部局等の名称 | 大蔵省関東財務局長野財務部、農林水産省関東農政局、郵政省信越郵政局、長野県、農林漁業金融公庫長野支店、公営企業金融公庫 |
補助の根拠 | 土地改良法(昭和24年法律第195号)、公営住宅法(昭和26年法律第193号)、公立学校施設災害復旧費国庫負担法(昭和28年法律第247号)等 |
貸付けの根拠 | 資金運用部資金法(昭和26年法律第100号)、簡易生命保険及び郵便年金の積立金の運用に関する法律(昭和27年法律第210号)、農林漁業金融公庫法(昭和27年法律第355号)、公営企業金融公庫法(昭和32年法律第83号) |
補助の事業主体 | 町、農業協同組合、その他6、計8事業主体 |
貸付先 | 町、農業協同組合、計2貸付先 |
補助事業 | 国宝重要文化財等保存整備等12事業 |
貸付けの内容 | 箕輪町等に対する資金運用部資金等の貸付け |
上記に対する国庫補助金交付額の合計 | 167,002,028円 |
上記に対する貸付金の合計額 | 886,570,000円 |
上記の補助事業及び貸付けにおいて、事業の一部を実施しないで関係書類を作為して補助事業費を精算し又は貸付けを受けていたりなどしていて、国庫補助金12,705,351円及び貸付金176,218,349円が不当と認められる。
(説明)
上記の8事業主体及び2貸付先においては、昭和47年度から57年度までの間に国庫補助金の交付を受け又は資金運用部資金等の貸付けを受け、上記事業を実施したとしていた。
しかし、実際は、関係書類を作為して、事業の一部を実施しないで架空事業費を計上したり、請負業者からの割戻しを受けたりしたうえ、これらに見合う額を架空の会社等の名義を用いて同町の歳入に収納していたり、補助又は貸付けの対象とならない事業を含めて精算し、又は貸付けを受けていたりなどしていて、事業の実施及び経理が著しく不当となっていると認められる。
上記過大な交付を受けていた補助金、又は過大な貸付けを受けていた貸付金の別に、各省所管別等に区分して示すと次のとおりである。
なお、本件不当事項については、第1節 第4大蔵省、第5文部省、第7農林水産省、第10郵政省、第12建設省、第13自治省、第2節 第5農林漁業金融公庫、第6公営企業金融公庫の補助金又は貸付金の項に掲記した長野県上伊那郡箕輪町に関するものを、取りまとめ再掲したものである。
1 補助金
(1) 文部省所管
補助事業の実施及び経理が不当と認められるもの
補助事業 | 補助対象 事業費 |
左に対する国庫補助金 | 不当と認めた事業費 | 不当と認めた国庫補助金 | 摘要 | |
(15) |
公立諸学校建物其の他災害復旧 (昭和47年度) |
千円 1,550 |
千円 1,033 |
千円 537 |
千円 358 |
事業費の精算過大 |
台風により損壊した箕輪東小学校校舎屋根部分354m2 を事業費1,550,000円で復旧したこととしていたが、実際は、537,000円の割戻しを受けていた。 | ||||||
(16) | 体育施設整備 (昭和51年度) |
875 | 288 | 195 | 62 | 事業費の精算過大 |
箕輪南小学校体育館に400ワットの水銀灯15基を事業費875,000円で設置したこととしていたが、実際は、300ワットの水銀灯で実施していて、差額195,000円の割戻しを受けていた。 | ||||||
(17) | 地方スポーツ振興 (昭和52年度) |
1,382 | 688 | 382 | 188 | 事業の一部不実施 |
市町村スポーツ活動振興のため、スポーツ教室の開設等を事業費1,382,100円で実施したとしていたが、このうち野球教室等382,000円については、全く実施していなかった。 | ||||||
(18) | 国宝重要文化財等保存整備 (昭和52年度、53年度) |
7,200 | 3,600 | 3,275 | 1,613 | 事業の一部不実施 |
大原遺跡の調査及び記録の保存を図るため、緊急発掘を実施したもので、総事業費14,500,000円のうち補助対象事業費7,200,000円(52年度3,700,000円、53年度3,500,000円)で実施したこととして事業費を精算していた。 しかし、実際は、上記事業の一部を実施したにすぎないもので、本件事業に要した費用は7,950,000円(補助対象事業費相当額3,925,000円)である。 |
||||||
計 | 11,007 | 5,609 | 4,389 | 2,221 |
(2) 農林水産省所管
補助事業の実施及び経理が不当と認められるもの
事業 | 事業費 | 左に対する国庫補助金 | 不当と認めた事業費 | 不当と認めた国庫補助金 | 摘要 | |
(60) |
水田利用再編対策事業等 |
千円 3,039 |
千円 3,039 |
千円 2,626 |
千円 2,626 |
補助の対象外 |
