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  • 昭和57年度|
  • 第2章 所管別又は団体別の検査結果|
  • 第2節 団体別の検査結果|
  • 第15 宇宙開発事業団|
  • 本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項

種子島宇宙センターにおける自家用電力と購入電力の調整について改善させたもの


種子島宇宙センターにおける自家用電力と購入電力の調整について改善させたもの

科目 (款)ロケット打上及施設建設費
(款)事業運営費
(項)ロケット打上費
(項)一般研究費
部局等の名称 種子島宇宙センター
契約名 (1)A重油他1点購入
(2)電気需給契約
契約の概要 (1)ディーゼル発電機運転用A重油2,700kl及び潤滑油28klを購入するもの
(2)種子島宇宙センター大崎射場に係る電気需給契約
契約の相手方 (1)有限会社船川石油店ほか2社
(2)九州電力株式会社
契約 (1)昭和57年4月 指名競争契約(単価契約)
(2)昭和57年4月(毎年自動更新)
支払額 (1)262,389,470円(A重油253,149,970円、潤滑油9,239,500円)
(2)53,635,385円

 上記部局では、負荷設備に使用する電力について自家用電力と購入電力のコストを十分考慮することなく給電していたため、電力経費が年間約2740万円(昭和57年度)不経済になっていた。
 すなわち、種子島宇宙センター大崎射場においては所要電力(年間約1100万kWH)の約80%を自家用電力でまかない、約20%を購入電力でまかなっているが、自家用電力は購入電力に比べて電力コストが割高になっていることから、所要の設備改造を行って、極力割安な購入電力を使用して、経費の節減を図る要があると認められた。

 上記に関し当局に指摘したところ、改善の処置が執られた。

(説明)

 宇宙開発事業団では種子島宇宙センター大崎射場の負荷設備(容量10,470kW)に使用する電力を、自家発電設備(ディーゼル発電機1,200kW×4台)による電力(以下「自家用電力」という。)及び九州電力株式会社からの購入電力(契約電力1,000kW)によりまかなっており、昭和57年度の使用電力量及び所要経費は、自家用電力8,588,200kWH、245,948,251円(重油及び潤滑油代)、購入電力2,346,912kWH、53,635,385円、合計10,935,112kWH、299,583,636円となっているが、これについて検査したところ、次のとおり適切でないと認められる点が見受けられた。

 すなわち、大崎射場においては、人工衛星打上げのための各種射場設備が設置されていて、それらの負荷設備に給電する配電系統は負荷の重要度により、打上げ及び追跡に直接必要な電子計算機等の瞬時の停電も許されない最重要負荷が接続されるA系統、A系統に次いで重要度の高い負荷が接続されるB系統及び空調機、照明等の一般の負荷が接続されるC系統の3系統に分類されるが、実際にはB系統及びC系統にも最重要負荷が接続されていることから、各系統とも衛星打上げ期間(57年度の場合6〜8月及び12、1月の5箇月間)の昼夜及びこの期間以外の平日の昼間は購入電力では停電事故が生じた場合、諸作業に支障をきたすためすべて自家用電力によりまかない、衛星打上げ期間以外の平日の夜間及び日曜祝日の昼夜においては購入電力によりまかなうこととしていた。

 しかしながら、57年度における電力コストを比較すると自家用電力は1,000kWH当たり28,638円、購入電力は1,000kWH当たり22,854円となっており、自家用電力の方が購入電力より割高となっている。そして、前記A系統、B系統及びC系統の3系統を配線替えすることにより、最重要負荷をすべてA系統及びB系統に集めることとすれば、C系統には常時購入電力を使用できることとなるので、現行の契約電力の範囲内で購入電力の使用を拡大すべきものであると認められた。

 いま、仮に上記のような配線替えを行えば、C系統には常時購入電力を使用できることとなり、57年度の場合は、自家用電力2,245,060kWHを購入電力に振替えることができるので、自家用電力及び購入電力を合わせた電力コストは1,000kWH当たり27,396円であったものが、24,890円となり、前記配線替えなどに伴う一時的な経費約1130万円を要するものの、電力コストの低減により、年間約2740万円程度の経費が節減できることとなると認められた。

 上記についての本院の指摘に基づき、宇宙開発事業団では、58年11月、配電系統を自家用電力系と購入電力系に分類するための設備改造工事を発注し、所要経費の節減を図るための処置を講じた。