科目 | (款)建設費 (項)一般国道30号及本四備讃線共用部建設費 |
部局等の名称 | 本州四国連絡橋公団第二建設局 |
工事名 | 南北備讃瀬戸大橋下部工南工区(その2)工事ほか4工事 |
工事の概要 | 南北備讃瀬戸大橋ほか2橋の橋脚等の基礎となる鋼製ケーソンを設置するため、海底を発破し海底面を平滑に仕上げるなどの工事 |
工事費 | 28,091,588,989円 (当初契約額23,720,000,000円) |
請負人 | 南北備讃瀬戸大橋下部工南工区(その2)工事鹿島建設・間組・五洋建設共同企業体ほか4共同企業体 |
契約 | 昭和55年3月〜58年3月 指名競争契約又は随意契約 |
上記の各工事において、自己昇降式作業足場で使用するディーゼルエンジン発電機の燃料費の積算(積算額2億0217万余円)が適切でなかったため、積算額が約8000万円程度過大となっていた。
このように積算額が過大となっていたのは、ディーゼルエンジン発電機を動力源とする各種作業等に適合する燃料消費率が積算要領に定められていないため、本件ディーゼルエンジン発電機とは異なる船用等エンジンの燃料消費率を適用して燃料費を算定したことによるもので、作業等の実態に即した燃料消費率を基に積算する要があると認められた。
上記に関し当局に指摘したところ、改善の処置が執られた。
(説明)
上記部局で、昭和57年度に施行している橋りょう下部工工事5工事(工事費総額28,091,588,989円)について検査したところ、次のとおり、自己昇降式作業足場のディーゼルエンジン発電機(以下「発電機」という。)の燃料費の積算が適切でないと認められる点が見受けられた。
すなわち、上記各工事は、南北備讃瀬戸大橋ほか2橋の下部工を施工するもので、橋脚等の基礎とする鋼製ケーソンを設置する海底面を発破し、平滑に仕上げるため、この作業の海上作業足場として発破用のもの1基、海底面仕上げ用のもの1基、計2基の自己昇降式作業足場(以下それぞれ「発破用SEP」、「海底面仕上げ用SEP」という。)を使用している。そして、発破用SEP及び海底面仕上げ用SEPには海底の穿孔、装薬、海底面の仕上げ等の作業や照明等の維持の動力源として発破用SEPについては定格出力140kw、220馬力のもの2台、また、海底面仕上げ用SEPについては定格出力350kw、530馬力のもの2台の発電機がぎ装されており、これらの発電機が消費する燃料費の積算に当たって、次表のとおり1馬力・1時間当たりの燃料消費率に作業内容ごとに算定された発電機の総運転時間、ディーゼルエンジンの定格出力及び使用台数を乗じて燃料消費量を算定し、これに燃料単価(A重油の単価)を乗ずるなどして、発破用SEPのディーゼルエンジンの燃料費は26万6千余l分で2510万余円、海底面仕上げ用SEPのディーゼルエンジンの燃料費は205万6千余l分で1億7707万余円、合計2億0217万余円と算定していた。そして、上記各種作業等に適合する燃料消費率が積算要領に定められていなかったため、引船等の船用エンジンの稼動状況に応じた負荷率によって定められた0.16l/馬力・時、また、軽油を使用する発動発電機のもので一般土木工事における作業内容に応じた負荷率によって定められた0.117l/馬力・時を適用していた。
積算における燃料消費量
作業内容 | 発電機総運転時間 | 発電機定格出力 | 発電機に対するディーゼルエンジン出力 | 燃料消費率 | 燃料 消費量 |
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発破用SEP | 海底穿孔、装薬作業 |
時間 3,058 |
280kw(140kw×2台) |
220馬力×2台 |
0.16l/馬力・時 (2台使用するので0.32l/馬力・時となる。) |
266千余l |
移設、退避 | 729 | 280kw(140kw×2台) | 220馬力×2台 | |||
海底面仕上げ用SEP | 照明等維持 | 19,854 | 350kw | 530馬力×1台 | 0.117l/馬力・時 | 2,056千余l |
照明等維持及び海底面仕上げ作業 | 6,655 | 700kw(350kw×2台) | 530馬力×2台 | 0.117l/馬力・時 (2台使用するので0.234l/馬力・時となる。) |
||
合計 | 2,322千余l |
しかしながら、本院で発破用SEP及び海底面仕上げ用SEPにおける各種作業ごとの消費電力量等について調査したところ、発破用SEPの穿孔、装薬作業及び移設、退避には作業1時間当たり102kw時程度の電力量を消費しているが、これはこの作業に使用するとしている220馬力の発電機2台分の定格出力280kw の 1 時間当たり発電電力量の36%程度にすぎず、また、海底面仕上げ用SEPの照明等維持には作業1時間当たり105kw時程度の電力量を、照明等維持及び海底面仕上げ作業には1時間当たり240kw時程度の電力量を消費しているが、これらの消費電力量はそれぞれの作業等に使用するとしている530馬力発電機1台の定格出力350kw及び530馬力発電機2台の定格出力700kwの1時間当たり発電電力量のそれぞれ30%、34%程度にすぎなかった。
このように発電機の負荷の状態は、定格出力に対して30%から36%程度となっており、これによりディーゼルエンジンの燃料消費率を算出すると、発破用SEPについては1馬力・1時間当たり0.32lに対し0.153lとなり、また、海底面仕上げ用SEPについては0.117lに対し、0.063l(照明等維持)、0.234lに対し0.144l(照明等維持及び海底面仕上げ作業)となって、積算で採用した燃料消費率を相当下回っていた。
したがって、本件各工事の燃料費について、作業等の実態に応じた発電機の負荷を考慮して算定した燃料消費率を基に積算したとすれば、積算額を約8000万円程度低減できたと認められる。
上記についての本院の指摘に基づき、本州四国連絡橋公団では、58年11月積算要領に作業等の実態に即した自己昇降式作業足場のディーゼルエンジン発電機の燃料消費率を定め同月以降契約を締結する工事から適用することとする処置を講じた。