科目 | (損益勘定) (項)営業費 |
部局等の名称 | 京都、神戸、大阪、仙台各電信電話料金局 |
契約名 | 磁気テープ入力作業役務契約 |
契約の概要 | 度数計の写真原票等からデータを磁気テープ等に記録して電話料金計算資料等を作成する作業 |
契約の相手方 | 近畿資料計算株式会社、東北通信ビジネス株式会社 |
契約 | 昭和59年4月〜60年3月 随意契約 |
支払額 | 511,310,284円 |
上記の各部局では、電話料金計算資料の作成に当たり、度数計フィルム読取装置(以下「OCR」という。)を効率的に運用していなかったため、磁気テープ入力役務費等約4880万円が不経済になっていた。
このような事態は、設置されている度数計のうちOCRで読み取り可能なものの全数を把握する体制が十分に整備されていなかったことなどによるもので、速やかにOCRの処理能力に見合った効率的な運用を図り、経費の節減を図る要があると認められた。
上記に関し当局に指摘したところ、改善の処置が執られた。
(説明)
日本電信電話公社(現 日本電信電話株式会社)では、各電気通信局管内の電信電話料金局(以下「料金局」という。)に料金計算システムを設置して電話料金の計算を一括処理しており、その処理に当たって、度数計の指数をテープに記録して電話料金計算資料を作成しているが、その方法には、電話局等が加入者単位で設置されている度数計の指数を撮影したフィルムを現像し、料金局でOCRを使用して直接それを読み取って紙テープに記録するものと、印画紙に焼き付けた写真原票を読み取ってパンチし磁気テープ等に記録するものとがあり、パンチによる場合はその大部分を請負により実施している。
そして、OCRで処理する対象となるものは、C400系クロスバ交換機の度数計で指数の表示が5桁のものであること、自動撮影装置で撮影したフィルムであることなど所定の条件を満たすものとなっており、OCRの運用については、本社から各通信局あてに「度数計フィルム読取装置に関する運用の効率化及び導入の適正化について」(昭和55年1月8日付事務連絡第54号)を発して、OCRの標準処理能力について、情報処理技術職等が運用する場合は1台1箇月当たり度数計56万個、キーパンチャーが運用する場合は同50万個と示すとともに、OCRの処理能力に余裕がある場合は可能な限りこれを運用することとしている。
しかして、OCRによる処理の実態について検査したところ、次のとおり適切でないと認められる点が見受けられた。
すなわち、近畿、東北両電気通信局(現 関西、東北両総支社)管内の京都、神戸、大阪、仙台各料金局において、昭和59年度の各月のOCRによる処理状況をみると次表のとおりとなっていて
電気通信局名 | 料金局名 | OCR設置台数(台) | 各月の処理可能量(注) (千個) | 各月の処理実績量(千個) | 各月の余裕量(千個) |
近畿 | 京都 | 3 | 1,500 | 954〜1,111 | 389〜545 |
〃 | 神戸 | 2 | 1,000 | 654〜701 | 298〜345 |
〃 | 大阪 | 5 | 2,500 | 2,062〜2,215 | 284〜437 |
東北 | 仙台 | 4 | 2,240 | 1,676〜1,732 | 507〜563 |
(注) 京都、神戸、大阪各料金局はキーパンチャーによる運用となっているのでOCR1台1箇月当たり50万個、仙台料金局は情報処理技術職等による運用となっているのでOCR1台1箇月当たり56万個である。
前記各料金局に設置されているOCRの各月の処理実績量は、各月の処理可能量に比べ284千個から563千個下回っていて余裕を生じている状況となっている。
しかしながら、59年度の各月において、OCRの処理対象であってパンチ作業で処理しているものが、京都料金局分で222千個(年間延べ2,666千個)、神戸料金局分で189千個(同2,269千個)、大阪料金局分で366千個(同4,398千個)、仙台料金局分で314千個(同3,776千個)、合計1,092千個(同13,110千個)あり、これらを上記各月の余裕量と比べると、京都、神戸、仙台各料金局ではいずれも余裕量より下回っていて、各料金局それぞれ年間延べ2,666千個、2,269千個、3,776千個がOCRで処理できると認められ、また、大阪料金局では59年度中の9箇月について余裕量を上回っていてその合計は302,169個となっているので、同料金局でOCRの処理対象であってパンチ作業で処理している年間延べ4,398千個からこれを除いた年間4,095千個がOCRで処理できると認められる。したがって、OCRの処理能力からみて各料金局で処理可能な年間の個数は合計12,807千個相当分となり、これらについてはパンチ作業等の必要はなく、前記パンチ作業の役務費等で約4880万円が節減できたと認められる。
このような事態となっているのは、本社において前記のような事務連絡を発したものの電気通信局等の関係機関において、設置している度数計のうちOCRで読み取り可能なものの全数を把握する体制が十分整備されていなかったり、関係機関の間でのOCRの事務処理についての連絡・調整が十分でなかったりなどして、適切な作業計画を策定しないままOCRを運用していたことによると認められる。
上記についての本院の指摘に基づき、日本電信電話株式会社(60年4月1日に日本電信電話公社の一切の権利義務を承継。)では、同年6月に「度数計OCR装置の運用の効率化に伴う読取対象度数計数の拡大実施について(指示)」等の指示文書を発し、OCRの効率的な運用を図るよう体制を整備する処置を講じた。