会計名及び科目 | 一般会計 | (組織)厚生本省 | (項)保健衛生諸費 | (項)老人福祉費 (項)児童保護費 |
部局等の名称 | 北海道ほか10県 | |||
補助の根拠 | 医療法(昭和23年法律第205号)、老人福祉法(昭和38年法律第133号)、児童福祉法(昭和22年法律第164号)、精神薄弱者福祉法(昭和35年法律第37号) | |||
事業主体 | 道1、県3、市5、町2、一部事務組合3、計14事業主体 | |||
補助事業 | 長野県がん診療施設設備整備事業等15事業 | |||
上記に対する国庫補助金交付額の合計 | 10,181,689,942円 |
上記の15補助事業において、事業費を過大に精算していたり、国庫補助金を他省所管のものと重複して受給していたりしていて、国庫補助金38,436,363円が不当と認められる。これを道県別に掲げると別表 のとおりである。
(説明)
厚生省所管の補助事業は、地方公共団体等が事業主体となって実施するもので、同省では、これらの事業主体に対して、事業に要する費用について直接又は間接に補助金を交付している。
しかして、これらの補助事業の実施及び経理について検査したところ、前記の14事業主体が実施したがん診療施設設備整備事業、老人福祉施設保護事業等の15事業において、事業費を過大に精算していたり、国庫補助金を他省所管のものと重複して受給していたりしていた。
いま、これらを不当の態様別に示すと次のとおりである。
事業費を過大に精算しているもの | ||
12事業 | 不当と認めた国庫補助金 | 21,971,363円 |
国庫補助金を他省所管のものと重複して受給しているもの | ||
3事業 | 不当と認めた国庫補助金 | 16,465,000円 |
(別表)
道県名 | 事業 | 事業主体 (所在地) |
年度 | 補助対象 | 左に対する国庫補助金 | 不当と認めた補助金対象事業費 | 不当と認めた国庫補助金 | 摘要 | |
千円 | 千円 | 千円 | 千円 | ||||||
(医療施設等設備整備費補助金) | |||||||||
(38) | 長野県 | がん診療施設設備整理事業 | 組合立諏訪中央病院(茅野市) | 58 | 15,167 | 5,055 | 6,100 | 2,033 | 補助金の重複受給 |
(39) | 愛知県 | 同 | 公立陶生病院組合(瀬戸市) | 55 | 30,000 | 10,000 | 30,000 | 10,000 | 同 |
(40) | 広島県 | へき地中核病院設備整備事業 | 双三中央病院組合(三次市) | 56 | 50,000 | 25,000 | 8,863 | 4,432 | 同 |
小計 | 95,167 | 40,055 | 44,963 | 16,465 | |||||
この補助金は、都道府県、市町村、一部事務組合等が開設する公的医療機関が、へき地中核病院又はがん診療施設として必要な医療機器等の設備を整備する場合にその費用を補助するものである。 |
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(老人保護費補助金) | |||||||||
(41) | 北海道 | 老人福祉施設保護事業 | 小樽市 | 58 | 498,842 | 399,073 | 1,836 | 1,469 | 扶養義務者の所得税額等を誤認していたものなど |
(42) | 新潟県 | 同 | 新潟市 | 58 | 643,373 | 514,698 | 2,360 | 1,888 | 老人の対象収入を過少に算定していたものなど |
(43) | 香川県 | 老人福祉施設保護事業 | 高松市 | 58 | 650,341 | 520,272 | 1,958 | 1,566 | 民間施設給与等改善費の加算率の適用を誤っていたものなど |
(44) | 高知県 | 同 | 高知県 | 58 | 1,693,542 | 1,354,834 | 2,678 | 2,142 | 老人の対象収入を過少に算定していたものなど |
(45) | 福岡県 | 同 | 豊前市 | 58 | 157,799 | 126,239 | 2,417 | 1,934 | 扶養義務者がいないとしていたものなど |
(46) | 長崎県 | 同 | 長崎県 | 58 | 2,769,970 | 2,215,976 | 1,679 | 1,343 | 老人の対象収入を過少に算定していたものなど |
(47) | 同 | 同 | 大村市 | 58 | 289,834 | 231,867 | 2,232 | 1,785 | 民間施設給与等改善費の加算率の適用を誤っていたもの |
