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上記の各部局では、混載貨物として輸送を受託した貨物のうち貨幣等の貴重品について貴重品として取り扱えるようになっていなかったため、臨時補助貨幣の輸送において貨物収入が約1億3000万円低額になっていた。
このような事態となったのは、混載貨物営業規則等において、混載貨物として輸送する臨時補助貨幣等を貴重品として取り扱うことを考慮していなかったことによるもので、関係規則等を適切なものに改め、貨物収入の増収を図る要があると認められた。
上記に関し当局に指摘したところ、改善の処置が執られた。
(説明)
日本国有鉄道では、北海道総局ほか2総局及び釧路鉄道管理局ほか22鉄道管理局(注) (以下「鉄道管理局等」という。)において、通運事業者から臨時補助貨幣(臨時通貨法(昭和13年法律第86号)による臨時補助貨幣。以下「貨幣」という。)の輸送を混載貨物として受託し、混載貨物営業規則(昭和55年日本国有鉄道公示第18号)に定める混載車扱貨物又は混載コンテナ貨物として、それぞれ混載貨物の取扱駅間で輸送して貨物営業規則(昭和49年日本国有鉄道公示第183号)に定める車扱貨物運賃表又はコンテナ貨物運賃表に基づく貨物運賃を収受している。この貨幣の輸送は、通運事業者が荷主との間で貨幣の運送契約を締結したものを鉄道管理局等が受託したものである。
しかして、昭和58年度及び59年度中の鉄道管理局等における混載貨物の輸送実態及び適用貨物運賃について調査したところ、次のような事態が見受けられた。
(1) 混載車扱貨物としているものについて
鉄道管理局等で混載車扱貨物として輸送した貨物のうち、東札幌駅ほか25駅を発駅、梅田駅ほか35駅を着駅とした1,323口、18,701t は、貨幣であるが、混載車扱貨物として輸送を受託しているので、貨物の内容にかかわりなく貨物営業規則に定める混載荷物に分類され貴重品割増しのない運賃計106,064,300円を収受していた。
(2) 混載コンテナ貨物としているものについて
鉄道管理局等で混載コンテナ貨物として輸送した貨物のうち、札幌貨物ターミナル駅ほか26駅を発駅、東広島駅ほか34駅を着駅とした851口、4,282tは、貨幣であるが、これらについて通運事業者が貨物運送状に「貨幣類」、「コイン等」の品名で申し込んでいる場合であっても、コンテナ貨物運賃表のコンテナ貨物割増率表には貴重品割増率が定められていないことから、貴重品割増しのない運賃計24,097,800円を収受していた。
しかしながら、車扱貨物で貴重品を輸送する際には、その積卸場所を監視しやすい場所にしたり、輸送に特殊な管理を必要としたりするものであることから、その運賃については、車扱貨物運賃表の車扱貨物割増率表で貴重品割増し10割を適用することが定められているのであるから、混載車扱貨物及び混載コンテナ貨物として貨幣の輸送を受託するときにおいても、車扱貨物に準じた管理をすることにし、貨物内容の明示を受けて貴重品割増しを適用できるようにして増収を図るベきであると認められる。
いま、仮に本件の貨幣の輸送について、割増率10割の貴重品割増しが適用できたとすれば、58年度約7300万円、59年度約5600万円、計約1億3000万円を増収できたと認められる。
上記についての本院の指摘に基づき、日本国有鉄道では、60年11月に「混載貨物営業規則」及び「貨物営業規則」の一部を改正するなどして、貴重品の輸送を混載車扱貨物及び混載コンテナ貨物として受託するものについても、貴重品割増しを収受することとし、同年12月以降受託するものから適用することとする処置を講じた。
(注) 北海道総局ほか2総局及び釧路鉄道管理局ほか22鉄道管理局 北海道、四国、九州各総局、釧路、青函船舶、盛岡、秋田、仙台、新潟、高崎、千葉、東京北、東京南、東京西、長野、静岡、名古屋、金沢、大阪、天王寺、米子、岡山、広島、大分、熊本、鹿児島各鉄道管理局