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  • 昭和59年度|
  • 第2章 所管別又は団体別の検査結果|
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労働保険の保険料の徴収に当たり、徴収額に過不足があったもの


(103) 労働保険の保険料の徴収に当たり、徴収額に過不足があったもの

会計名及び科目 労働保険特別会計(徴収勘定) (款)保険収入 (項)保険料収入
部局等の名称 北海道労働基準局ほか24労働基準局、青森県ほか9都県
保険料納付義務者 1,327事業主

 上記の1,327事業主から保険料を徴収するに当たって、申告に対する調査確認が十分でなかったため、徴収額が不足していたものが1,032事業主分612,381,083円、徴収額が過大になっていたものが418事業主分129,410,511あった(注) 。これらについては、本院の注意により、すべて徴収決定又は還付決定の処置が執られた。これを都道府県労働基準局及び都県ごとに集計して掲げると別表 のとおりである。
 これは、北海道労働基準局ほか24労働基準局及び青森県ほか9都県管内の2,694事業主について本院が調査した結果である。

 (注)  同一事業主について2年度分を調査しているため、年度を異にして徴収不足と徴収過大の事態があった場合は、それぞれを1事業主として整理している。

(説明)

 労働保険は労働者災害補償保険(以下「労災保険」という。)及び雇用保険を総称するものであるが、いずれも、工場、事務所、商店等に雇われる労働者を被保険者とし、労災保険にあっては業務上の事由又は通勤による負傷、疾病等に対し療養補償給付等を、また、雇用保険にあっては失業等に対し失業給付等を行う保険である。そして、その保険料は、労災保険分については事業主が負担し、雇用保険分については、失業給付に充てる部分は被保険者と事業主とが折半して負担し、雇用安定事業等に充てる部分は事業主が負担することとなっている。この保険料については、原則として、毎年度の初めに、事業主から都道府県労働基準局又は都道府県に対し、その年度の労働者に支払う賃金総額の見込額に労災保険率(注1) と雇用保険率(注2) とを合計した保険料率を乗じた概算保険料が申告、納付され、次の年度の初めに、実際に支払った賃金総額に基づいて計算した確定保険料申告書が提出されて精算が行われることとなっていて、この申告書の提出を受けた都道府県労働基準局又は都道府県は、申告書の記載内容を審査し、誤りがあるときは正当な保険料の額を決定してこれを事業主に通知し、保険料に過不足分が精算されることとなっている。

 しかして、保険料徴収の適否について検査したところ、前記の25労働基準局及び10都県では、事業主が確定保険料申告書を提出するに当たり、制度の理解が十分でなかったり、計算誤りをしたりなどして、実際に支払った賃金の一部を脱漏しているなど賃金総額の記載が事実と相違していたもの、労災保険率の適用を誤っていたものなどがあったのに、これに対する調査確認が十分でなかったため、本院が調査した2,694事業主分のうち、1,032事業主分612,381,083円が徴収不足、418事業主分129,410,511円が徴収過大になっていた。

 (注1)  労災保険率 労災保険の適用を受けるすべての事業の過去3年間の業務災害及び通勤災害に係る災害率等を考慮して定められており、事業の種類ごとに昭和59年度の場合は最低1000分の5から最高1000分の129となっている。

 (注2)  雇用保険率 失業給付、雇用安定事業等に要する費用を考慮して定められており、59年度の場合は1000分の14.5(ただし、農林、水産等の事業は1000分の16.5、建設の事業は1000分の17.5)となっている。

(別表)

労働基準局・都県名 本院が調査した事業主数 徴収不足があった事業主数
徴収過大があった事業主数
徴収不足額
徴収過大額(△)
千円
北海道労働基準局 172 73
38
25,483
△7,833
青森労働基準局 44 18
11
11,288
△2,570
宮城労働基準局 37 15
6,996
福島労働基準局 59 11
10
2,931
△3,225
栃木労働基準局 97 38
13
10,028
△4,467
埼玉労働基準局 88 33
21
34,541
△6,902
千葉労働基準局 47 18
6
16,201
△3,969
東京労働基準局 272 132
41
115,702
△15,917
神奈川労働基準局 211 79
31
57,004
△6,493
長野労働基準局 37 13
18
6,035
△3,079
愛知労働基準局 117 62
29
33,316
△18,016
三重労働基準局 45 18
8
19,006
△2,580
滋賀労働基準局 39 16
5
3,686
△1,351
京都労働基準局 68 24
58,892
大阪労働基準局 210 72
35
34,669
△10,424
兵庫労働基準局 115 30
24
8,782
△6,078
和歌山労働基準局 41 19
14
9,198
△2,784
岡山労働基準局 91 24
6
5,822
△1,987
広島労働基準局 132 38
20
10,720
△5,577
山口労働基準局 63 17
6
23,111
△2,818
徳島労働基準局 48 21
9,216
愛媛労働基準局 42 15
6
3,481
△969
福岡労働準準局 107 26
15
5,656
△6,114
佐賀労働基準局 40 10
6
5,732
△3,417
沖縄労働基準局 46 23
7
21,299
△3,759
青森県 36 15
4
2,904
△792
宮城県 22 11
1,590
栃木県 56 34
7
35,576
△723
埼玉県 45 25
6
5,907
△1,807
千葉県 23 12
5,229
東京都 67 10
9
3,586
△1,567
神奈川県 49 28
5
9,197
△621
岐阜県 39 20
7
4,095
△2,326
和歌山県 52 17
10
3,700
△1,232
山口県 37 15
1,785
2,694 1,032
418
612,381
△129,410