水稲の作付転換 | ||||||
(昭和48年度〜57年度) | ||||||
これらの事業は、米の生産調整を図るなどのため、水田において転作等を実施した農業者に対して、昭和48年度に米生産調整奨励補助金、49年度及び50年度に稲作転換奨励補助金、51年度及び52年度に水田総合利用奨励補助金、53年度から57年度まで水田利用再編奨励補助金の各補助金(以下「奨励補助金」という。)を交付するもので、農業者6名は、転作等実施計画に基づき水田延べ55,632m2 (48年度4,411m2 、49年度9,079m2 、50年度7,133m2 、51年度6,563m2 、52年度7,581m2 、53年度7,219m2 、54年度7,297m2 、55年度2,134m2 、56年度2,134m2 及び57年度2,081m2 )に水稲以外の飼料作物等を作付けしたなどとして奨励補助金3,039,928円(48年度161,840円、49年度373,495円、50年度291,345円、51年度308,461円、52年度356,307円、53年度555,863円、54年度548,792円、55年度168,586円、56年度139,350円及び57年度135,889円)の交付を受けていた。しかし、上記の水田のうち延べ41,686m2 (48年度2,322m2 、49年度7,133m2 、50年度7,133m2 、51年度6,563m2 、52年度7,581m2 、53年度6,107m2 及び54年度4,847m2 )は、箕輪町が48年度から54年度までの間に農業者6名とそれぞれ賃貸借契約を締結して、児童遊園地として提供させ、賃借料の一部に充てる目的で、適正に転作等を実施したように作為させて、奨励補助金の交付を受けさせていたものであり、また、前記の水田のうち延べ6,349m2 (55年度2,134m2 、56年度2,134m2 及び57年度2,081m2 )は、同町が農業者1名に49年度から児童遊園地として提供させ、54年4月に返戻した土地であるから、いずれも補助の対象とは認められない。したがって、これらに係る奨励補助金2,626,660円(48年度91,919円、49年度291,345円、50年度291,345円、51年度308,461円、52年度356,307円、53年度470,239円、54年度373,219円、55年度168,586円、56年度139,350円及び57年度135,889円)は交付する要はなかったものである。 | ||||||
(61) | 畜産経営技術向上等対策事業 | 24,927 | 8,211 | 6,170 | 2,027 | 事業費の精算過大 |
堆肥舎、混合資材貯蔵庫の設置等 | ||||||
(昭和49年) | ||||||
この事業は、箕輪町農業協同組合において、畜産経営の環境整備を推進し耕地の地力維持増進を図るため、堆肥舎1棟453m2 、混合資材貯蔵庫1棟159m2 、トラクタ1台、ダンプトラック1台等を設置・導入したもので、事業費24,927,427円で実施したこととして事業費を精算していた。しかして、このうち堆肥舎1棟及び混合資材貯蔵庫1棟については、契約額14,450,000円で某合資会社に請け負わせ施行したこととしていたが、実際は、上記契約額で、箕輪町が実施すべき道路舗装等工事(工事費5,300,000円)及び堆肥センター周辺舗装工事(工事費870,000円)を、本件工事に含めて実施していた。したがって、本件事業に要した費用は道路舗装等工事費等計6,170,000円を控除した18,757,427円である。なお、この事業費から補助金額等を差し引いた額については、農業近代化資金8,880,000円が貸し付けられているが、上記の結果、適正な貸付額は6,585,135円となるため、この貸付額を超える額に対する利子補給補助金140,604円は交付する要はなかったものである。 | ||||||
(62) | 畜産経営技術向上等対策事業 | 29,861 | 9,960 | 4,453 | 1,482 | 事業費の精算過大 |
堆肥舎、機械格納庫設置等 | ||||||
(昭和50年度) | ||||||
この事業は、箕輪町農業協同組合において、畜産経営の環境整備を推進し耕地の地力維持増進を図るため、堆肥舎1棟514m2 、機械格納庫1棟160m2 、トラクタ1台、ダンプトラック2台等を設置・導入したもので、事業費29,861,430円で実施したこととして事業費を精算していた。しかして、このうち堆肥舎1棟及び機械格納庫1棟については、契約額19,521,000円で某株式会社に請け負わせ施行したこととしていたが、実際は、上記契約額で、箕輪町が実施すべき堆肥センター道路舗装等工事(工事費1,430,000円)及び堆肥センター植樹(苗木代183,000円)を、同町が本件工事に含めて実施していたり、2,840,000円の割戻しを受けていたりしていた。したがって、本件事業に要した費用は堆肥センター道路舗装等工事費等計4,453,000円を控除した25,408,430円である。なお、この事業費から補助金額等を差し引いた額については、農業近代化資金13,700,000円(当初貸付額16,320,000円)が貸し付けられているが、上記の結果、適正な貸付額は11,657,056円となるため、この貸付額を超える額に対する利子補給補助金111,126円は交付する要はなかったものである。 | ||||||
