資金名及び科目 | 資金運用部資金貸付金 |
部局等の名称 | 関東財務局長野財務事務所、近畿財務局和歌山財務事務所、四国財務局松山財務事務所(「財務事務所」は、昭和59年9月30日以前は「財務部」)、沖縄総合事務局 |
貸付けの根拠 | 資金運用部資金法(昭和26年法律第100号) |
貸付けの内容 | 地方公共団体に対する普通地方長期資金の貸付け |
貸付先 | 県1、町1、村1、一部事務組合1、計4件町村等 |
貸付金の合計 | 2,102,800,000円 |
上記の4県町村等に対する2,102,800,000円の貸付けにおいて、貸付先の県町村等が、貸付対象事業費を過大に算定していたり、貸付対象事業の財源として受け入れた寄付金を算入していなかったりして、貸付額が269,552,180円過大になっていると認められる。これを貸付先別に掲げると別表 のとおりである。
(説明)
大蔵省では、資金運用部資金法等の規定に基づき、地方公共団体が公共施設の建設事業費等の財源として自治大臣又は都道府県知事の許可を得て地方債を起こす場合に普通地方長期資金を貸し付けている。この資金の貸付けは、地方公共団体が予算に定める地方債の限度額を限度とし、地方債許可方針等により算出された貸付対象事業費から貸付対象事業の財源として受け入れられた補助金、負担金、寄付金等を控除した額に所定の充当率を乗じて得た額を貸付金額として、貸付対象事業が完了した後において行われることになっている。
しかして、上記の貸付けについて検査したところ、貸付先の県町等において、貸付対象事業を借入関係書類に記載した額よりも低額で実施しているのに記載した額で実施したとしていたり、貸付対象事業の一部を実施していないのに実施したとしてその事業費を貸付対象事業費に含めていたりして貸付対象事業費を過大に算定していたり、貸付対象事業の財源として受け入れた寄附金を貸付対象事業費の財源に算入していなかったりしていて、貸付額が過大になっでいると認められるものが269,552,180円見受けられた。
貸付先 | 貸付対象 | 貸付昭和年月 (貸付利率) |
貸付対象事業費 | 左に対する貸付金額 | 貸付金額のうち不当と認めた額 | 摘要 | |
千円 | 千円 | 千円 | |||||
(2) | 長野県下高井郡山ノ内町 | 地域経済振興対策事業 | 59.5 (年7.1%) |
73,600 | 63,700 | 16,670 | 寄付金の財源不算入 |
この貸付けは、山ノ内町が昭和58年度に観光施設の整備を目的として実施した地域経済振興対策事業に必要な資金73,600,000円の一部として貸し付けたものである。
しかして、同町では、借入れに当たり、地元の観光関連業者等が運営している財団法人から同事業の財源として受け入れた寄附金計18,161,000円を貸付対象事業費の財源に算入していなかった。
したがって、上記の寄附金を貸付対象事業費の財源に算入して適切な貸付金額を計算すると47,030,000円となり、本件貸付金額63,700,000円との差額16,670,000円が過大な貸付けとなっている。
なお、本件の過大な貸付金額については、本院の注意により、繰上償還の措置を執ることになった。
(3) | 和歌山県公立紀南病院組合 | 病院事業 (病院別館整備事業) |
58.9 (年7.3%) |
546,448 | 459,300 | } | 213,310 | 低額実施 |
同 (同) |
59.3 (年7.1%) |
1,549,464 | 1,246,100 | |||||
小計 | 2,095,912 | 1,705,400 | 213,310 |
この貸付けは、公立紀南病院組合が昭和57、58両年度に病院事業として実施した病院別館整備事業に必要な資金2,302,162,000円(うち貸付対象事業費分2,095,912,000)の一部として貸し付けたものである。
しかして、同組合では、借入れに当たり、上記事業として建物本体工事、冷暖房設備工事等の特殊附帯施設工事等を当初計画額どおり2,302,162,000円で実施したとしていたが、実際は、これより低額な1,974,644,459円で実施していた。
したがって、上記の実際に要した事業費により適切な貸付対象事業費を算定すると1,882,551,122円となり、これにより貸付金額を計算すると1,492,089,122円となるので、本件貸付金額1,705,400,000円との差額213,310,878円が過大な貸付けとなっている。
なお、貸付金額については、本院の注意により、繰上償還の措置を執ることになった。
(4) |
愛媛県 |
病院事業 (医師住宅新築事業) |
58.3 (年7.3%) |
151,979 |
151,000 |
13,239 |
事業の一部不実施 |
この貸付けは、愛媛県が昭和57年度に病院事業として実施した医師住宅新築事業に必要な資金151,979,000円の一部として貸し付けたものである。
しかして、同県では、借入れに当たり、実際は暖房設備工事を実施していないのに、実施したとして暖房設備費15,693,000円を貸付対象事業費に含めていた。
したがって、適切な貸付対象事業費は、上記の15,693,000円を控除するなどした138,592,004円となり、これにより貸付金額を計算すると137,760,451円となるので、本件貸付金額151,000,000円との差額13,239,549円が過大な貸付けとなっている。
なお、本件の過大な貸付金額については、本院の注意により、繰上償還の措置を執ることになった。
(5) | 同 | 病院事業 (看護婦宿舎新築事業) |
58.3 (年7.3) |
171,521 |
171,000 |
14,631 |
低額実施 |
この貸付けは、愛媛県が昭和57年度に病院事業として実施した看護婦宿舎新築事業に必要な資金171,521,000円の一部として貸し付けたものである。
しかして、同県では、借入れに当たり、貸付対象事業費に暖房設備費として15,707,000円及び屋外附帯設備工事費等の特殊附帯施設工事費として40,441,000円を計上しているが、実際はそれぞれ上記の工事費より低額な9,696,362円及び30,234,921円で工事を実施していた。
したがって、上記の実際の暖房設備費及び特殊附帯施設工事費を貸付対象事業費に計上するなどした適切な貸付対象事業費は156,838,764円となり、これにより貸付金額を計算すると156,368,247円となるので、本件貸付金額171,000,000円との差額14,631,753円が過大な貸付けとなっている。
なお、本件の過大な貸付金額については、本院の注意により、繰上償還の措置を執ることになった。
(6) |
沖縄県島尻郡具志頭村 | 簡易水道事業 |
58.5 (年7.3%) |
36,969 |
11,700 |
11,700 |
寄付金の財源不算入 |
この貸付けは、具志頭村が昭和57年度に実施した簡易水道事業(簡易水道施設整備)に必要な資金36,969,000円の一部として貸し付けたものである。
しかして、同村では、借入れに当たり、水道使用者で組織されている簡易水道組合から同事業の財源として受け入れた寄附金13,235,000円を貸付対象事業費の財源に算入していなかった。
したがって、上記の寄附金を貸付対象事業費の財源に算入すると貸付けを必要とする額が生じないので、本件貸付けはその要がないものである。
なお、本件の貸付金額については、本院の注意により、繰上償還の措置を執ることになった。
計 | 2,529,981 | 2,102,800 | 269,552 |