(48) | 熊本県 | 同 | 熊本県 | 58 | 3,083,583 | 2,466,867 | 5,863 | 4,690 | 老人の対象収入を過少に算定していたものなど |
小計 | 9,787,288 | 7,829,831 | 21,026 | 16,821 | |||||
この補助金は、身体上又は精神上著しい欠陥があるために常時の介護を必要とし、かつ、居宅においてこれを受けることが困難な老人を特別養護老人ホームに、また、身体上若しくは精神上又は環境上の理由及び経済的理由により居宅において養護を受けることが困難な老人を養護老人ホームに、それぞれ収容し養護した都道府県又は市町村に対して、当該措置に要する費用を補助するものである。そして、この交付額については、次の算式により求めることとしている。 |
(対象収入 前年の収入から、租税、社会保険料、医療費等の必要経費を控除した後の収入) | |||||||||
この場合、費用の額は、施設の所在地域、収容定員等の別に応じて定められている1人当たり月額事務費と地域別に定められている1人当たり月額生活費とを加えた額に年間の収容人員を乗じて算出し、これに移送費等を加えた額となっている。また、民間施設について事務費を算定する際には、公立の施設に勤務する職員との給与格差を是正するなどして施設経営の安定を図るため、施設の職員の平均勤続年数を基として別に定められた加算率により、民間施設給与等改善費を加算することとなっている。 しかして、上記の8事業主体においては、老人の対象収入を過少に算定したり、費用徴収の対象となる扶養義務者がいるのにこれをいないとしたり、扶養義務者の所得税額等を誤認したりなどして徴収金の額を過少に算定していたり、また、職員の平均勤続年数の算定を誤り改善費の加算率の上位のものを適用して費用の額を過大に算定していたりしていて、補助対象事業費を過大に精算していた。 |
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(児童保護費等補助金) | |||||||||
(49) | 北海道 | 収容施設措置事業 | 北海道 | 58 | 2,351,812 | 1,881,449 | 1,381 | 1,104 | 民間施設給与等改善費の加算率の適用を誤っていたもの |
(50) | 宮城県 | 保育所措置事業 | 柴田郡柴田町 | 58 | 46,092 | 36,873 | 1,705 | 1,364 | 扶養義務者の所得税額等を誤認していたもの |
(51) | 新潟県 | 同 | 中蒲原郡亀田町 | 58 | 101,061 | 80,848 | 1,903 | 1,522 | 同 |
(52) | 高知県 | 精神簿弱者援護措置事業 | 高知県 | 58 | 390,789 | 312,631 | 1,448 | 1,158 | 民間施設給与等改善費の加算率の適用を誤っていたもの |
小計 | 2,889,754 | 2,311,803 | 6,437 | 5,150 | |||||
この補助金は、保護者の労働又は疾病等の理由により保育に欠ける児童を保育所に入所させて保育したり、保護者のない児童又は保護者に監護させることが不適当であるとされた児童を収容施設に入所させ保護したり、18歳以上の精神薄弱者を援護施設に入所させ援護したりした都道府県又は市町村に対して当該措に要する費用を補助するものである。そして、この交付額については、次の算式により求めることとしている。 |
この場合、費用算定額は、保育所については、保育所の所在地域、収容定員、児童の年齢等の別に定められている単価に年間の措置児童数を乗じて算出した額の全保育所の合計額とし、収容施設及び援護施設については、施設別の事業費の単価に措置者数を乗じて得た額と施設の所在地域、収容定員等の別に定められている事務費の単価にその施設の収容定員を乗じて得た額とを合算した額の年間額の全施設の合計額としている。また、民間施設について事務費を算定する際には、公立の施設に勤務する職員との給与格差を是正するなどして施設経営の安定を図るため、施設の職員の平均勤続年数を基として別に定められた加算率により、民間施設給与等改善費を加算することとなっている。 しかして、上記の4事業主体においては、扶養義務者の所得税額等を誤認するなどして徴収金の額を過少に算定していたり、職員の平均勤続年数の算定を誤って、改善費の加算率の上位のものを適用し費用算定額を過大に算定していたりして、補助対象事業費を過大に精算していた。 |
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計 | 12,772,210 | 10,181,689 | 72,427 | 38,436 |