(63) | 農業就業改善総合対策事業 | 52,326 | 26,163 | 4,204 | 2,102 | 事業費の精算過大 |
就業改善センターの設置 | ||||||
(昭和50年度、51年度) | ||||||
この事業は、導入企業へ農業者を円滑に就業させて、就業構造及び農業構造の改善を図るため、就業改善センター1棟延べ607m2 を設置したもので、事業費52,326,800円で実施したこととして事業費を精算していた。しかして、このうち本体建築工事については、契約額42,500,000円(昭和50年度11,750,000円及び51年度30,750,000円)で請け負わせ施行したこととしていたが、実際は、上記契約額で、本施設とは全く関係のない農業機械センター1棟の改造工事(工事費4,204,935円)を本件工事に含めて実施していた。したがって、本件事業に要した費用は農業機械センターの改造工事費を控除した48,121,865円である。 | ||||||
(64) | 麦大豆生産振興対策事業 | 211 | 202 | 120 | 111 | 事業の一部不実施 |
推進会議の開催等 | ||||||
(昭和50年度) | ||||||
麦及び大豆の生産振興を図るため、推進会議の開催、啓発用パンフレットの印刷等を事業費211,350円で実施したこととしていたが、実際は、推進会議に伴う委員報酬、印刷代計120,800円は架空のものであった。 | ||||||
(65) | ほ場整備事業 | 113,900 | 45,560 | 3,097 | 1,238 | 事業費の精算過大 |
水田等の整備 | ||||||
(昭和52年度) | ||||||
この事業は、農業生産基盤の整備を図るため、水田等24.3haのほ場整備を施行したもので、事業費113,900,000円で実施したこととして事業費を精算していた。しかして、このうち整地工、用水路工、排水路工、道路工等の工事については、103,300,000円で2業者に請け負わせ施行したこととしていたが、実際は、2業者から計3,097,360円の割戻しを受けていた。したがって、本件事業に要した費用はこの割戻金を控除した110,802,640円である。 | ||||||
計 | 224,266 | 93,136 | 20,672 | 9,589 |
(3) 建設省所管
補助事業の実施及び経理が不当と認められるもの
事業 | 事業費 | 左に対する国庫補助金 | 不当と認めた事業費 | 不当と認めた国庫補助金 | 摘要 | |
(143) |
上伊那郡箕輪町公営住宅建設(昭和48年度〜50年度) |
千円 114,137 |
千円 67,677 |
千円 1,300 |
千円 774 |
事業費の精算過大 |
公営住宅44戸の建設工事の現場監理業務を1,300,000円で某建築設計事務所に委託して実施したとしていたが、実際は、すべて箕輪町の職員が行っていた。 |
(4) 自治省所管
消防施設等整備事業の実施及び経理が不当と認められるもの
事業 | 事業費 (補助基準額) |
左に対する国庫補助金 | 不当と認めた事業費 | 不当と認めた国庫補助金 | 摘要 | |
(156) |
消防施設等整備事業 (昭和51年度) |
千円 1,750 (1,740) |
千円 580 |
千円 371 |
千円 120 |
事業費の精算過大 |
防火水槽1基を契約額1,750,000円で設置したこととしていたが、実際は、1,379,000円で契約し施行していた。 | ||||||
〔補助金〕合計 | 351,161 | 167,002 | 26,732 | 12,705 |
2貸付金
(1) 大蔵省
資金運用部資金の貸付けが不当と認められるもの
貸付対象 | 資金年度 昭和 |
貸付 昭和年月 (貸付利率) |
償還期限 昭和年月 |
貸付対象事業費 | 左に対する貸付金額 | 左のうち不当と認めた額 | 摘要 | |
(10) |
上水道第2次拡張事業 |
50年度 |
51.1 (年7.50%) |
80.9 |
千円 230,591 |
千円 160,000 |
千円 85,468 |
事業の一部不実施及び貸付対象外 |
同 | 51年度 | 52.3 (年7.50%) |
82.3 | 135,888 | 81,000 | 3,283 | 同 | |
