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  • 昭和59年度|
  • 第2章 所管別又は団体別の検査結果|
  • 第1節 所管別の検査結果|
  • 第7 郵政省|
  • 本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項

小包集中局等の搬送機械設備の保守業務における保守費の積算を業務の実態に適合するよう改善させたもの


小包集中局等の搬送機械設備の保守業務における保守費の積算を業務の実態に適合するよう改善させたもの

会計名及び科目 郵政事業特別会計 (項)業務費
部局等の名称 東京、近畿両郵政局
契約名 機械化設備常駐保守請負契約(昭和59年4月〜60年3月随意契約)
契約の概要 東京北部、東京南部両小包集中局、晴海通常郵便集中局及び大阪小包集中局のコンテナ搬送機械、小包区分機等の搬送機械設備の保守及びこれに伴う付帯業務
契約の相手方 日本搬送設備保守株式会社及び西日本搬送設備保守株式会社
契約金額 613,726,400円
東京郵政局分(東京北部、東京南部両小包集中局、晴海通常郵便集中局) 313,326,400円
近畿郵政局分(大阪小包集中局) 300,400,000円

 

 上記の搬送機械設備保守業務において、保守費の積算が適切でなかったため、積算額が約3300万円過大になっていた。
 このように積算額が過大になっているのは、積算基準により保守業務に伴う管理事務に要する時間を保守業務に要する時間の10%と一律に算出することとしていたことによるもので、業務の実態に即した時間で積算する要があると認められた。

 上記に関し当局に指摘したところ、改善の処置が執られた。

(説明)

 郵政省では、郵便小包等のあて先別区分等の業務を大量迅速に処理するため、専門の郵便局(以下「集中局」という。)6局にコンテナ搬送機械、小包区分機等の搬送機械設備を設置している。そして、この設備の保守に要する業務は、集中局の職員が一部を行っているほかは大部分を部外者に請け負わせて実施している。しかして、東京、近畿両郵政局では、昭和59年度に東京北部小包集中局ほか3集中局について保守に要する業務を請け負わせているが、この保守費(積算額6億1481万余円)について検査したところ、次のとおり、積算が適切でないと認められる点が見受けられた。

 すなわち、上記の設備の保守に要する業務には、機械の点検、調整、給油、清掃及びこれに付帯する業務(以下「保守業務」という。)と保守業務についての監督、完成検査、安全管理等を行う業務(以下「管理事務」という。)とがあるが、このうち保守業務は、各集中局の保守担当技術職員(以下「局技術員」という。)及び保守請負会社の作業員(以下「保守員」という。)が共同して当該集中局に終日常駐して実施するものであり、また、管理事務は局技術員が保守業務と併せて実施するものである。この保守費の積算に当たっては、郵政大臣官房建築部制定の「機械化設備保守請負費積算基準」(昭和58年4月郵建備第6号。以下「積算基準」という。)に基づき、1日当たりの各集中局ごとの保守業務に要する時間(以下「所要時間」という。)を算出し、これに集中局の管理事務に要する時間として一律に所要時間の10%相当分(東京北部小包集中局962分、東京南部小包集中局1,092分、晴海通常郵便集中局579分、大阪小包集中局1,646分)を加算して、保守に要する業務の総所要時間を算出している。そして、この総所要時間から局技術員の保守業務及び管理事務に要する時間(1日の勤務時間)を控除して保守員の所要時間を算出し、これを保守員数に換算するなどして、請負に付す年間保守員数を東京郵政局で計14,569人、近畿郵政局で13,185人と算定して、これを保守単価(保守員人件費のほか諸経費を含む。)20,967円から23,196円に乗じて年間保守費を両郵政局で計614,814,000円と算出していた。

 しかしながら、各集中局の管理事務の実態について調査したところ、日常の管理事務に要する1日当たりの時間は東京北部小包集中局で700分(所要時間の7.3%)、東京南部小包集中局で760分(同7.1%)、晴海通常郵便集中局で600分(同10.7%)、大阪小包集中局で1,155分(同6.9%)となっていた。

 このように、上記4集中局のうち3集中局においては管理事務に実際に要した時間が積算上算定されている所要時間の10%相当の時間を相当下回っている状況であるのに、前記のように管理事務に要する時間を所要時間の10%と定め、各集中局に一律にこの率を適用することとして積算しているのは適切とは認められない。

 いま、仮に本件の保守費の積算に当たっては、局技術員の管理事務に要する時間について前記の実態調査による各集中局ごとの時間を個別に適用し、これに所要時間を加算し、総所要時間を算出するなどして請負に付す年間保守員数を算定すると、東京郵政局で計13,822人、近畿郵政局で12,438人となり、これにより保守費を積算したとすれば、積算額を東京郵政局で約1600万円、近畿郵政局で約1700万円計約3300万円低減できたと認められた。

 上記についての本院の指摘に基づき、郵政省では、60年10月に積算基準を改定し、各集中局の実態に即した局技術員の管理事務に要する時間をそれぞれ定め、同月以降更新する契約から適用することとする処置を講じた。