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この契約の予定価格の積算に当たり、別途請け負わせている車両清掃作業において実施している座席転換の作業に係る時分を誤って計上したり、座席用品の取外し作業に係る時分を重複して計上したりしたため、昭和57年度約550万円、58年度約1560万円、59年度約1500万円、計約3630万円が過大に支払われていると認められる。
(説明)
この作業は、新潟駅、新潟運転所及び新潟新幹線第1運転所の各構内において、新幹線電車及び在来線電車、客車に使用するもたれカバー、ひじカバー等の提供を受け、これらの運搬、取付け、取外し等の整備作業を請負により行わせるものである。
そして、上記のうち、新幹線電車のリネンサプライ業務の整備作業に係る車両1両当たり単価の予定価格の積算についてみると、作業の実態調査の結果や昭和57年9月に決定された東北・上越新幹線関係リネンサプライ業務における車内整備作業時分表を基にしてグリーン車、普通車、普通車の手直し(注) の別に定めた車両1両当たり整備作業時分を基に整備作業に直接従事する作業員(以下「直接作業員」という。)の車両1両当たり直接作業人工をそれぞれ0.1500人、0.0914人、0.0374人と算出し、これに1人1日当たり労務費、被服費を乗じて直接作業員に係る1両当たり労務費、被服費を算出の上、これに作業の指導監督等の間接作業に従事する作業員に係る労務費、被服費及び管理費を加えて、1両当たり単価を57年度は1,118円09、695円76、306円56、58年度は1,154円03、718円22、316円61、59年度は1,199円26、746円47、329円22と算定している。
しかしながら、上記の予定価格の内訳についてみると、整備作業時分の計上について、次のとおり、適切とは認められない点が見受けられた。
(1) 座席転換の作業に係る時分を計上しているが、本件の新幹線電車の整備作業にはこの作業は含まれていないのであるから、この作業に係る時分を計上しているのは適切とは認められない。なお、この座席転換の作業は、別途請け負わせている新幹線電車の車両清掃作業において行わせている。
(2) カバー等の取付け作業に係る時分については、上記作業時分表の付・外し時分を適用していたが、この付・外し時分は取付け・取外しの作業に係る時分であって、これを取付け作業に係る時分としたため、別途計上している取外し作業に係る時分と重ねて計上される結果となっていて適切とは認められない。
したがって、新幹線電車のリネンサプライ業務の整備作業に係る車両1両当たり単価の予定価格について、整備作業時分のうち上記のとおり計上する必要のない座席転換の作業に係る時分及び重複している取外し作業に係る時分を控除するなどしてグリーン車、普通車、普通車の手直しの別に車両1両当たり直接作業人工を算出すると、それぞれ0.1205人、0.0682人、0.0232人となり、これに所要の経費を加えて車両1両当たり単価を修正計算すると、57年度は905円48、528円55、204円22、58年度は934円63、545円68、211円01、59年度は997円70、582円14、224円58となる。
いま、仮に上記単価により、57年度から59年度までの支払額を修正計算すると、57年度分は237,616,357円、58年度分は240,630,298円、59年度分は261,456,929円となり、本件支払額はこれに比べて、57年度分約550万円、58年度分約1560万円、59年度分約1500万円、計約3630万円が過大に支払われていると認められる。
(注) 普通車の手直し 折り返し運転をする新幹線電車の普通車について、全座席についてでなく、利用された一部の座席のカバー等を取り替えること