同 | 52年度 | 53.3 (年6.50%) |
83.3 | 91,850 | 58,500 | 20,274 | 事業の一部不実施 | |
同 | 53年度 | 54.3 (年6.05%) |
84.3 | 202,327 | 101,000 | 3,758 | 事業の一部不実施及び貸付対象外 | |
同 | 54年度 | 55.4 (年8.00%) |
85.3 | 20,296 | 9,400 | 453 | 事業の一部不実施 | |
小計 | 680,952 | 409,900 | 113,237 | |||||
この貸付けは、箕輪町が昭和49年度から54年度までの間に実施した上水道第2次拡張事業(事業費918,441,000円)のうち、50年度から54年度までに実施した事業に必要な資金680,952,000円(事務費を除いた工事費等668,298,000円)の一部として、公営企業金融公庫の貸付金265,500,000円と併せて貸し付けたものである。 しかして、同町では、 (1) 52年度の借入れに当たり、実際は全く工事を実施していないのに、入札書、契約書等の関係書類をあたかも工事を実施したかのように作為したうえ、架空の工事費26,315,006円を貸付対象事業費としていた。 (2) 50年度から54年度までの各年度の借入れに当たり、借入関係書類に実施していない事業の工事費18,776,390円を含め、これを貸付対象事業費としていた。 (3) 50年度、51年度及び53年度の借入れに当たり、貸付対象となる口径30mm以上の配水管布設の工事を実施したとしていたが、実際は、貸付対象とならない小口径配水管(口径13mmから25mmまで)布設の工事を実施しており、その工事費16,794,638円を貸付対象事業費としていた。 (4) 50年度の借入れに当たり、前年度に工事を施行し、支出済みであるので貸付対象とならない事業の工事費116,363,000円を、当該年度に工事を施行したかのように入札書、契約書等の関係書類を作為したうえ、借入関係書類に事実と相違する記載をして当該年度の貸付対象事業費としていた。したがって、適切な貸付対象事業費は、前記工事費等668,298,000円から(1)、(2)、(3)及び(4)の工事費計178,249,028円を控除した490,048,972円にこれに係る事務費22,012,971円を加えた512,061,943円となり、これに対する資金運用部資金及び公営企業金融公庫の適切な貸付金合計額507,957,147円と貸付金合計額675,400,000円との差額167,442,853円が過大な貸付けとなっているので、これを資金運用部資金と公営企業金融公庫の貸付金額であん分すると、資金運用部資金については113,237,984円が過大な貸付けとなっている。 |
||||||||
(11) | 武道館建設事業 | 50年度 | 50.12 (年7.50%) |
70.9 | 50,053 | 32,100 | 3,902 | 低額設置 |
この貸付けは、箕輪町が昭和50年度に実施した武道館1棟延べ666m2
の建設事業に必要な資金50,053,000円の一部として貸し付けたものであるが、実際は、割戻しを受け、貸付対象事業費より低額な44,847,000円で実施していた。 したがって、これに対する適切な貸付金額は28,197,603円となり、本件貸付金額32,100,000円との差額3,902,397円が過大な貸付けとなっている。 なお、58年9月末現在の不当貸付金残高は3,206,642円で、これについては、本院の注意により、繰上償還の措置を執ることになった。 |
||||||||
(12) | 就業改善センター建設事業 | 51年度 | 51.12 (年7.50%) |
66.9 | 50,585 | 13,500 | 1,133 | 低額設置 |
この貸付けは、箕輪町が昭和50年度及び51年度に実施した就業改善センター1棟延べ607m2
の建設事業に必要な資金53,005,000円の一部として貸し付けたもので、このうち同センターの本体建築工事については契約額42,500,000円で請け負わせ施行したこととしていたが、実際は、上記契約額で本施設とは全く関係のない農業機械センターの改造工事(工事費4,204,935円)を本件工事に含めて実施していた。 したがって、適切な貸付対象事業費は、本体建築工事の上記契約額から上記改造工事費を控除した38,295,065円にその他の事業費8,043,800円を加えた46,338,865円となり、これに対する適切な貸付金額12,366,729円と本件貸付金額13,500,000円との差額1,133,271円が過大な貸付けとなっている。 なお、58年9月末現在の不当貸付金残高は859,844円で、これについては、本院の注意により、繰上償還の措置を執ることになった。 |
||||||||
