところ、改善の処置が執られた。
(説明)
日本道路公団(以下「公団」という。)では、高速道路等建設工事を毎年多数実施しているが、このうち、上記部局が昭和57年度に施行しているPC単純けたの製作架設橋りょう工事49工事(工事費総額195億6050万円)及びこれら工事に先立って設計業者に発注した本件工事関連の基本設計(総額11億1483万余円)について検査したところ、次のとおり、PC単純けたの設計費が適切でないと認められる点が見受けられた。
すなわち、上記49工事はプレストレストコンクリートの橋りょうを製作架設するものであるが、このうちI型及びT型断面のPC単純けたの設計についてみると、公団本社制定の「設計要領」(昭和45年1月制定)に基づき、その設計区分を基本設計と詳細設計とに分け、基本設計は工事発注前に設計業者に発注し、また、詳細設計は工事発注後工事請負業者に行わせることとしている。そして、設計業務の内容については、公団本社制定の「調査等共通仕様書」により、基本設計は橋りょう位置図、一般図、線形図、構造一般図及び構造図を作成し基本設計費2億1675万余円、また、詳細設計はこれらのほか工事施工に必要な各構造の詳細図等を作成させることとして、請負工事費に含む詳細設計費2億2276万余円、総額4億3952万余円と算定していた。
しかして、上記のようにPC単純けたの詳細設計を請負業者に行わせることとしたのは、請負業者が最良の施工技術を発揮できるようにPC鋼材の定着方法及び細部構造の選定に自由度を持たせるとともに、設計と施工を一貫して行わせることにより、良質の施工が期待できると考えたことなどによるものである。
しかしながら、本院において、本件各工事の基本設計と詳細設計の実態を調査したところ、設計要領制定当時はPC単純けたの製作上最も重要なPC鋼材の定着工法が各種あり、請負業者はそれぞれの施工性等を検討のうえ、施工方法を選定して詳細設計を行っていたが、近年は各請負業者とも経済的で信頼性があるとされるフレシネー工法(注) を採用しているため、詳細設計の内容も定型化していること、この種PC単純けたについては公団及び設計業者においても多数の設計例が蓄積されるなど技術力が向上してきており、請負業者に詳細設計を行わせる利点も少なくなってきていることから、基本設計と詳細設計とを区分して作成する要はなく、当初から設計業者に詳細設計を行わせ、これにより工事を発注しても十分施工ができると認められた。
したがって、本件各工事のPC単純けたの設計費については詳細設計を設計業者に行わせることとすると、基本設計に代えて詳細設計を行わせることによる増額分を考慮しても、設計費を約1億0500万円程度低減できたと認められた。
上記についての本院の指摘に基づき、日本道路公団では、58年11月に設計要領等を適正なものに改め、同月以降設計する工事から適用することとする処置を講じた。
(注) フレシネー工法 プレストレストコンクリート構造を現場で施工する場合のPC鋼材の定着方式の一種。高張力で緊張されたPC鋼線又はPC鋼より線を雄コーン、雌コーンの間に通してくさび式に定着する工法で、フランスのフレシネー氏が考案したことからフレシネー工法と呼ばれている。
(参考図)