科目 | (工事勘定) (項)基幹施設整備費 |
部局等の名称 | 東京第一工事局 |
工事名 | 土浦電留基地北部他1 |
工事の概要 | 常磐線の輸送力増強策の一環として、土浦電車留置基地を新設するため、盛土54,065m3 、地盤改良24,845m2 、洗浄線2線延長620m等を施工する工事 |
工事費 | 900,811,948円(当初契約額297,000,000円。このほか支給材料代7,210,700円) |
請負人 | 株式会社竹中土木 |
契約 | 昭和57年12月 指名観争契約 |
しゅん功検査 | 昭和59年11月 |
支払 | 昭和58年7月〜59年12月 9回 |
この工事は、監督及び検査が適切でなかったため、洗浄線2線延長620mの工事において、受台鉄筋コンクリートの施工が設計と相違していて、受台及び軌条桁(工事費相当額37,910,880円、支給材料代相当額6,410,800円、計44,321,680円)が不安定なものとなっていると認められる。
(説明)
この工事は、常磐線の輸送力増強策の一環として、電車留置線9線及び洗浄線2線からなる土浦電車留置基地を新設するため、盛土54,065m3 、地盤改良24,845m2 、洗浄線延長620m等を施工したもので、このうち、車両を洗浄するための洗浄線は、鉄筋コンクリートの洗浄床3,900m2 の上に角柱の受台鉄筋コンクリート(横40cm、縦40cm又は55cm、高さ59.1cm。以下「受台」という。)を2.5m間隔に504基50.5m3 (工事費相当額7,010,880円)施工し、これに50kgNレールとH形鋼を溶接した軌条桁延長1,240m(工事費相当額30,900,000円、支給材料代相当額6,410,800円)を敷設したものである(参考図(1)参照) 。
しかして、この工事の設計図書及び示方書等によると、受台は次のとおり施工することとしていた。すなわち、〔1〕 受台の主鉄筋(径16mm、1基当たり16本又は20本)を、7cm間隔で方形状に、かつ、鉄筋天端の高さが洗浄床面から54.1cmになるように建て込み、その外周に帯鉄筋(径10mm、1基当たり3本)を結束して鉄筋を柱状に組み立て(参考図(2)参照) 、〔2〕 この鉄筋柱と鉄筋柱の間(軌道延長方向)に鉄製パイプの仮受台を設置し、その上に軌条桁を仮置きして、レールの高さが洗浄床面から90cmになるように調整し、〔3〕 軌条桁のH形鋼の下フランジに締結装置(レールクリップ、タイパット、下敷パット、六角ボルト及び埋込み栓)を取り付け、さらに、電車の荷重が最も強く影響する埋込み栓の周囲には、補強鉄筋(径10mm、1基当たり4本又は6本)を配置し(参考図(3)参照) 、〔4〕 設計基準強度240kg/cm2 のコンクリートを鉄筋の被りが上面で5cm、側面で6cmとなるように、また、締結装置の下敷パット及び埋込み栓がコンクリートに埋め込まれるように打設することとし、特に、受台頭部については下敷パットとコンクリートが完全に固着するように十分に締め固めながら施工することとして、受台及び軌条桁が、一体の構造物として電車の荷重を支持するよう構築することとしていた。
しかるに、現地についてみると、受台504基のうち499基の頭部の随所にき裂が生じていて、なかには、著しいき裂によりコンクリートがはく離しているものも見受けられたので、504基について調査をしたところ、次のような事態が見受けられた。
(1) 主鉄筋については、設計と異なる位置に建て込んでいたり、締結装置を取り付ける際に曲げたりしたままコンクリートを打設したなどのため、いずれも主鉄筋の被り及び間隔が設計と相違していた。また、埋込み栓の周囲の補強鉄筋については、全く施工していないものが258基(51%)、本数が不足しているものが191基(38%)もある状況で設計と著しく相違していた。
(2) コンクリートについては、打設の際の締め固めが十分でなかったため、いずれも、受台頭部の下敷パットの下側にコンクリートが十分に行きわたらず不陸となって、下敷パットとコンクリートとが固着していない状況であった。
以上のように、受台の施工が著しく粗雑であったため、その強度が設計に比べて低くなり、本件の受台及び軌条桁は不安定な状態となっていると認められる。