計 | 781,590 | 455,500 | 118,273 |
(2) 郵政省
簡易生命保険及び郵便年金の積立金の貸付けが不当と認められるもの
貸付対象 | 年度 (貸付年度) 昭和 |
貸付 昭和年月 (貸付利率) |
償還期限 昭和年月 |
貸付対象事業費 | 左に対する貸付金額 | 左のうち不当と認めた額 | 摘要 | |
(90) |
公営住宅建設事業 |
48年度 (49年度) |
49.5 (年7.50%) |
69.3 |
千円 7,187 |
千円 6,400 |
千円 63 |
低額実施 |
公営住宅建設事業 | 49年度 (50年度) |
50.5 (年8.00%) |
70.3 | 21,567 | 18,400 | 161 | 低額実施 | |
同 | 50年度 (51年度) |
51.5 (年7.50%) |
71.3 | 26,696 | 21,500 | 217 | 同 | |
小計 | 55,450 | 46,300 | 441 | |||||
この貸付けの対象となった公営住宅建設工事において、現場監理業務を1,300,000円で某建築設計事務所に委託して実施したとしていたが、実際は、すべて箕輪町の職員が行っていた。 したがって、適切な貸付対象事業費は54,924,250円となり、これに対する適切な貸付金額45,858,058円と本件貸付金額46,300,000円との差額441,942円が過大な貸付けとなっている。 なお、昭和58年9月末現在の不当貸付金残高は361,041円で、これについては、本院の注意により、繰上償還の措置を執ることになった。 |
(3) 農林漁業金融公庫
長野県上伊那郡箕輪町において不当の事態があった結果、土地改良資金の貸付けが 不当と認められるもの
支店名 (受託金融機関名) |
貸付先 (転貸先) |
貸付対象 | 貸付 昭和年月 (貸付利率) |
貸付対象事業費 | 左に対する貸付金額 | 左のうち不当と認めた額 | 摘要 | |
(164) |
長野支店 (長野県信用農業協同組合連合会 ) |
農業協同組合 (農業者87名 ) |
農道整備 |
51.4 (年3.5%) |
千円 30,000 |
千円 24,000 |
千円 177 |
低額実施 |
この貸付けは、事業費30,000,000円で箕輪町が実施した農道整備事業に対する受益農業者分担金の支払いに必要な資金30,000,000円(貸付対象事業費同額)の一部として24,000,000円を貸し付けたもので、借主は貸付対象事業費どおりの金額の分担金を支払ったこととしていたが、実際は、同町は事業の実施に当たり工事雑費177,000円を水増しして上記の事業費より低額な29,823,000円で実施していたので、適切な貸付金額は23,823,000円となり、本件貸付金額との差額177,000円は過大な貸付けとなっている。 なお、本件不当貸付金額については、本院の注意により、繰上償還の措置が執られた。 |
||||||||
(165) | 長野支店 (長野県信用農業協同組合連合会 ) |
農業協同組合 (農業者76名 ) |
農道整備 | 51.12 (年3.5%) |
29,500 | 23,600 | 1,451 | 低額実施 |
この貸付けは、事業費29,500,000円で箕輪町が実施した農道整備事業に対する受益農業者分担金の支払いに必要な資金29,500,000円(貸付対象事業費同額)の一部として23,600,000円を貸し付けたもので、借主は貸付対象事業費どおりの金額の分担金を支払ったこととしていたが、実際は、同町ば事業の実施に当たり請負業者から割戻しを受けていたり、貸付対象事業以外の道路整備費を上記事業に含めていたりしていて、上記の事業費より低額な28,048,550円で実施していたので、適切な貸付金額は22,148,550円となり、本件貸付金額との差額1,451,450円は過大な貸付けとなっている。なお、本件不当貸付金額については、本院の注意により、繰上償還の措置が執られた。 | ||||||||
(166) | 同 (同) |
農業協同組合 (農業者87名) |
農道整備 | 51.12 (年3.5%) |
18,400 | 14,720 | 120 | 低額実施 |
この貸付けは、事業費18,400,000円で箕輪町が実施した農道整備事業に対する受益農業者分担金の支払いに必要な資金18,400,000円(貸付対象事業費同額)の一部として14,720,000円を貸し付けたもので、借主は貸付対象事業費どおりの金額の分担金を支払ったこととしていたが、実際は、同町は事業の実施に当たり請負業者から割戻しを受けて上記の事業費より低額な17,400,000円で実施していたので、適切な貸付金額は14,599,239円となり、本件貸付金額との差額120,761円は過大な貸付けとなっている。 なお、本件不当貸付金額については、本院の注意により、繰上償還の措置が執られた。 |
||||||||
(167) | 同 (同) |
農業協同組合 (農業者136名 ) |
団体営ほ場整備 | 53.3 53.5 (年5.5%) (年5.05%) |
56,950 | 56,950 | 1,548 | 低額実施 |
この貸付けは、事業費115,040,000円で箕輪町が実施した団体営ほ場整備事業に対する受益農業者分担金の支払いに必要な資金56,950,000円(貸付対象事業費同額)を貸し付けたもので、借主は貸付対象事業費どおりの金額の分担金を支払っていたが、実際は、同町は事業の実施に当たり請負業者から3,097,360円の割戻しを受けて上記の事業費より低額な111,942,640円で実施していたので、適切な貸付金額は55,401,320円となり、本件貸付金額との差額1,548,680円は過大な貸付けとなっている。 なお、本件不当貸付金額については、本院の注意により、繰上償還の措置が執られた。 |
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計 | 134,850 | 119,270 | 3,297 |
(4) 公営企業金融公庫
公営企業金融公庫資金の貸付けが不当と認められるもの
貸付対象 | 資金年度 昭和 |
貸付 昭和年月 (貸付利率) |
償還期限 昭和年月 |
貸付対象事業費 | 左に対する貸付金額 | 左のうち不当と認めた額 | 摘要 | |
(168) |
上水道第2次拡張事業 |
50年度 |
51.3 (年7.70%) |
79.3 |
千円 230,591 |
千円 69,000 |
千円 36,858 |
事業の一部不実施及び貸付対象外 |
同 | 51年度 | 52.3 (年7.70%) |
80.3 | 135,888 | 54,000 | 2,189 | 同 | |
同 | 52年度 | 53.3 (年6.70%) |
81.3 | 91,850 | 31,500 | 10,917 | 事業の一部不実施 | |
同 | 53年度 | 54.3 (年6.25%) |
82.3 | 202,327 | 101,000 | 3,758 | 事業の一部不実施及び貸付対象外 | |
同 | 54年度 | 55.3 (年7.25%) |
83.3 | 20,660 | 10,000 | 482 | 事業の一部不実施 | |
小計 | 681,316 | 265,500 | 54,204 | |||||
この貸付けは、箕輪町が昭和49年度から54年度までの間に実施した上水道第2次拡張事業(事業費918,805,000円)のうち、50年度から54年度までに実施した事業に必要な資金681,316,000円(事務費を除いた工事費等668,746,000円)の一部として、資金運用部資金409,900,000円と併せて貸し付けたものである。 しかして、同町では、 (1) 52年度の借入れに当たり、実際は全く工事を実施していないのに、入札書、契約書等の関係書類をあたかも工事を実施したかのように作為したうえ、架空の工事費26,315,000円を貸付対象事業費としていた。 (2) 50年度から54年度までの各年度の借入れに当たり、借入関係書類に実施していない事業の工事費19,224,390円を含め、、これを貸付対象事業費としていた。 (3) 50年度、51年度及び53年度の借入れに当たり、貸付対象となる口径30mm以上の配水管布設の工事を実施するとしていたが、実際は、貸付対象とならない小口径配水管(口径13mmから25mmまで)布設の工事を実施しており、その工事費16,794,638円を貸付対象事業費としていた。 (4) 50年度の借入れに当たり、前年度に工事を施行し、支出済みであるので貸付対象とならない事業の工事費116,363,000円を、当該年度に工事を施行したかのように入札書、契約書等の関係書類を作為したうえ、借入関係書類に事実と相違する記載をして当該年度の貸付対象事業費としていた。 したがって、適切な貸付対象事業費は、前記工事費等668,746,000円から(1)、(2)、(3)及び(4)の工事費計178,697,028円を控除した490,048,972円にこれに係る事務費22,012,971円を加えた512,061,943円となり、これに対する同公庫及び資金運用部資金の適切な貸付金合計額507,957,147円と貸付金合計額675,400,000円との差額167,442,853円が過大な貸付けとなっているので、これを同公庫及び資金運用部資金の貸付金額であん分すると、同公庫貸付金については54,204,864円が過大な貸付けとなっている。 |
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[貸付金]合計 | 1,653,206 | 886,570 | 176,218 |